355章 メガ盛りラーメン
ホノカは立ち上がった。
「私は部屋に戻って、睡眠を取ってくるね」
昼から堂々と睡眠を取れる。当たり前のことなのに、とってもうらやましいと思えた。腹ペコ女性が同じことをすると、おなかペコペコで苦しむことになりかねない。十分な睡眠を取れるのは、夜の時間帯のみとなっている。
一人きりになったあと、ご飯を食べに行こうかなと思った。おなかをあらかじめ満たしておくことで、心に余裕を持たせることができる。
ホテルをあとにしたあと、「豪華満腹」というラーメン店に入った。しっかりと腹ごしらえをして、夜御飯の時間に備えておきたい。
「いらっしゃいませ・・・・・・」
20くらいの女性に、ラーメンの注文を伝える。
「メガ盛りラーメンを10人前ください」
メガ盛り一人前=通常三人前くらいかな。三〇人分のラーメンなら、問題なく食べられると思われる。
「ミサキさん、すさまじい食欲ですね」
自分のおなかをさすった。大量に食べているはずなのに、贅肉はほとんど同じ。大量消費カロリー女性は、どんなに食べても豚になる気配は見られなかった。
「どんなに食べても、すぐにおなかすきますから・・・・・・」
カロリーを消耗するときは、おなかのすき具合はさらに加速する。底なしさながらに、食べる生活を送ることになる。
「ミサキさんといえど、メガ盛りラーメン10人前は厳しいと思います。量を減らしたほうが無難ではないでしょうか」
「メガ盛りラーメン1人前は、どれくらいの量ですか?」
「メガ盛り一人前で、ラーメン30束、チャーシュー50枚、メンマ50枚、ネギ200グラムです。通常の人には絶対食べられない、超豪華ラーメンとなっております」
メガ盛りという表現をやめて、人間不可能盛に変更したほうがいい。現状の名称のままだと、大量の犠牲者が出かねない。
「メガ盛りを完食したら、初の快挙です。ミサキさんに、挑戦していただきたいと思っています」
「わかりました。ラーメンに挑戦します」
「食べきれなかった場合については、2000ペソを追加料金としてもらっております。それにつきましては、ご了承いただきたいと思います」
「わかりました」
「お金を持っているのかを確認させていただけると・・・・・・」
ミサキは財布の中から、10000ペソを取り出す。
「これでいいですか?」
「ミサキさんは、超大金持ちですね」
「いろいろな仕事をしていますから・・・・・・」
一週間前にアイスクリームの追加報酬を獲得。金額は初回と同じで、懐は大いに潤うこととなった。
「ミサキさんクラスになると、報酬の桁も変わるみたいですね」
焼きそば店だけは通常の報酬である。売上額も少ないとあってか、給料アップにはなかなかつながらない。
「メガ盛りラーメンを作ってきますので、しばらくお待ちください」
「わかりました・・・・・・」
どんなラーメンが登場するのか。ミサキは期待半分、不安半分だった。