第六十八話 慰めと安息
--夜
夕食は士官用ラウンジで小隊メンバーが揃って取ることとなった。
ラウンジでの夕食は、肉類中心の豪華なものであり、革命軍の食事事情とは大きく異なっていた。
ジカイラが食べながら話す。
「帝国軍は、食事まで豪華だ。経済的に余裕があるんだな」
ハリッシュが答える。
「帝国の各方面軍は、交易公路や経済的な要衝を押さえていますからね。それに・・・」
「それに?」
「『上に立つ者』が違いますよ。革命政府とは対極的ですからね」
「なるほどなぁ」
夕食が終わったところで、ナナイが
ラインハルトがナナイの提案に賛同する。
「確かに。一理あるな」
ハリッシュもナナイの提案に賛同する。
「ナナイ。私も賛成です。
反対意見はなく、ラインハルトとハリッシュの賛同でナナイの提案は決まった。
夕食後、小隊のメンバーはそれぞれ自分の部屋に戻る。
ナナイは自分の部屋に戻ると、入浴を済ませてラインハルトの部屋へ向かう。
ナナイは、ラインハルトの部屋のドアをノックした。
「どうぞ」
ラインハルトの返事にナナイは部屋の中に入る。
ラインハルトは入浴を終えてガウン姿でベッドに横になり、寛ぎながら読書をしていた。
二人きりになると、ナナイはラインハルトに甘える。
ナナイはベッドでラインハルトの傍らに腰掛けると、ベッドの上のラインハルトに抱きついて上に乗る。
抱きついたナナイがラインハルトを労う。
「お疲れさま」
ラインハルトは右手でナナイの髪を漉き、頭を撫でる。
「君こそ。要塞の事前偵察は、私も見落としていた。良く気が付いたね」
ナナイは微笑んで答える。
「当然よ。私は貴方の副官なんだから」
そう言うとナナイは、両腕をラインハルトの首に回し、舌を絡めてねっとりと深くキスした。
キスし終えた後、ナナイは上体を起こして羽織っていたガウンを脱ぐ。
形の良い、美しい双丘がラインハルトの目の前に現れる。
頬を紅潮させたナナイは、意を決したように両手をラインハルトの頬に当てると、再び深くキスする。
キスしながらナナイは、ラインハルトが羽織っていたガウンを脱がせる。
ナナイは、ラインハルトの胸板を両手で撫でると、首筋、胸、腹とゆっくりと順番にキスしていく。
そしてラインハルトの下着も脱がした。
既に大きくなっているラインハルトの男性器が露になる。
ナナイは雑誌の図解の解説にあったとおり、一度、男性器の裏側を根元から先へ舌先で舐め上げると、雁首の裏側の小帯を舌先で繰り返し舐めた。
ラインハルトは、いつになく積極的なナナイに違和感を覚える。
「・・・ナナイ?」
ナナイは悪戯っぽく笑って答えた。
「そんなに驚く事は無いでしょ? 大丈夫。任せて。」
そう言うナナイも不安ではあった。
しかし、ナナイが雑誌の図解のとおりに、ラインハルトの男性器を舌先で舐めると、更に膨らんで固くなって赤紫色に充血し、脈打っていた。
雑誌の図解と解説は『効果があること』が確認できた。
ナナイは男性器を口で咥え、そのまま吸うように、男性器の雁首に頬の内側が擦れるように、上下に動かす。
ラインハルトの男性器は、ナナイの腕ぐらいのサイズがあり、口で咥えるのは大変であったが、苦にはならなかった。
十分もしないうちにラインハルトは、ナナイの口の中に子種を放った。
ナナイは、脈を打って口の中に大量に出されたラインハルトの子種を飲み込む。
口淫を終えたナナイは、すこぶる上機嫌で微笑むと、再びラインハルトに甘える。
「ねぇ・・・腕枕して」
「ああ」
ラインハルトは左腕でナナイに腕枕をした。
ラインハルトが少し不安げにナナイに尋ねる。
「どこでこんな事を覚えたんだ?」
「本で読んだの。私もするのは初めてよ」
ナナイは『低俗な雑誌』の事は口にせず、以前読んだ宗教書の一節をラインハルトに話す。
「以前、読んだ本にこう記されてあったわ。『愛が欲しくば、愛を与えよ』、『男の庇護と糧が欲しくば、女は慰めと安息を与えよ』とね」
「慰めと安息か・・・確かに」
ナナイはラインハルトの胸を指先でなぞり、エメラルドの瞳で顔を覗き込んで、口淫の感想を尋ねる。
「どう? 気持ち良かった?」
「すごく良かったよ」
ラインハルトの答えを聞き、ナナイは幸福感と満足感で胸が一杯になる。
「良かった。安心した」
そう言うとナナイは、ラインハルトの腕の中で幸せそうに微笑み、顔を見つめていた。
ナナイは、以前にマリー・ローズから受けた侮辱がずっとトラウマになっていた。
家柄や血統、容姿や教養、戦闘能力や職務遂行能力では、ラインハルトや帝国四魔将などの極めて極一部の者を除き、ナナイは誰にも負ける気はしなかった。
しかし、『女として愛する男に慰めと安息を与えられるのか』という事は、知識も経験も無かったため、全く自信が無かった。
マリー・ローズからの侮辱にナナイが激昂したのは『図星』であったため。
だが、今夜、『女として愛する男に慰めと安息を与えることが出来た』事が、ナナイからトラウマを拭い去り、幸福感と満足感を与えていた。
三日月が浮かぶ満天の星空の中を航空母艦は西へと進んで行く。
束の間の安息の夜は更けていった。