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第26話「イカれてんぜ」

「うおおおおおおおお!!!!」

火ダルマになった五条は突然ドガァァァンと爆発した。

「おわあああああああ!!??」

焔火は爆発による爆風で70m程吹き飛び、近くに停車されていた車のフロントガラスに激突した。

「ぐっ……野郎……!!いきなり爆発しやがった……!!何考えてやがんだ……!?」

「うわあああああ!!!」

「きゃああああああ!!!」

「ああああああああ!!!」

「ん?」

突然焔火の耳に入った大勢の人々の悲鳴。パッと顔を上げて見ると辺り一面が先程の爆発によって火の海と化していた。それによく見ると周りにあった多くの建物が半壊して瓦礫の下敷きになっている人々もいた。

「おいおい嘘だろ……何てこった……」

目の前に広がる地獄の様な光景を唖然とした表情で見ていた焔火。するとそんな彼の元に若干焦げた五条がスタスタと歩いて近づいてきた。

「ふ~……危うくこんがりジューシーになるところだっぜ」

五条は顎を擦りながら焔火に向かってそう言った。そして焔火はここである事に気がついた。五条を纏っていた炎が消えていたという事に。

「てめぇ……身体を纏った炎を吹き飛ばす為に爆発しやがったのか……」

「ハッハッハ、そのとおり」

「イカれてんぜ……てめぇの起こした爆発のせいで街や人々が大変な事になってんぞ……」

「ああ、そうだな……まぁこんな事になったのは全部お前のせいなんだけどな」

「何ぃ?俺のせい?」

五条の発言に焔火は困惑した表情を浮かべた。

「ああ、お前のせいだ、だってよ~……お前が俺を燃やしたりなんてしなければ俺は爆発なんてしなかったんだからな」

「…………!!」

一理ある。焔火はアンニュイな表情を浮かべながらそう思った。そしてそんな中で五条は話を続ける。

「フッフッフ、まぁそう悲観するなよ、ていうか今更だけどお前もミュータントだったんだな、能力はさっきのを見た限り"発炎"か……くっくっく……かませ感溢れる能力だぜ……バトル漫画だと序盤で死ぬタイプだなお前は……さて、前置きはこの辺にしておいて今からお前を顎侮辱の罪により処刑する」

「上等だよてめぇ……返り討ちにしてんやんよ、てめぇを一生歩けないくらいのレベルで八つ裂きにするのが爆発に巻き込まれた人々に対するせめてもの償いってもんだ」

焔火は獲物を狙う狼の様な目付きで五条を睨みながら身構えた。そして五条も焔火に向かってニヤリと笑みを浮かべながら身構えた。

「へへ、迅速に処理させてもらうぜ、なんせ俺は今"殺人ゲーム"で忙しいんだからな」

殺人ゲーム。五条の口から出たこの言葉に焔火は反応する。

「殺人ゲーム……?お前……霧崎タカシと同じ事言ってんな」

「霧崎?ああ~……あの捕まったカスか……だっせぇよな~アイツ……2人しか殺せなかったんだもな~……ん?というか待てよ?お前さっき燈焔火とか言ったな?燈焔火といえば霧崎を倒した野郎じゃねえか」

「今頃気づいたのかよ」

ここで五条はニヤケ顔から神妙な顔へとチェンジする。

「そうか……お前があの燈焔火か……」

そう言って五条は右手の平からポワッと光の玉の様な物を出した。何だあれは?焔火がそう思った刹那、五条は野茂英雄を彷彿とさせるトルネード投法の体勢になった。

「いくぜおい!!C4ジャイロボール!!!」

五条は焔火に向かって光の玉を全力で投げつけた。

「うお!?」

焔火は猛スピードで飛んできた玉を咄嗟に躱した。するとその玉は焔火の後ろに停まっていた車に直撃し、大爆発を起こした。

「おわあああああああ!!!!」

焔火は激しい爆風によって横に40m程吹き飛ばされて建てられていた電柱に頭から激突した。

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