327章 二つの選択
DARZは車にのせられていった。睡眠不足は深刻なのか、瞼はとっても重そうだった。
一人きりになったあと、室内は暗くなった。
「ミサキさん、こんにちは・・・・・・」
「妖精さん、どうかしたんですか?」
「20歳を迎えたので、これからのことを話します」
「これからのこと?」
ミサキの頭の中に、大量のクエッションマークが浮かぶ。
「ミサキさんに二つの選択肢を用意しました。一つ目は腹ペコガールとして生き続ける、二つ目は通常の体で生きていくというものです」
「通常の体になると、どうなるんですか?」
「1日の摂取目安カロリーは、2000キロカロリーとなります。これまでのように、たくさん食べる必要はありません」
「摂取カロリーは変えられないといっていたような・・・・・・」
「20歳になった時点で、変更できるようになります。通常の人として生きたいのであれば、摂取カロリーを減らしても構いません」
漫画でよく耳にするご都合主義である。設定を簡単にいじれるようにすることで、過去の世界
は矛盾ではなかったことを証明する。
2000キロカロリー少女になれば、格段に生活しやすくなる。子供を出産することだってできる。生活を続けていくにあたって、恩恵は非常に大きいといえる。
メリットはあるにもかかわらず、通常の体に戻りたいとは思わなかった。腹ペコ少女として、たくさんのご飯を食べ続けたい。
「ミサキさん、どうされますか?」
「腹ペコ少女のままで生きたいです」
「わかりました。これからも人気者であり続けてくださいね」
「人気者なのかはわからないけど、いろいろな人の支えになれるといいですね」
「設定を変えたいときは、いつでもいってくださいね」
「わかりました」
「私は失礼します」
妖精は姿を消した。そのあと、室内はおおいに明るくなった。