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仲間


 大原はいつもどうり、花に水やりをしていた。



俺は最近とても気分がいい、アルトリウス達が旅立ってから、ローレの側で毎日同じ仕事をしている。

元の世界では、こういう風に誰かの側で仕える事のできる仕事が無い為 (あるかも知れないが、あの世界でやっていても無意味)、この世界は非常に素晴らしい。

正に今、この現状を永遠に繰り返したいが、ローレでは俺を満たすことは出来ない。



大原手を止め、トルコキキョウを触る。



あぁ瑠奈、君はいつ現れてくれるんだい....。



大原そんな事を考え、トルコキキョウから手を離し、次の花の場所に移動してジョウロで水をやろうとすると、なんだか鼻声のローレの声が聞こえた。



「あ~、居た居た」

ローレは大原に近寄る。



「どうかしましたか? ローレさん」

「ちょっと頼みたいんだけどね....」

そんなこと言いながら、ローレの鼻から鼻水が出てきた。



大原は鼻水が気になりすぎて、話が入ってこないので微笑みながらローレに教える。

「あ~ローレさん、ティッシュ要りますか?」

ポケットからティッシュを取り出し、ローレの方に向ける。



「あらぁ~、ごめんなさいね!」

ローレは笑顔で二枚取り、鼻にティッシュをつけた瞬間、ブーーっと片方ずつ鼻をかむ。

大原はその光景を真顔で見つめ、かみ終わるの待った。



「ローレさん、ゴミは自分が貰いましょう」

「大丈夫よオオハラ、それよりどこまで話したかしら?」

「自分に頼みごとがあるっという、ところまで聞きました」

「ああ! はいはい、それでねオオハラ....」

ローレは鼻をすすりながら喋るが、また鼻水が垂れてくる。大原はもう話が進まないので見て見ぬふりをした。

「今鼻炎気味でね。薬を作ろうと思ったんだけど素材が無くてね~、ちょっといこいの森にある素材を取りに行ってくれるかしら?」



大原の気分は下がった。

あ~俺のいつもの生活が崩れた。しかし俺は雇われ身、断ることなど出来ない。

大原は心の中でため息をし、微笑みながら返事を返す。

「いいですよ。ですが、なぜ森に? 市場に売ってないとかですか?」

「そうなのよ~! まったく、品揃えが悪くて腹が立つわ!」

ローレは鼻をすする。



「そうですか。では、どのような物なのか写真を下さい。」

「はいはい、これね!」

ローレは写真では無く、随分使い古されたような紙を渡してきた。

大原は紙を見て真顔になった。



「あ~..まさか..実物を写真で撮ったこと無いのですか?」

「てへ」

ローレは片手を頭の後ろに持っていき、片目を瞑り、舌の先を口からチョコンっと出し、大原を見た。



なんて可愛くないてへだ.....。そもそも、本当にこんな物があるのかと思うぐらい古紙なんだけど....。

俺は若干キツイてへを見て。引きずった顔をしながらローレに質問する。

「..あの、ローレさん? これは実在する物ですよね??」

「もちろんよ! だって一回だけ見たことあるもん!」

ローレは頬をふくらし、可愛い子ぶった顔を見せた。



今日のローレなんかイカれてる? しかも一回だけって、あぁ....お腹痛くなってきたかも、もういいや、考えるだけで疲れる。もうさっさと行こ..。

大原は真顔に戻り、咳ばらいをする。

「では、ローレさん行ってきます」

大原はお辞儀し森に向かおうとすると、ローレは「まだ話すことがある」っと言い大原を止めた。

「まだ何かあるんですか?」

「ええ、これは大事な話」

ローレの顔は真剣になった。

「最近、森に凶暴化したルベアが出没するらしいの、けど討伐隊が出てるから大丈夫だと思うけど、一応冒険者を雇った方が良いかもしれないわ」

ローレは銀貨二枚差し出した。



大原は銀貨を受け取る。なんでそんな危険な時に行かなければならないのか疑問に思ったが、もうめんどくさいので聞き流した。

「わかりました。では、行ってきます」

俺はそう言いローレを見たら自身の体を触り、何か探している様だ。



ローレは慌てた様子で懐から何か取り出した。

「あとはい!」

大原はローレ手元を見ると、黒曜石のような輝きをした短剣を差し出してきた。

「これは?」

「護身用よ! オオハラに使えるかわからないけど、無いよりかマシでしょ?」

「ありがとうございます」

大原は受け取る。

「それでは、今度こそ行ってまいります」

「無理しなくていいからね。気を付けて行ってらっしゃい!」

ローレは微笑みながら、手を振る。

「はい」

大原は豪邸の出口に向かて歩く。



短剣を見つめ、大原は薄笑いを浮かべる。











丸机を四人組で囲み雑談している。



ツインテールの女性が声を高くして喋る。

「ねぇ~下僕! 仕事は無いの!?」

女性は男を睨む。



男は深刻そうな声で喋る。

「エラ、俺は頑張って探したんだ。だから俺は偉い、そう..俺は偉いんだ....」

「も~~この役ただず! もう、あんたのお兄さんどうなってんの!?」



杖を持った少女が喋る。

「ま、まぁお兄ちゃんは頑張ったんだよね? だから、そんなに攻めてあげないでください」

「おお! 我が妹よ! ルーナだけが俺の生きがいだ~」

男は机の下に潜り、ルーナの太ももに顔をスリスリと擦り付ける。



「ちょっ! ちょっとお兄ちゃん!!」

ルーナは男の顔を離そうと手で押し返す。



「うわ! キモ!」

エラは蔑さげすむ顔で男を見た。



「あらあら、デラインまさか欲求不満なの? 私が相手してあげよっか?」

っと、デラインの顔の側にヘビのような舌を出しながら、女性が喋りかけてきた。



デラインは逃げるかのように自分の席に戻った。

「ミラさん勘弁してください」

「え~、たまにはいいでしょ?」

ミラはネットリした喋り方で、デラインを誘惑するかのように舌を出したり戻したりしながら喋った。



デラインは青ざめた顔をし、震えながら話を戻す。

「え~~、我々は今現在仕事が無い状況です。さぁ! 皆さん! この現状をどう打開するか考えましょう!」

「うるさいヘンタイ! スケベ! 下僕が考えろバカ!」

デラインはエラから罵倒を浴びせられて、気持ちよくなった。



「う~ん、とりあえず依頼看板見て、仕事見つけるのが妥当じゃあないかな~?」

「よし! 採用! 者ども行ゆくぞ!」

デライン席から立ち、あらぬ方向を指さす。



「ちょっと~、私の意見は~?」

「ミラさん様な貴女きじょの意見は聞くまでもありません! 決して、聞きたくなとかでは無いので安心してください!」

「....」

デラインはミラを見ると、鋭い目つきでこちらを見ていて鳥肌が立った。



そんなことをやっていると、エラの怒り声が聞こえた。

「ちょっと早く依頼見てきてよ! このうすのろ!」

「はいーー!」

デラインは走り、依頼看板に向かった。









ふむ、久々だな。

俺は受付に近づき、受付の人に話しかける。

「すみません。ちょっといいですか?」

「はい。なんでしょう?」

「今、護衛をしてくれるグループを探してまして。誰でもいいので空いている、グループはありますか?」

「はい。かしこまりました。少々お待ちください。」

っと言い、受付の人は手を空中に持っていき、透明な画面を触る。



俺は時より思う、この世界はハイテクな部分とそうではない部分の差が激しいと、この差は何らかの理由があるのか?っと考えながら待っていると、音が聞こえた。



透明な画面からピコンっと高い音が鳴る。

「はい、ただいま空いているグループが見つかりました。プリンセス・ルーナですね。今ちょど隣に居る方ですね」

「そう....ですか」

大原はそう言い隣に居る奴をゆっくり見る。

そこにはセンター分けの髪型で金色の髪をした、男がこちらをずっと見ていた。

クッソ近くで目を見開きながら、俺の顔をまだ見ている。

こいつ..、俺が受付と話している時からずっと隣に居るんだけど、なに? こわ。

しかもなんだよ、プリンセス・ルーナってどこのお姫様だよ。大丈夫? てか目乾かないの? 俺はそんな事を思い、男に話しかける。



「あの....、近いんですけど....」

「ああ! これはこれは失礼! いや~実は仕事無いかな~って丁度依頼を見に来てたんですよ!」

チラチラっと男は大原を見る。



はぁ~、何だかこの世界に来てから、陽気な奴ばかりで頭がおかしくなりそうだ....。

もう、こいつらでいいや。



「..そうですか。そしたら丁度いいですね、良かったら自分の依頼を受けてもらえますか?」

「ええ! 是非とも! さぁ仲間を紹介しますから、こちらに!」

っと言い、男は大原を引っ張って行く。



毎回引っ張られるのだが、これはこの世界の常識なのか? っと考えながら大原は引っ張られる。







大原は席に座る。

そして男が陽気に自己紹介を始める。

「いやぁ~この度は俺達を雇ってくださり、ありがとうございます!」

「いえいえ」

「じゃぁまずは俺から、名はデラインです。よろしくお願いします!」

「よろしくお願いします。自分はオオハラっと言います」

二人は握手する。



「次に....」

「私はエラ、よろしく!」

デラインが紹介しようとした時、威圧的な声で褐色の女性が喋り出した。



「どうも」

大原はエラを見る。

ん? これはダークエルフか? ツインテールで灰色、厄介なのが仲間だなぁ~っと思いながら握手しようと手を伸ばす。



「ふん!」

エラは手を無視した。



「お、おい! エラ!」

デラインは慌てた様子でエラの周りをうろついていた。

エラはデラインの事も無視し、そっぽ向いた。



「あはは! オオハラさん! こいつはこういうやつなんです! 許してやってください、はは」

デラインは手を頭の後ろに持っていく。



「....いえ、特に気にしませんよ」

「おお流石! 寛大だ! オオハラさん様様だ!」



どっちかっていうとお前の方がウザいけどなっと大原は考えていた。



そんな様子を見かねたのか、黒髪の子が喋る。

「お兄ちゃん、早く紹介してあげたら?」

「そうだな! この子が我が妹ルーナだ!」



ルーナは頭を軽く下げ、挨拶する。

「どうも、オオハラさん」

「どうも」



ルーナ、黒髪の肩ぐらいの髪型だ、こいつらグループ名に仲間の名前使ったのか? よほど可愛がられているな。そんな事を思っていると体が重くなっていくのを感じた。



「はぁ~い、オオハラ~」

っと言い、女性が大原の体に絡めるように接触してきた。



「どうも」

「あ~、この人はミラです。え~ミラさん、あまり破廉恥はれんちな接触は避けて下さると助かります」

デラインは怯えながら紹介してきた。



「え~、むり~、だってイイ男だし~」

ミラはそう言い、オオハラの顔の直ぐ側に行き、吐息が聞こえるぐらい近寄り、まるでヘビのような長い舌を出した。



ミラ、ピンク色の髪でロング、顔に鱗? のよう物が付いている。

はぁ~、俺は選ぶグループ間違えたなっと後悔しながら、壁をただ見つめた。

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