バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

383章 疫病神がやってきた

 ホノカのお手伝いを始めて、二週間が経過することとなった。

「ミサキちゃん、今日は何をすればいいの?」

「食料の買い出しをするから、一緒についてきてほしい」

 緊急事態を想定して、食料を買いだめしておく。腹ペコ成人にとって、必要不可欠であるといえる。

「わかった。すぐに行こう」

 ミサキのおなかは空腹のサインを発する。

「おなかすいた。ホノカちゃん、卵焼きを作ってほしい」

「わかった。すぐに作るね」

 ホノカの料理は、とっても優しい味がする。口にした瞬間、幸せな気分になれる。

「卵焼きを作るまでは、好きなものを食べてね」

 自販機でおにぎり30個、納豆3つ、味噌汁30人分を注文。卵焼きを食べるときは、和食のほうがしっくりとくる。

 おにぎりを食べていると、巨大な卵焼きが出現した。

「ミサキちゃん、卵焼きできたよ」

「ホノカちゃん、ありがとう」

 卵焼きを食べた瞬間、顔がとろけていくのを感じた。

「ミサキちゃん、とっても幸せそうだね」

「うん。ホノカちゃんの卵焼きは最高だよ」

 最高の食事を楽しんでいると、玄関の扉がノックされた。

「ミサキちゃん、対応してくるね」

「ホノカちゃん、ありがとう」

 ホノカが扉を開けた直後、悲鳴のようなものが聞こえた。

「きゃあああああ」

「ホノカちゃん、どうしたの?」

「ば、ばけもの・・・・・・」

 ホノカはあまりに怖かったのか、家の中に避難していた。

 ミサキは扉付近で倒れている、アオイ、ツカサを発見する。

 まったく着替えていないのか、服装はボロ雑巾さながら。お金を持っているなら、新しい服と交換したほうがいい。

 お風呂に入っていないのか、強烈すぎる異臭を放っている。アンモニアに匹敵する、不快な匂
いだった。

「ミサキちゃん、食べ物・・・・・・」

「食べ物ちょうだい・・・・・・」

 アオイ、ツカサの頬は、彫刻したかのように痩せこけていた。このような状態で歩けるのは、奇跡としかいいようがなかった。

 目の前で死なれると、いろいろと面倒になる。早く帰ってもらうために、3日分の水と食料を差し出す。

「アオイちゃん、ツカサちゃん、水と食料だよ」

「ミサキちゃん、ありがとう」

 アオイ、ツカサは水を飲んだあと、ロールパンを口にした。

「おおいに生き返った。ミサキちゃん、ありがとう」

 アオイ、ツカサは他の人間にも、食料をおねだりしているのかな。前回の食料だけで、生きられるとは到底思えなかった。

しおり