329章 過去の恨み
ミサキは食事として、味噌ラーメン、餃子、から揚げ、チャーハンを提供する。げっそり度合いからすると、これくらいは食べられると思われる。
「アオイちゃん、ツカサちゃん、ご飯だよ」
アオイ、ツカサは食事にがっつく。食べっぷりを見ていると、数日ぶりの食事に感じられた。
二人は元気になったらしく、体をぴんぴんに動かしていた。
「ミサキちゃん、ありがとう」
「ミサキちゃんのおかげで、一命をとりとめたよ」
危機を救ったにもかかわらず、前向きな気持ちは芽生えなかった。焼き肉店のできごとは、脳内に深く刻み込まれている。
アオイ、ツカサは心の弱い部分を巧みについている。ミサキは卑劣な性格を、絶対に許そうとは思わなかった。
「おなかを満たしたなら、すぐに帰っていただけませんか」
心の中にある闇は、二人の受け入れを完全拒否。
「ミサキちゃん・・・・・・」
ツカサは深々と頭を下げる。
「いろいろとごめん・・・・・・」
謝ったからといって、許されるとは限らない。人間社会においては、絶対に許せないことは山のように存在する。
ミサキは入口の扉を開ける。
「すぐに帰ってください。長期滞在した場合は、警察に通報します」
アオイ、ツカサは観念したのか、家からいなくなった。疫病神とお別れできたことに対して、すがすがしい気持ちになった。