326章 膝枕
しっかりと食べたことで、おなかは安泰を取り戻すこととなった。
「ワンダフル、グレイテスト、クレスト・・・・・・」
DARZは大食いにたくさんの拍手を送る。賞賛されているはずなのに、恥ずかしい気分になっ
ていた。
「ミサキさん、焼きそばを作ってください」
「焼きそばですか?」
「はい。ミサキさんの焼きそばを、食べてみたいです」
焼きそばを調理する予定はなかったため、冷蔵庫に具材は入っていなかった。すぐの調理は不可能である。
「具材を購入しないといけないので、すぐに作ることはできません」
DRAZはがっくりとうなだれる。ショックを受けているのは、はっきりと伝わってくる。
「ミサキさんの焼きそば・・・・・・」
「具材を購入してくるので、ここで待っていただけませんか?」
スーパーは往復で1時間程度。腹ペコ少女であっても、問題ないと思われる。
「それは無理ですね」
「どうしてですか?」
「30分後に迎えがやってきます。その車に乗って、仕事に向かうことになっています」
DRAZといられるのは、あと30分だけ。そのことを知って、寂しい気分になった。
「焼きそばは次回の楽しみにします。スケジュールをやりくりして、一年以内にはこられるよう
にします」
超一流のスケジュールは、秒刻みであると思われる。やりくりをすることはできるのだろうか。
「ミサキさん、膝枕をお願いしたいです」
「わかりました」
ミサキは膝枕の体勢を作ると、DRAZはすぐに横になった。
「太腿をさすってもいいですか?」
「どうぞ、さすってください」
ミサキの太腿の上に、DRAZの掌が乗せられる。これまでのだれよりも、ひんやりとした掌をしていた。
「ミサキさん、たくさん触りますね」
「○○だけはやめてくださいね」
「わかりました・・・・・・」
DRAZは膝の上で眠り、涎をたらした。不潔だとは思いつつも、そのままにすることにした。
彼女に一秒でも多く、休みを取ってほしかった。