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第6話「新たな犠牲者」

「あ~腹減った~」

校舎内4階。空腹で顔を歪ませながら教室に向かって廊下を歩いていた焔火。そんな彼の後ろから何者かが小走りで近づいて来る。

「燈~!!」

「ん?」

名前を呼ばれた焔火はパッと後ろを振り返った。するとそこにいたのは水咲姫だった。

「おう水咲姫か、おつ」

「お疲れ~い、ねぇねぇ、お昼一緒に食べようよ」

「ああいいよ、どこで食べる?」

「屋上は?」

「おっけ~い」

その後2人は教室に戻って制服に着替えた後に屋上に向かった。



「───ねぇ燈、どんな訓練やった?」

水咲姫は屋上の地面にあぐらをかいて座り、自家製弁当のタコさんウインナーを食べながら焔火にそう聞いた。そして彼の方は直径100cmはありそうな巨大なおにぎりを頬張りながら答える。

「俺?色々やったよ……遠く離れた人形を燃やしたりロウソクに火を灯したり……あとそれから200gの松阪牛焼いたり……水咲姫は?どんな事やったんだよ?」

「私?私はね~、10000度の炎を消火したり~……厚さ2mの正方形の塊を放水で粉々にしたり~……あとは水圧カッター作ってニンジンをスライスしたり」

「ほえ~……そんな事やったのか~……疲れた?」

「うん」

「能力使った後って妙な疲労感あるよな~」

「分かる分かる、運動した後とはまた違った感じの疲労感があるよね~」

2人はそんな他愛もない会話をしながら食事を進めていく。そして食べ物をある程度口に運んだところでまた水咲姫が焔火に話し掛ける。

「ねぇ、ところで燈、今朝のニュース見た?」

「ニュース?いや見てないけど……何かあったのか?」

「昨晩渋谷の路上で若い女性のバラバラ死体が見つかったって」

「昨晩……?バラバラ死体……?」

水咲姫の発言により焔火の脳内に、幼馴染みであり捜査一課の刑事でもある雷光匙守音が浮かび上がった。

(もしかして……昨晩シス姉が言ってた事件ってこの事か……?)

焔火は神妙な顔を浮かべながら思いふける。

「どうしたの?そんな神妙な顔して」

水咲姫の発言に焔火はハッと我に返る。

「ん?あ、いや……何でもない……てか怖いな~早く捕まるといいな~犯人」

「ね~」

2人はその後話題を変えて楽しい昼食の時間を過ごした。



~数時間後・渋谷某所~

「つまり……周囲から恨みを買ったりする様な方ではなかったという事ですね?」

「ええ、私の知っている限りでは……」

捜査一課の刑事、雷光匙守音は昨晩殺害された細川和代の知人女性に聞き込み捜査を行っていた。

「うう……!!どうして……!!どうして彼女が殺されなきゃならないの~……!?あんなに良い人だったのに~……!!」

聞き込みの最中に突然知人女性は泣き出した。すると匙守音は上着のポケットからハンカチを取り出して彼女にスッと差し出した。

「うう……すみません…」

女性はそれを受け取り涙を拭いた。

「ありがとうございます……」

女性は拭い終わったハンカチを匙守音に返す。そして彼女の顔を泣き立てホヤホヤの充血した目で見つめる。

「刑事さん……絶対に犯人を捕まえてください……彼女の無念を晴らしてください……」

「ええ、もちろんです、絶対に罪を償わせてみせますよ」

匙守音は凛とした顔で答えた。

プルルッ♪プルルッ♪プルルッ♪

匙守音の上手ポケットの中に入っていたスマホの着信が鳴った。

「ちょっと失礼」

匙守音はスマホを取り出して着信画面を確認する。

(みおちんか……)

かけてきた相手は部下の白鳥だった。

ピッ

「はいもしもし?」

「あ!警部ですか!?今どこにいます!?」

白鳥はどういうワケか非常に慌てた様子だった。

「どうしたの?やけに余裕のない感じだけど……」

「また……!また……!犠牲者が出ました!!」

「何ですって……!?」

匙守音は眉間にシワを寄せた。

「場所は!?」

「宮下公園です!!」

「分かった!!すぐに向かうわ!!」

匙守音は電話を切り、知人女性に別れの言葉を告げ、すぐさまパトカーに乗って現場へと向かった。

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