第2章11話 坤の実験 スタークの新技
リモートでの緊急師団長会議をしている中、スタークのいる第3師団の基地に怪しい影が近づいていた。
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「さぁ、暴れておいで。」
次の瞬間、第3の基地が激しい揺れに襲われた。
スターク:
「どうした?」
団員:
「基地の外に大型の魔物が現れました。大きさとしましては約15m程と思われます。」
スターク:
「なに?霧の反応はなかったのか?」
団員:
「はい、反応は出ておりません。」
悠:
「スターク、大丈夫か?」
スターク:
「あぁ、少し抜ける。」
スタークは、席を離れて基地を襲っている魔物の討伐へ向かった。
悠:
「ソフィア、念のため現場に行ってくれ。もしかしたら【四門】がいるかもしれないから。」
ソフィア:
「わかった。行ってくるわ。」
ソフィアも自分の席からから離れて現場に向かった。
ソフィア:
「スターク、聞こえる?ソフィアよ。」
スターク:
「ソフィア?どうした何かあったか?」
ソフィア:
「私のそっちに向かっているわ。もしかしたら【四門】がいるかもって悠が。異変があったら報告して手伝うから。」
スターク:
「助かる。とりあえず俺は魔物の討伐をするから周辺の警戒を頼む。」
ソフィア:
「わかったわ。」
スタークが基地の外に出ると今まさに巨大な魔物が拳を振り下ろそうとしていた。
スターク:
「させるかよ。『影狼・影穴』」
スタークは『影穴』を使って魔物と自身を人気のない荒野に逸らした。
スターク:
「ちょうどいい。試したいことがあるから実験台になってもらうぞ。」
その頃、遠く離れたところでスタークの戦いを見ている者がいた。
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「あれがターゲット?」
坤:
「えぇそうよ、あれともう一人の師団長があなたのターゲットよ。巽。」
巽:
「へぇ、戦い慣れはしてるけどって感じかな。それより何なの趣味の悪いでっかいやつ?」
坤:
「いいでしょ、人間と魔物を何体か混ぜて作ったの。前のは力を求めて魔物だけ混ぜたけど人間を混ぜることによって知性を持つようになったの。」
巽:
「相変わらず気持ち悪いわね。」
坤:
「ひどいわね、女友達なんだから仲良くしましょうよ。」
巽:
「あんたと友達になった覚えはないし、あんた女じゃないでしょ。」
坤:
「心は立派なレディよ。」
巽:
「あっそ。」
その頃スタークは巨大な魔物と対峙していた。
スターク:
「まだ完全に成功したことはないが。」
スタークは自身の影を変形させて、日本刀サイズの剣を作り出した。
スターク:
「よし、形はできた。」
巨大な魔物が再び拳を振り下ろすと、スタークはその拳を避けて魔物の腕をつたって肩付近まで登っていって
スターク:
「切れ味試させてもらうぞ。」
スタークは魔物の肩関節に向かって影の剣を振り下ろした。
スターク:
「うーん、やっぱり悠のように切れないな。もう1回。」
再び、剣を振り下ろし魔物の腕を切り落とした。
スターク:
「オッ切れた、切れ味はまぁ十分かな。じゃあ次はもっと自由なイメージで。」
スターク:
『影狼・天狼孤影(てんろうこえい)』
剣を魔物に向かって下から振り上げると、刀身が伸びて魔物の胴体を両断した。
坤:
「あーあ、やられちゃったか。もうちょっとデータが欲しかったわね。」
巽:
「あれどうするの?持って帰る?」
坤:
「いやいいわ、邪魔なだけだし。帰るわよ今は戦う時じゃないからね。」
巽:
「そうね、早く霧だして。」
坤:
「もう、魔物遣いが荒いわね。」
坤と巽は帰っていった。
ソフィア:
「スターク終わった?」
スターク:
「あぁ、終わったぞ。【四門】はいたか?」
ソフィア:
「えぇ、遠くであなたの戦いを見てたわ。そのことも含めて悠たちに報告しましょう。」
スターク:
「そうだな。」
スタークたちはそれぞれの基地へと帰り、再び会議に参加した。
悠:
「大丈夫だったようだな。」
ソフィア:
「えぇ、ちょっと報告したいことがあるのだけどいいかしら?」
悠:
「あぁ頼む。」
ソフィア:
「まずは悠の読み通り【四門】は2体いたわ。手は出してこなかったけど。私が見た感じ1体は坤、そしてもう1体はこの間南部に現れた巽っていう魔物だと思われるわ。」
悠:
「成程、じゃあスタークが戦った魔物は坤が作り出したってことでいいのか?」
ソフィア:
「えぇ、間違いないわ。自分で言ってたしね。巽については情報を得られなかったわ。姿としてはすらっとした長身で鱗で覆われた龍のようなしっぽがある女性だったわ。」
悠:
「そうかありがとう。」
ソフィア:「あっそれと。」
ソフィアは何かを思い出したかのように声を上げて
ソフィア:
「坤は今はまだ戦う時じゃないって言ってたわ。」
悠:
「それはでかい情報だ。こっちの方針も決めやすくなる。ありがとう。」
ソフィアは少し照れながら嬉しそうに笑った。
悠:
「それじゃあさっきの議題の続きだけど、俺はやっぱりこっちの力をつけるのに専念するべきだと思う。」
マキシム:
「そうじゃな、さっきの報告によればそれが正しいじゃろうな。」
李:
「俺も賛成ネ。今攻めていって戦力ヲ失うことガ一番の損失ネ。」
悠の意見は師団長全員が賛成した。
悠:
「よし、それじゃあ育成、訓練の方針を決めていくぞ。」
会議は夜遅くまで続いた。