事件
俺はクエンを見送り、会場の片付けを手伝おうと思ったが、すでに終わっていた。
村の大男たちが、酒を飲み賑やかにしている。
「ああ、終わってる」
「リュエンが、サボりとは珍しいな!」
四十代の大柄な男性が近づいてきた。
「すみません」
「いや、いいってことよ! それより、どうだった!」
「え? 何が、、、」
リュエンは、あたりを見渡すと男達は、ニヤニヤしている。
「なぁーに! もう隠すなって! クエンちゃんと出来たか?」
男は小指を上げながら言った。
「え!? なな、なんで、、」
「お前はもう二十歳なんだから、恋の一つや二つあるだろ」
遠くのほうにいる、男から「キスしたかー!!」と、笑いながら喋る声が聞こえた。
「お、俺! もう帰りますね!」
俺は恥ずかしくなり、すぐ後ろを向き、駆け足で会場から離れた。
「おう、気を付けて帰れよ」
大柄な男性は、笑いながら言う。
俺は家につき、寝室のベットに横たわった。
「はぁ~、ひどい目にあった」
俺は、ベットから起き上がり、寝室の窓があいていたので閉めようっと思った。
ふと、タンスの写真立てに目が行き、写真立てを手に取り、手で写真をなでた。
「父さん、母さん、俺やっと思いを伝えられたよ、、」
写真立てを置き、俺は、寝室の窓を閉めた。
明日に備え寝ようと思い、寝室の明かりを消し、ベットに横になり。
目をつぶり、視界が真っ暗になる。
明日オオハラに、相談しないとなぁー。
そんなことを考えて、リュエンは深い眠りについた。
んん~、「朝日が気持ちい!」
昨日はとても楽しかったです!
昨日オオハラに踊りの感想を聞こうと思ったら、眠いから先に帰ったらしい。
私は、ホントかな~って思ったから。
お母さんと一緒に帰り、オオハラの部屋に入ったの、でっ、本当に寝てた。
祭りで疲れたのかな? って、だから明日聞こうと思い、私も早く寝たの!
「よ~し!」
私は、まずオオハラの部屋に行き、扉を開けた。
だけど、オオハラはいなかった。
あれ~? っと思い、私は部屋を出てお母さんを呼んだが、返事がない。
誰もいないので、私は外に出ようと思い、ドアハンドルに、手をかけたとき、声が聞こえた。
「一体誰が、こんなことを.....」
人の声が、聞こえたので。
私はドアを勢いよく開け、元気よく挨拶をする。
「おっは、、、、」
そこにはたくさんの人が集まっており、クエンはある物を見てしまい、言葉が途切れた。
「クエン起きたのかい! 今は外にでるんじゃない!」
お母さんの顔は、見たこともない、恐ろしい顔をしていた。
お母さんは、ある物を隠しながらこちらに、近づいてきたが、隙間から、私は見えてしまっていた。
リュエンの頭だけの死体を、私は意味が分からなかった。
「ほら、クエン、家にお入り」
「なぁ、なんで?」
「見たらだめ」
「お、おかしいよ! ねぇ! あっわかった! 偽物でしょ! 皆で、私を脅かそうと思ったんでしょ! いやー、びっくりしたな!」
「クエン!」
私はその場で膝から崩れ落ちる。
だって、おかしいでしょ! 今の時代、人が殺されるなんて! 皆幸せに暮らせる時代なんだよ!
それなのに、人を殺すなんて!
おかしい、おかしい、おかしい、おかしい、おかしい。
「シュルア、クエンを部屋に」
「はい、村長」
シュルアは動かなくなったクエンを連れ、部屋へ戻っていく。
死体の近くにいた、四十代の大柄な男は喋る。
「村長、これは大事件だ....」
「ふむ、疑いたくないが、犯人は村人の中におるじゃろう」
「クソ! 誰がこんなことを!」
「昨日、リュエンと関わったものは、わしの家に来る用に、記憶をたどり、リュエンが何をしていたのかを見る」
っといい、村長は解散の合図を出した。
その時、オオハラは村長の視線を感じたが、無視した。
「あと、胴体さえあれば....」
オオハラは気になる、言葉を聞き、頭の近くに行き、質問しに行った。
「あ~、すみません」
「おお、どうした、姫男」
「あと、胴体があればなんだか、みたいなことを言っていたので、胴体があれば何ができるのかなぁーっと思いまして」
「なんだ、しらねぇのか? 勇者様が蘇らせてくれるんだよ」
「それで、なぜ、胴体が、、、」
遠くから誰かを、呼ぶ声が聞こえる。
「お! 今行く! わりぃな! また今度教えるわ!」
男は頭を大事に抱え、どっかにいく。
オオハラは「クソが」っと呟き、次の計画に行動を移した。
私は今、何処にいるんだろう、周りを見渡すが全てが真っ黒だった。
試しに歩くが、進んでいる感じがしない。
「ねぇ! 誰かいないの!」
大声を出すが、返事なんてない。
「お母さん! リュエン! オオハラ!」
反応はない。
独りぼっちだ。
いや、私を一人にしないで。
クエンは体育座りし、丸まっていると。
「一人は、嫌だよねぇ~」
クエンは、直ぐに立ち上がり、声がしたほうを見た。
そこには、黒い丸い物体が浮いていた。
「あなたは、なに?」
「僕は、君の魂だよ」
「私の魂?」
「そう、今、君はすごく不幸でしょ? だから、僕は君に幸福を与えに、現れたのさ」
「幸福? 何言ってるの? 私は、今幸せだよ? だから、早くここから出して! 皆がまってる!」
「ほんとに~? 君は、不幸だから、ここに来たんだよ。だってさ、大事な人を亡くしたから!!」
「大事、な、人?」
「さぁ、思い出してごらん」
クエンは、その場に膝をつき、頭を抱えた。
思い出したくない、記憶が脳裏に浮かぶ。
「幸福が、欲しくないのかい?」
「本当に、幸せになれるの?」
「もちろん!」
黒いものは、何か差し出してきた。
私は、何かを受け取ろうと、手をさし伸ばそうとした時。
耳元で誰か呼んでいる。
あぁ、お母さんだぁ~っと思うと、体の力が抜け、自身が透けていくのに、気がつく。
「僕は、君の中にずっといるからね、困ったらまたおいで」
私は、この声を最後に聞き、目が覚めた。
「クエン! クエン!」
「おか、お母さん~?」
私は、部屋で寝ていた。
「クエン! 大丈夫かい?」
「なにが~?」
「あんた、かなり魘うなされてんだよ!」
「ええ、ほんと~?」
私は寝起きで、力が抜けた声で答えていたら、お母さんは、はぁ~、とため息をついた。
「もう、心配したんだから」
「ごめ~ん」
お母さんは、いきなり、私を思い切りだきしめ。
「クエンのことは、絶対守るから」
私は、お母さんの優しい声に、耐え切れず、私は泣いた。