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執事


 朝早く起き、俺は執事が着るようなタキシード? 的な服を着た。庭師にこの服は合わないっと思いながら、部屋を出ていった。

 俺はローレさんを探しに色々な部屋を探すが、居ないので外に出てみた。





 俺は辺りを見渡し花畑みたな場所を見ると、ローレが居たので話しかけに行く。

「おはようございます。ローレさん」



「あら、おはようオオハラ、もっとゆっくり寝ててよかったのに」

 優しい微笑みを見せながらローレは喋る。



「いえ、早速仕事を教えてもらいたいので」



「まぁ! 仕事熱心ね!」



 俺は近くにあった白い花? を見ていると、ローレが横で説明し始めた。



「それは、トルコキキョウって言うのよ」



 俺は花の先端に、そ~っと触れローレに疑問を問う。

「ローレさん。自分は庭師なのに、この服装は似合わないと思うのですが?」



「大丈夫よ! 庭師以外の仕事も、覚えてもらうから!」



「でも、自分がこの様な..高貴な服を着るのは....」



「大丈夫! 大丈夫!」

 ローレは笑っていた。



「はぁ..」

 俺は少し心配していると、ローレが両手を軽く叩き合わせバチンっと小さい音が鳴る。



「じゃ! 早速お花の手入れをしましょ!」

っと言うと、花畑のちょっと上に指を指さすと、小さな雲ができ、そこから雨の様な小さい粒の水が出てきた。そして、ローレは笑顔で俺の方を見てくる。

「はい! これで水やり完了! オオハラ覚えた?」



「....ローレさん、誠まことに申し訳ないんですが。自分は魔法が使えないのです」



「あら! ごめんなさいね」



「いえ、魔法が使えない自分が悪いんです」



「ふふ、そんなこと無いわ。はいこれ」



 ローレはどこかに置いてあったジョウロを浮かし、俺の手元まで持ってきて、俺が両手を差し出すとジョウロはストンっと落ちてきた。



「それなら、水やり出来るでしょ?」



「はい」

 俺は服を汚さないように、腕を伸ばし、花から体を離しながら、水をやった。



「..オオハラ、その体制は~どうしたの?」



「はい、服を汚さないように水やりしています」



「アハハ! そんな! 気にしなくていいのに! その服は魔具だから、大抵の汚れは付かないのよ」



 俺は渋い顔をローレに向けた。



「ふふふ、面白い人。..さっ! 次の作業をしましょ!」



「はい」





 その後、ローレに様々な仕事を教えてもらい、俺は難無くこなすことが出来た。





「オオハラ、少しお昼休憩にしましょう」



「はい」



 俺はローレを、ガーデンテーブルまで押して行く。テーブルに着くと、ローレはテーブルの上に手を置くと、ティーカップとティーポットが何も無いところから突然現れる。その事に俺は特に動揺せず、ローレのカップにティーポットで紅茶を入れる。



 一通りの作業が終わった事を確認したローレは、入れられた紅茶を飲む。

「おいし。それにしても、オオハラ凄いわね! この短時間で、こんなに仕事を覚えるなんて!」



「いえいえ、大したこと無いですよ」



「大したことあるわよ!」

 ローレはとても楽しそうだった。

「今日はもう充分働いたから、はいこれ!」



 ローレは手を差し出し、謎の物体を俺に見せてくる。そこには、銀色と金色の丸くて十円玉ぐらいの円形な物体で、真ん中に鷹のようなシンボルマークがある物を手渡してきた。



 俺はそれを受け取り、これはお金だなっと理解した。

「まだ貰うのは早すぎると思うのですが?」



「いいのいいの! ちょっとしたお小遣い!」



「それでは、有難くもらいます」

 俺はすんなり貰うことにした。今後何かに使うかも知れないから。



「よし! オオハラ、今日はもう自由にしていいわよ」



「いいんですか?」



「いいわよ! もう十分だわ!」



「わかりました」

 俺はローレにお辞儀をして、街に行こうと思い行動した時。何か思い出したかのように、ローレに声をかけられた。



「ああ! オオハラごめんなさいね! もう一仕事頼めるかしら?」



「はい、なんでしょう?」



「明後日私の息子が帰って来るから、街に買い物行けるかしら?」



「ええ、今丁度、街に行こうと思いまして」

(息子? おそらくローレのこの姿からして三十、四十歳ぐらいだろか?)



「あら、よかったわ。はいこれ」

 ローレはそう言い、もう一金貨とメモ用紙を渡してきた。

「後はよろしくね」



「はい」



「夜までに帰ればいいから、ゆっくりしてきなさい」



「ありがとうございます」

 俺は豪邸を出た。







 俺がまず、最初に向かった場所は図書館。受付に行き、お金を払う。

この世界の、お金の価値が分からないが銀貨を払ったら、袋で大量の銅貨を返された。



「はいこちら、銅貨百枚です」



「あ..ありがとうございます」

 銀貨一枚に対して銅貨百枚か多いなーっと思い、俺は中に入っていく。

ズラーっと並べられた本の中から魔法に関する本を探す。やっとそれっぽい本を見つけたので、手に持ち一番誰も寄らなそうな席に着く。



 次々とページをめくるが、やはりない。

でもまぁ普通、時を戻す魔法なんて書いてないよなぁー....っと思っていたら、ガヤガヤした四人組が入ってきた。

 俺は気になり四人組を見たら、一人知っている人物を見つる。黙々と見ていたら何だかこっちに近づいて来るので、俺はバレない様に顔を本で隠す。そうすると少し離れた場所に座ったので、声は掛けず耳を澄まして、何を話しているのか静かに聞く事にする。



「おい! マイク! 今回も全然ダメじゃないか!」



「いや~、頑張ったんすよ~俺~」



「ハハ、うける~」



「いいマイク? ボスは優しいけど、甘えはダメよ!」



 四人組の構成は男女二:二。

 俺は話しかけられても面倒なので本を持ち、席から立ってサッサっと本をしまいに行こうとする。





その時、マイクが背もたれに寄りかかり、頭の後ろに手を組みながら話し始める。

「いや~でも、この前は変な....あれ! お兄さんまさか!?」





(ああ、クソ、面倒だな。ここで無視してもいいが、悪印象与えるのも悪い、ここは仲良くしとくか..)

 俺は四人組に近づき挨拶をする。

「どうもマイクさん、お久しぶりですね」



「ああやっぱり! オオハラさんじゃあないすか~!? 二日ぶりすねっ!」

 

「なんだマイク、お前の知り合いか?」

 謎のイカツイ男が喋り出す。



「まぁ~そっすね! この前知り合ったばっかりだけど!」



「どうも皆さん、オオハラです」



「この人が前言った、変な人すよ~!」



(久々に会って変な人呼ばわりかよ....)

 イラっとしているとマイクが陽気に喋りかけてくる。



「オオハラさん立ってないで、座っていいすよ!」



「それでは、お言葉に甘えて」

 俺はマイクの隣に座る。



「それじゃあ、うちの仲間紹介しますね!」

 マイクが一人ずつ紹介し、俺は紹介される人物を観察していった。

「こいつは、マイケル! 根はいい奴っす」



「よっ!」



「どうも」

 俺はマイケルを見た。

(図体がデカく、とても強そうだ。髪型は角刈りで肌は黒く、元の世界で言うと南アフリカに居そうな人物だ)

目が合い、好奇心を感じ取り俺は安心した。



「次がジュリー、生意気な女っすよ~」



「あ゛ぁ゛! 噛むよ!」

っとジュリーは口を開け牙を見せる。



「ひっ!」



「ふん! やっほ~オオハラきゅん~」



「どうも」

(ジュリ―こいつは、おそらく獣人だろう。頭に猫のような耳を付けており、さっき口を開けた時鋭い牙が見えた。チラチラ見えるアレは尻尾だろう、髪型は肩のちょい上ぐらいだ。..そんなことより、一番重要なことは)

 俺はジュリ―の目を見た。

(性的好奇心? 期待? そう感情が分かりにくい、正まさしく厄介だ。この街に来てから、人間以外の人種を見て思った事だ。別に感情が無い訳では無いから、腹立たしい者達だ)

 そんな事を考えジュリ―を見ていると、マイクの声が聞こえてくる。



「最後がカレン、ボスの側近っす!」



「やあ」



「どうも」

(見た目は頬に切り傷の跡があるがそれ以外は、特に特徴はない、髪型はショート。

これは人間だ。感情が分かるが、警戒感、こいつとはあまり関わらない方がいいな..)



 一仕事終ったかのように、マイクは喋る。

「これで、紹介は終わりっす~」



「ありがとうございます」

 俺はさっきから気になっていた事を質問した。

「ちなみに、ボスがいるっと言うことは、何か組織に属しているんですか?」



「はい、そうですが?」

 カレンがそう答え、目が鋭くなった。



 大原はさっきより警戒感が強くなり、不味ったかっと思っていると。



「なに~カレン~、生理~??」



「は~!? ち、違うよ!」



「カレンの姉貴~、オオハラさんはいい人すよ~」



「私はただ、答えただけよ!」



「いや、明らかに威圧してたな」

 そう言いながらマイケルは腕を組み、頭を軽く上下に動かす。



「カレンの悪い癖だよ~ん」

っと言い、ジュリ―はカレンの胸をもみに行く。



「ジュ!? ジュリ―ちょっと!」



「へへ~、誰もカレンのボスは狙わないから安心しなよ~」

 ジュリ―は胸をもめなかったので、カレンの太ももに頭を置く。



 カレンはそんなジュリ―の頭を撫でながら喋る。

「....分かったわ、ごめんなさいオオハラさん、少し警戒しすぎてました」



「いえ、大丈夫です。初対面ですから、仕方ないですよ」

(それでも警戒感は消えない..危険だ)

「じゃあそれでは、これで.....」

 俺はさっさと買い物に行きたい (早くこの場を離れたい)から帰ろうとするが、マイクに邪魔される。



「ああ! さっきの質問ですが、俺たちは神鬼団しんきだんと言う、この国ではかなり有名な組織っす!」



「この国の人なら、知らない奴は居ないぐらいだ」

 マイケルが補足を入れてきた。



「そうですか。知りませんでした」



「お? まじすか~。まぁでも、どこから来たかも教えてくれなかったんで、ここの人では無いな~とは思ってましたが~」



「ええ、じゃぁ自分は用事があるので。これで失礼します」



「ええ~、もういちゃうの~」

 ジュリ―は体を起こした。



「オオハラさんはなんだか忙しそうだから、行かせてあげなよ」



「もう~つめた~い!! カレンそんなんだから....」



「では」

 俺は最後までジュリーの言葉を聞かず、席を立ち、一礼した後その場を去っていく。あの場にずっと居ても時間の無駄だから。



「また、会いましょう~!」

 最後にマイクが手を振っている姿が見えた。







 俺は外に出た。

市場に行き買い物しなければと、歩き考える。



(目的の魔法はなかった。

しばらく優先順位を変えて、魔法よりこの国や情勢を調べた方がいいのかもしれない..そっちの方が効率はいいのか? まぁやってみなければ分からないな、神鬼団かぁ....一体何の組織なのだろうか)っと考えていると、市場に着きメモ用紙を取り出す。

(この食材なんだよ....)

 俺はこの後、訳の分からない食材を探し、よくわからん食材? 達を買いまくった。









 大原が何処かに行くのを四人は見送った後、会話が再開し始める。



「ホント、変わった人ね..」

 納得したような声でカレンが言う。



「まあ、堅苦しい人ですけど、面白いんすよ~。なんせ、すぐお腹壊すから! ハハ!」



「でもでも、結構イケメンじゃあな~い? 私食べたくなっちゃた」

 ジュリーが舌なめずりする。



「ああ....しかしあの目、覚悟のある目だ」

 関心するかの様にマイケルが言う。



「覚悟のある..目?」

 ジュリ―は首を傾げる。



「カレンも感じただろ、服装からして執事だと思うが、目は違う。戦士の目に近い目だが、戦士ではない..何かだ」



「ええ、だから私は警戒していしまったの」



「なんでそんなこと、分かるんすか?」

 マイクはそういうのに詳しく無いのでカレンに質問した。



「戦士だからよ」



 マイクとジュリ―は頭にはクエスチョンマークが出た。



「戦士の感って奴だな!」

 自信満々にマイケルは言った後、マイクの肩を組む。

「それよりマイク、話が脱線したが、お前ちゃんとアレキサンドライト見つけて来いよー!」



「うげぇ! 冗談きついすよ~、あんな希少な宝石見つかんないすよ~!」



「マイクは仕事出来ない~」

 謎のリズムにのりながらジュリーが言う。



「フフ!」

 あまり大きな声で笑わないようにカレンは口元を抑える。



「皆して俺の敵すか~!? 一応同期なんすから、助けてくださいよ~」



「だからこうして、皆でアレキサンドライトに関する本を、探しに来たんだろ」

 マイケルがそう言うと、他二人は軽く頷いた。



「みんな! ありがとう!」

っと言い、感動のあまり気持ちが高ぶりマイクはカレンの胸元に飛び込み、案の定ビンタされる。



「変態!!」



あぁ、ボスに怒られるっとマイクは思いながら、満面の笑みで床に寝そべった。

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