241章 腹ペコ
シノブ、マイなどのサポートもあって、食堂までたどり着けた。
「シノブちゃん、マイちゃん、ありがとう」
ミサキたちのところに、浴衣姿の女性が近づいてきた。
「夕食をご準備しています。あちらにおかけください」
極度の腹ペコからか、体は左右に揺れた。
「ミサキさん、大丈夫ですか?」
「シノブちゃん、おなかすいたよ」
お風呂で汗をかいたからか、空腹はいつもより進行していた。
「おなかを満たすために、すぐに何かを食べましょう」
「うん。そうだね」
シノブ、マイの力を借りたことで、席に座ることができた。
「ミサキさんに、すぐに食事をお願いします」
食事をちょっと遅らせるだけで、命の危機にさらされる。腹ペコ少女のライフストーリーは、いばらの道である。
「わかりました。すぐにお持ちいたします」
5人くらいの浴衣姿の女性が、次々とメニューを並べていく。てきぱきとしながらも、正確さも兼ね備えていた。
ミサキの席に、大量の食事が置かれる。食事の量があまりに多すぎて、机からはみ出しそうになっていた。
「ミサキさん、おにぎり50個、ステーキ20人前、キャビア20人前、フォアグラ20人前、サラダ、スープです」
ミサキは食欲にあらがえず、おにぎりを口に中に放り込む。
「おいしい。米がとっても甘い」
1分足らずで、3個のおにぎりを食べる。空腹から解放されていないのか、体は食べ物を強烈に欲していた。
追加で10個のおにぎりを食べる。空腹から若干解放され、気持ちに余裕が生まれることとなった。
ミサキはスープを啜った。やさしい塩味によって、体はやんわりと包み込まれていく。
「みなさまにも、食事を準備します。しばらくお待ちください」
シノブ、マイ、ユタカ、シラセ、フユコは別のテーブルに移動した。一人きりで食事をしていることに、少しばかりの寂しさを感じた。