バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第18話「DNA解析」

現在匙守音と白鳥はテナントビルの2階を捜査していた。ちなみに1階では何も見つからなかった。

「警部、この階にも特に目ぼしい物はありませんね」

「そうね……これ以上調べても進展はなさそうだしそろそろ移動しましょうか」

「はい」

その後2人は階段を使って最上階である3階へと移動し、そこで二手に別れて入念に現場捜査を始めた。結果匙守音はある一室の中で緑色の髪の毛を1本発見した。そこで彼女は思った。これはタカシの話に出てきた例のタトゥー女のものに違いないと。そしてその一方で白鳥の方は1本のタバコの吸い殻を発見した。その後2人は上ってきた階段近くで合流し、互いの発見した物を見せ合った。

「警部、これらの物から身元を割れるんじゃないでしょうか?」

「ええ、早速あの方達にお願いしましょう」

その後2人は千代田区にある警視庁科学捜査研究所へと行き、髪の毛と吸い殻に付着した指紋からDNA解析を依頼した。



「───いっせーの3!」

「いっせーの4!」

現在匙守音と白鳥は研究所内のある一室の席に座って指スマをしながら解析の結果を待っていた。そしてそれから少し経った後に部屋の中に白衣を着た男性が入ってきた。

「雷光警部!鑑定の結果が出ましたよ!」

そう言いながら男性は匙守音の元へと駆け寄ってきた。

「はい!これを!」

男性は匙守音に数枚の資料を差し出した。そして彼女はそれを受け取り、目を通した。そこにはDNA主の顔写真や生年月日、これまでの前科や持っている能力など詳しい情報が記載されていた。髪の毛1本や少しの指紋からそれだけの事が分かるとは……全く、科学の進歩というものはすごいものだ。20年前の2023年では考えられない。

~翡翠碧(ひすい みどり)~

性別:女。生年月日は2016年8月5日生まれの26歳。孤児院出身。種別:ミュータント。能力は全身から致死性の猛毒を生成する事。能力に目覚めたのは11歳の頃。14歳の頃に親友を虐めで自殺に追い込んだ同じクラスの女子生徒7名を毒殺し、ミュータント用女子少年院に4年間収容される。そして21歳の頃に自身を強姦しようとしてきた半グレグループの男16名を毒殺。その後裁判では正当防衛が認められ不起訴処分。その後の人生は不明。外見は緑色のセミロングヘアに凛とした美しい顔立ちであり、タカシが言っていた情報とほぼ一致していた。

「警部……この女が例の殺戮会とかいう組織のリーダーで確定なんでしょうかね?」

「……多分」

「よし!それじゃあ早速逮捕状を発行してこの女を捕まえましょうよ!」

「逮捕状……それは無理よみおちん……だってこの女が明確に罪を犯したという証拠がないもの」

「そ、そっか……」

「まぁいいわ、とりあえずこの女を捜すわよ」

「はい」

匙守音と白鳥は白衣男性に礼を言い、女を捜索すべくその場を後にした。

しおり