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 翌日。

 日中はマルゴが職人連中を連れてきて、居間兼寝所に、煮炊き可能な煙突つきの暖炉を作ってくれた。

 あとは、余った木材で小さなテーブルも作ってもらった。

 ためしに暖炉に薪を入れ、ファイアダガーで火をつけてみた。薪の暖炉は中々温かみがあって、風情があるなと思った。

 俺は嬉しくなって、彼らが帰った後、薪割りに精を出した。

 今度こそ、ユリナさんのことは忘れ、作業に没頭することができた。

 割った薪は鍛冶小屋に一時保管し、雨で濡れないようにした。



 夜はユリナさんの店に顔を出した。

 俺はあることに気がついた。

 この人と話しているとき、俺は安心している。多分俺にとって、最も重要な気がつきだったに違いない。

 ほぼ初対面の女に『安心する』など、俺に限ってはありえないことだ。

 恋に落ちるとは、お互いに心を許すことと同義なのかもしれない。

 そこには人として信頼関係が必要であるという、ただただ当たり前のことを言っているにすぎない。

 俺はプレゼントの本を、彼女に手渡す。「ユリナさんへ。ケイゴより」という一文を見て、彼女は嬉しそうに微笑んだ。

 こんな偶然もあるものかと思った。

 なんと二人のプレゼントは同じ『本』だった。

 しかも、ユリナさんは上下ダークブルーの服のおまけつき。彼女曰く、この色の服を着ている男の人が好きなのだそうだ。

 さっそく着替えてみたところ、彼女はとても嬉しそうな様子だった。

 そしてユリナさんがプレゼントしてくれた本は魔導書だそうだ。

 彼女も俺の本を読んでみたようで、内容に驚いていた。

 流石に釣り合いがとれないなとお金を払おうとしたが、拒まれた。俺の書いた本には価値があるらしい。

 俺は、ユリナさんが手渡してくれた本を鑑定してみた。

 すると、氷系統の生活魔法の基礎が書かれたものであること、本を開き呪文を唱えると魔法を習得できることがわかった。

 俺はさっそく魔道書を開き、手のひらを本に当てて、ユリナさんの真似をして、『魔法の言葉』を唱えてみた。

 すると、空中にキラキラと雪の結晶ができ、それはやがて透明な小さな氷の塊となって、ユリナさんが下に添えたグラスの中にカランと音を立てて収まった。


『個体名:奥田圭吾は魔法、アイスLv1を取得しました』


 彼女のグラスと自分のグラスに魔法で作った氷を入れて、蒸留酒のロックを作る。

 魔力を込める時間で氷の大きさが調整でき、ロックに丁度良い丸い形の綺麗な氷ができた。


 彼女の好きなものも本だった。その事実が、俺は嬉しかった。


 魔法で作ったキラキラと光る綺麗な形の氷の結晶が浮かぶ琥珀色の液体を、二人で仲良く飲む。

 俺たちの優しく楽しい時間は、ゆっくりと流れていったのだった。

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