兄妹愛って、いいね
「でも、メリルは元気いっぱいだから、お母様のようになるには厳しい道のりだともいわれているよね?」
「そうですわ…」
今度は落ち込む妹の頭を、レイは優しくなでた。
「兄さまは、お前に小さな淑女として頑張ってほしくてあんなことを言ったんだよ」
「小さな淑女…」
「メリルならできるね?」
ニコリとほほ笑む兄に対し、妹は拳を握った。
「はい!私ならできますわ!」
「では、次は人の言葉を遮らないように気を付けようね。たとえそれが兄の言葉であってもだ」
「はいですわ!」
「ん、ではごほうびだ」
いつの間に買ったのだろうか。
レイの右手にはかわいらしい花の形をした飴細工が二つ握られていた。
「まあ、なんてかわいらしい!」
「隣の子と分け合って食べなさい」
「お兄様、ありがとう!」
ニコニコと本当に嬉しそうな表情を浮かべながら、息子と二人で分け合うために、屋台の方へと走っていった。
あっという間に表情がコロコロと変わる、かわいらしい女の子だ。
「・・・ええと、素敵な妹さんですね?」
「ああ、かわいらしいだろう?」
息子と妹の様子を眺めながらほほ笑んでいた。