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259章 他の来場予定歌手

 浴衣姿の女性は、食器をさげるためにやってきた。

「歌手は豪華でしたね。普段から、ああいう方をお呼びしているんですか?」

 浴衣姿の女性は苦笑いする。

「あそこまで豪華なのは、初めてですよ。普段は予算の範囲内で、歌手をチョイスしています」

「昨日は特別予算を組んだんですか?」

 ミサキの質問に対して、首を横に振った。

「あの3組に依頼をしたら、宿は一瞬で消滅してしまいます。1組に依頼するだけで、1000万ペソはくだらないといわれています。私共のホテルでは、呼ぶことはできません」

 1組で1000ペソ。超一流に依頼するためには、かなりの大金を積む必要がある。

「3組はどうしてやってきたんですか?」

「ミサキさんの予約日に、マネージャーがやってきたみたいです。マネージャーが宿泊日を伝えたら、ライブをしたいと申し込みされました。お金は払えないと伝えたら、無料でいいといってくださいました」

 1000万ペソの依頼料を捨てて、旅館のライブにやってくる。ズービトル、ルヒカ、エマエマの心意気が伝わってきた。

「ミサキさんがいなければ、3組のライブは実現しませんでした。一人の人間の影響力の大きさ
を感じます」

 浴衣姿の女性は、追加情報を口にする。

「ラクマキイさん、DARZさん、S&A&Kさんも参加予定だったのですが、日程の都合でキャン
セルになりました。ミサキさんの宿泊日次第で、こちらにやってくるといっていました」

 ラクマキイ、DARZ、S&A&Kもトップクラスの歌手。参加していたら、会場はさらに盛り上がっていたと思われる。

「3組のお目当ては、ミサキさんです。ミサキさんに会うためだけに、ライブをやりたいといっていました」

 浴衣姿の女性は、頬をさすった。

「業務に専念するべきでしょうけど、従業員も特別参加していました。大物を見られる機会は、
とっても貴重です」

 ズービトル、ルヒカ、エマエマは他国を拠点とする。国内で会える機会は、非常に希少といえる。

「ズービトルとのハグは、とってもうらやましいです。私だったら、すぐに体を寄せていたでしょう」

 ハグをしなかったことに対して、未練は残されていない。好意を持っていない男性に、体を寄せられるのはNGだ。

 ルヒカ、エマエマとのハグは最高だった。彼女たちの体温は、大量の安らぎを与えてくれた。

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