387章 食べたい
ミサキは2時間後に目を覚ます。
極限の空腹状態ということもあり、車の中で態度の悪いところを見せてしまった。
「おなかすいた、おなかすいた、おなかすいた・・・・・・」
ドリスは駄々をこねている女性に、くすっと笑ってしまった。
「ミサキさんはお腹がすくと、理性が崩壊してしまうみたいですね」
恥じらいよりも、おなかを満たすのを優先したいところ。ホノカにおにぎりを取り出すように命じた。
「ミサキちゃん、おにぎりだよ」
ミサキは体のバランスを崩し、ホノカと体を密着させてしまった。
「ホノカちゃん、ごめん・・・・・・」
「ミサキちゃん、本当にあったかい」
余韻に浸っている女性に、シノブは厳しい言葉をかける。
「ミサキさんに、ご飯を食べさせてあげましょう。早くしなければ、とっても危険な状態です」
ホノカと体を離したあと、30個のおにぎりをくれた。これを食べれば1~2時間くらいは、おなかをもたせられる。
「ミサキさん、しっかりと食べてくださいね」
「シノブちゃん、ありがとう」
ミサキは30個のおにぎりを、15分足らずで完食した。
「ミサキさん、おなかは持ち直しましたか」
「シノブちゃん、当分は問題なさそうだよ」
移動中においては、消費エネルギーは数倍に膨れ上がる。おなかペコペコの虫は、すぐに襲い掛かってくるに違いない。
今回の仕事に備えて、体重を45キロまでアップさせておいた。5キロ減ったとしても、40キロ
をキープできる。
「消費カロリーを減らすために、1時間くらいの睡眠を取りませんか?」
「シノブちゃん、すっごくいいアイデアだよ」
ホノカは睡眠を取ると聞き、膝枕の体勢を作っていた。
「ミサキちゃん、膝枕をするって約束したよね」
「わかった。ホノカちゃんの膝枕を利用する」
ホノカの膝の上に転ぶ。スタイルはあまり変わらないのに、感触はずいぶん違っていた。シノブは筋肉たっぷりなのに対し、ホノカはとても柔らかかった。