第七十八話 進路、帝国魔法科学省へ
小隊は次の目標となる帝国魔法科学省へ航空母艦ユニコーン・ゼロの進路を向けた。
『狼の巣』からの帰還した小隊は、それぞれ休息を取る。
ラインハルトとジカイラが浴場で鉢合わせする。
ジカイラがラインハルトに話し掛ける。
「結構、派手にやられたようだな」
「軽い火傷さ。ティナに回復魔法を掛けて貰うまでもない」
ラインハルトは、ナナイを庇って
「ジカイラこそ、脇腹に一撃食らっただろ?」
「アレはティナに治して貰った。脇腹だったから良かったが、当たりどころが悪かったらと思うとゾッとするぜ」
二人は他愛ない話しをしながら、浴槽に浸かる。
ラインハルトはお湯が火傷に染みる。
(痛たた・・・結構、あちこち火傷しているんだな)
小隊の女の子四人は、一緒に入浴しに行く。
脱衣場でヒナとティナが、ナナイの胸元にあるキスマークを見つける。
ヒナがナナイに話し掛ける。
「ナナイ、これって・・・?」
ヒナがナナイの胸元のキスマークを指差す。
「ああ、これ? キスマークよ。
ナナイはちょっとだけ自慢気にヒナに話す。
今朝、ラインハルトに胸を吸われた際に付けられた事はナナイも知っていた。
ナナイの後ろに居るクリシュナが驚いて話し掛ける。
「ええっ!? 彼に口で吸われたの?? これ全部!?」
「えっ!?」
ナナイは驚く。
「ほら・・・。ココと、ココと、ココ」
クリシュナが指先でキスマークを突っついてナナイに教える。
ナナイの知らないところにもラインハルトはキスマークを付けていた。
太腿の内側で秘所の近くに二ヶ所、お尻に一ヶ所であった。
ナナイは前戯の快感でラインハルトにキスマークを付けられたことに気が付かなかったのだが、何事も無かったかのように取り繕う。
ナナイは照れ臭そうに周囲に話す。
「
他の三人の顔がみるみる赤くなる。
特にクリシュナは興味津々で、ナナイの体のキスマークをまじまじと見ながら、「どのように口で吸われたのか?」を想像していた。
(キスマークって事は、口で吸われたって事よね? キスマークはこっちが上だから、顔はこっちから、こういう風に・・・。ええええっ!? 全部、丸見えじゃない!?)
真っ赤な顔でクリシュナがナナイに話し掛ける。
「す、凄いわ・・・。ナナイは大人ね!!」
ナナイも少し恥ずかしくなる。
「そう?」
四人は体をお湯で流して、浴槽に浸かる。
ティナがナナイに尋ねる。
「ねね。『初めてのとき』って、やっぱり痛いの?」
「ん~。個人差があるんじゃない? 私のときは挿入する時に少し。
ナナイは自慢気に話し、『ラインハルトに抱かれた』という優越感に浸っていた。
拠点間を移動する間、ほとんどの小隊メンバーは休息を取れるが、飛空艇の整備、北部方面軍への報告書作成、帝国魔法科学省の探索計画と、ラインハルト、ナナイ、ハリッシュは忙しくしていた。
ラインハルトはアキックス伯爵宛に報告書を書いた。
『
そこは革命政府の麻薬製造拠点となっており、小隊は麻薬原料と生産設備を破壊したこと。
次に目指す拠点は、帝国魔法科学省であることなどを書き綴り、フクロウ便で北部方面軍のアキックス伯爵へ送った。
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--首都 ハーヴェルベルク 革命宮殿
メオス王国との国境の街ヴァンガーハーフェンが帝国軍に制圧されたことと、『
革命政府の主な収入源は奴隷貿易と麻薬取引である。
奴隷の調達先であったメオス王国との接点が失われたことと、虎の子の烈兵団を失ったこと。
『
この事実は革命政府が主な収入源と革命軍の主力を失った事を意味していた。
更に、アキックス伯爵が率いる帝国北部方面軍、帝国竜騎兵団がヴァンガーハーフェンに攻めて来た事は、革命政府の幹部さえ動揺を隠せなかった。
農民主体の革命軍では、職業軍人の帝国軍に全く歯が立たない事は周知の事実であった。
革命政府主席にして革命党書記長のヴォギノ・オギノ(vogino ogino)は、焦っていた。
主な収入源を失い、革命政府が経済的に立ち行かなくなることは明らかであった。
ヴォギノはコンパクを呼び付けると、指示を出した。
「コンパクよ。革命党本部を密かに『
「判りました」
しばらくするとヴォギノは宮殿に飾ってあった花瓶を床に投げ捨てる。
(糞ッ! 糞ッ! どうしてこうなった!?)