361章 落ち込むホノカ
ホノカは一人部屋で、いつにもなく落ち込んでいた。彼氏と破局したこと、子供を流産したことは、一人の女性の心に大きな傷を残す。
ミサキは彼氏を作ったこともなければ、流産した経験もなかった。彼女の傷に寄り添うのは、厳しい状況といえる。
ミサキは優しく背中をさすった。ちょっとでも元気になってほしい、という思いを詰め込んでいた。
「ミサキちゃん、ありがとう」
消え入るような声だったからか、不安は増すこととなった。
ホノカのところに、アヤメはゆっくりと近づく。
「ホノカちゃん、クヨクヨしていてもどうにもならないよ。前に進むことだけを考えないと・・・・・・」
「アヤメちゃんのようには強くなれないよ・・・・・・」
アヤメの性格は、悩んでいる人にはマイナスに作用する。ホノカの心の傷に、塩を塗るような展開にならなければいいけど・・・・・・。
「ホノカちゃん、外の空気を吸いに行こう」
「アヤメちゃん・・・・・・」
「部屋に閉じこもっていたら、ドツボにはまっていくだけ。つらいこと、苦しいことがあったときこそ、外の空気を吸ったほうがいいよ」
「わかった」
アヤメが差し出した手を、ホノカはゆっくりとつかんだ。
「ホノカちゃん、いこう」
「アヤメちゃん、ありがとう」
孤独を生き抜いてきた、女性の中に存在する優しい一面。アヤメに対する印象は、少しだけ変化することとなった。