242章 それぞれの食事
ユタカはフォアグラを口にする。
「おいしい」
ミサキもフォアグラを食べる。高級なものを使っているのか、濃厚で口の中でとろけた。深い旨味、コクなどもあった。
フユコはステーキを食べた直後、アホ毛はまっすぐに伸びる。
「おいしすぎるのだ。いくらでも食べられそうなのだ」
口の中に入れただけで、肉の繊維は崩れていく。こんなに柔らかい肉を食べたのは、人生で初
めてである。
フユコはあっという間に、ステーキを食べ終える。
「おかわりを食べたいのだ」
「かしこまりました。おかわりをお持ちいたします」
フユコのアホ毛は、浴衣姿の女性に向けられた。
「おかわりしてもいいんですか?」
「いいですよ。好きなだけお代わりしてください」
フユコは肉の枚数を伝える。
「5枚のお肉をください」
「かしこまりました。5枚の肉を用意させていただきます」
ユタカもステーキを食べ終えた。
「肉が柔らかい。とってもおいしかった」
ユタカの元に、別の女性が近づいた。
「お客様、おかわりはなさいますか?」
「1枚だけ、お願いします」
「かしこまりました」
フユコはキャビアを口にする。先ほどまではピンと立っていた、アホ毛はおおいにしぼんだ。口にはしていないものの、おいしくないことは伝わってきた。世界三大珍味であるものの、評価
は割れやすい食べ物である。
マイはステーキを口にする。
「こんなに柔らかい肉は初めてだよ」
シノブも同調した。
「本当に柔らかい・・・・・・」
シラセは肉を切った直後、苦虫を嚙み潰したような顔になった。
「ウェルダンで食べたい」
ホテルのステーキの仕上がりはレア。しっかりと焼いてほしい人には、抵抗のある焼き方になるようだ。
シラセは浴衣姿の女性に声をかける。
「すみません。ウェルダンをお願いします」
浴衣姿の女性は、深々とお辞儀をする。
「かしこまりました。ウェルダンを用意させていただきます」
シラセのテーブルに置かれた肉は、あっという間に片付けられていた。