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第八十四話 それぞれの恋模様

 冒険者ギルドの待合室でハリッシュが呟く。

「ヒナさん、遅いですね」

 ジカイラが答える。

「皆、先に帰って居ると良い。オレが残っているよ」

「判りました。では、先に帰っていますので、ヒナさんをよろしく」

 そう言ってハリッシュ達は、ジカイラとヒナを残して先に迎賓館へ帰る。







 ハリッシュ達が迎賓館に着いたのは、夜半になってからであった。

 ハリッシュとティナ、ケニーは、迎賓館のホールで街で購入した夕食を食べ始める。

 ラインハルトとナナイを用意した夕食に呼ぶため、クリシュナがナナイの部屋に向かう。







 クリシュナは、ナナイの部屋のドアをノックするが反応は無く、留守のようだった。

 次にクリシュナはラインハルトの部屋へ向かう。

 クリシュナがラインハルトの部屋のドアをノックしようとすると、ドアが僅かにひとりでに部屋の内側へ開いた。

(・・・開いてる?)

 クリシュナはそう思って、ドアの隙間から部屋の中を覗き込む。

 部屋の中からナナイの喘ぎ声が聞こえてくる。

(ナナイの声!?)

 驚いたクリシュナはベッドの方を見る。

 クリシュナが見た目線の先には、天蓋付きの豪華なベッドの上で、互いに絡み合い、愛し合うラインハルトとナナイの姿があった。

(えええええっ!?)

 クリシュナは、性や恋愛に興味や関心はあったが、知識も経験も無かった。

 クリシュナは赤面して固まり、ベッドで二人の愛し合う行為に見入ってしまう。次第に自分の顔と下腹部が熱くなる。

 ラインハルトは、正常位で上から覆い被さるようにナナイを抱いていた。

 ラインハルトの腰の動きに合わせて、ナナイはよがり、喘いでいる。

「ああっ・・・あうっ・・・はぁっ・・・あっ」

(・・・あのナナイが、あんな声出すのね。・・・凄く気持ち良さそう)

 普段の隙の無い毅然とした副官として振る舞っているナナイの姿と、ベッドでラインハルトに抱かれて喘ぐナナイの姿のギャップにクリシュナは戸惑う。

 クリシュナの目に、ラインハルトの大きな男性器がナナイの秘所に挿入されているのが見える。

 それは、白濁したナナイの体液にまみれながら、何度もナナイの秘所を浅く深く、刺し貫いていた。

 ナナイの秘所から溢れでる白濁した体液はシーツまで滴り、淫靡な音を立てている。

(お、男の人のアレって、あんなに大きくなるの!?アレが膣内に入るの??)

 次第にラインハルトの息使いと腰の動きが激しくなり、ラインハルトがナナイを突き上げる音が大きくなる。やがて、ナナイの下半身が痙攣し始める。

(す、凄い!!)

 程なくラインハルトがナナイの膣内に射精する。

 ラインハルトが射精した精液が、子宮の入り口に当たる度に、余程気持ち良いのか、快感でナナイの体がビクン、ビクンと動いていた。

(あ、あんな風になるの?)

 二人が行為を終え、キスし始めたところで、クリシュナは我に帰る。

 クリシュナは、慌ててラインハルトの部屋から離れる。

(私、こんなになってる・・・どうしよう)

 二人の行為を見た自分が欲情して、秘所から滴る体液が下着を濡らしているのが判った。








 クリシュナはホールに戻った。

 ハリッシュがクリシュナに話し掛ける。

「二人はどうしました?」

「もう少ししたら、来ると思う」

「クリシュナ? どうしました? 顔が真っ赤ですよ?」

「大丈夫」

 クリシュナは俯いた。平静を装いながら、チラッチラッと横目でハリッシュを伺いながら、食事する。

(・・・私も・・・ハリッシュと)

(・・・けど、どうすれば良いのかしら?)

(私の方からベッドに誘う? ・・・恥ずかしいけど。)

(・・・したら、すぐに赤ちゃんが出来たりして)

(そうだ! 後でナナイが来たら、聞いてみよう!!)







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 ルードシュタットの冒険者ギルドで転職に一番時間が掛かったのは、ヒナであった。

 ヒナが最後に転職を終え、ギルドの出口に向かうと出口でジカイラが待っていた。

「あー。ジカさん、待っててくれたんだ」

「外は、もう暗くなっているからな。他の連中は先に帰したぞ」

「そうなんだ」

「ほら、帰るぞ」

 馬車に向かうジカイラの後をヒナがついていく。

 二人は馬車でルードシュタットの迎賓館への帰途につく。

 二人きりの空間でヒナがジカイラに話し掛ける。

「馬車を二台借りると、その分、余計にお金掛かるでしょ?」

「必要経費は帝国軍持ちだ。気にするな」

「ジカさん、優しいんだね」

「そうか?」

 ヒナは御者として手綱を握るジカイラの横顔を見詰める。

「あのね。ジカさん」

「ん?」

「真面目に聞いて欲しいんだけど」

「なんだ?」

 ヒナの方を向いたジカイラに、ヒナが想いを打ち明ける。

「士官学校の寮で落ち込んでいた私を励ましてくれて、ありがとう」

「私が一人で夜の街に出掛けた時、私を守ってくれて、ありがとう」

「メオスで夜番していた時、ゾンビと戦ってくれて、ありがとう」

「今も、こうして、帰りが遅くなった私を待っててくれて、傍に居てくれて、ありがとう」

 ヒナの言葉にジカイラは驚いて尋ねる。

「どうしたんだ?急に畏まって??」

「きちんと御礼を言っておきたかったの。それと、ジカさんに一番伝えたい、大切な事があるんだけど」

「んん?」

「ジカさん。貴方が好きです」

 ヒナの告白にジカイラは固まる。

 見つめあう二人とも照れて、顔がほんのり紅潮する。

 しばしの沈黙の後、ジカイラが口を開く。

「・・・オレみたいなアウトローで良いのか?」

「うん」

「オレはラインハルトやナナイみたいな『神に選ばれし者』じゃないぞ?それこそ、捨て子で家名さえ無いんだからな」

「うん」

「オレが頭に担ぐのはラインハルトだけだ。事の次第によっては、オレはラインハルト達と新大陸に行くかも知れないぞ?」

「私もついていく」

「海賊になるかも知れないぞ?」

「私も一緒に海賊になる」

「・・・苦労するぞ?」

「構わない」

 雲の隙間から差し込む月明かりが、身を乗り出して顔を近づけて真剣にジカイラを見詰めるヒナの顔を照らす。

 ジカイラは左手でヒナの頬に触れる。

「・・・オレにはもったいないくらいの美人」

 そう言い掛けたジカイラの唇をヒナの唇が塞ぐ。

 ヒナはそのままジカイラの首に両腕を回して抱き付く。

 ジカイラは左腕をヒナの腰に回して抱き寄せる。

 ジカイラにキスし終えたヒナは、にっこり微笑む。

「ファーストキスだよ」

 そう言ってヒナはジカイラの肩にもたれ掛かる。

 夜の帳の中を二人を乗せた馬車は、迎賓館への帰途を進んでいく。

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