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230章 ホテルに入る

 6人でホテルに足を踏み入れた。

 ユタカはホテルのすごさを、短い言葉に凝縮する。

「豪華、すごい」

 フユコのアホ毛は、まっすぐに伸びていた。

「ここに泊まれるなんて、夢を見ているみたいなのだ」

 シラセは瞳をときめかせていた。

「本当にすごい・・・・・・」

 マイはいつものテンションで、ホテルの中をじっくりと観察する。ハイテンションにならなければ、非の打ちどころのない女性である。

「素晴らしいホテルを、しっかりと焼き付けておきたい」

 ミサキは受付に向かった。部屋に入る前に、手続きを済ませる必要がある。

「すみません」

 浴衣を着た女性は、満面の笑みを浮かべる。

「御一行様、お待ちしておりました」

 浴衣を着た女性は、ていねいにお辞儀をする。所作の一つを見ても、他とはレベルは異なっていた。高級ホテルは、心のおもてなしにもこだわりを見せる。

「食べ物の所持をチェックするため、荷物検査をさせていただきます」

 シノブは荷物検査の前に、

「食べ物は持ち込み禁止ですか?」

 と確認を取った。浴衣を着た女性は、顔色一つ崩さずに回答する。

「はい、当ホテルは食べ物を持ち込めません」

 シノブの視線は、ミサキのほうに向けられた。

「ミサキさん、食べ物はどうするんですか?」

「ホテルに追加料金を払って、食べ物をもらえるようにしてもらったよ」

 食べ物は持ち込みできないけど、ホテルで提供してもらうことはできる。腹ペコ少女の命綱は確保されている。

「スマートフォンについても、持ち込み禁止です。ホテルのいる間は、こちらで預からせていただきます」

「スマートフォンは持ち込み禁止ですか?」

「はい。ホテル内を無断撮影されないよう、スマートフォンを預かっています」

 ミサキ、シノブ、マイ、ユタカ、シラセはフロントに、スマートフォンを預ける。フユコはスマートフォンを所持していなかった。

 浴衣の女性は素早く荷物検査を済ませる。手の動きからして、100回、200回は手荷物検査をしているのを感じさせた。

「手荷物検査にご協力いただきまして、本当にありがとうございます。皆様をお部屋に案内いたします」

 浴衣の女性は一礼したあと、6人を部屋に案内する。背筋はピンと伸びているからか、とっても頼もしく感じられた。

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