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第3章の第42話 アンドロメダ星一恐いお説教と報復……! サラシの改良



【アンドロメダ王女の宇宙船】
モニター画面に映っているのは、
お風呂から上がり、正装に着替えた星王ガニュメデス様だった。
その正装着は、アクアリウスファミリアの星王様の着衣だ。全体的に青を基調とした威厳溢れる衣装だった。
その人が呟きを落とす――
「――そうか」
「……」
それはヒースさんが、星王ガニュメデス様に報告していた時の話だった。
とここで、アンドロメダ王女様がガニュメデス様に語りかける。それは今後の話について、重要な事だからだ。
「ガニュメデス王よ! これからどうする!?」
「これからか……地球人達の難民移住先の話だな!?」
「……」
「実はこちらでも滞っていてな……まだ候補地を選定していないのだよ」
「それはわらわの星も同じですじゃ! 聞きましたところ、同様にソーテリア星も……」
「………………」
「………………」
アンドロメダ王女様、ガニュメデス様の間で、沈黙の時間が流れる。そして――
「――だが候補地は急ぐ必要がある!」
「……」
コクンとこれにはわらわも強い思いで、頷き得る。
「……時にアンドロメダ王女よ。父王とは相談したのか!?」
「……」
この時わらわは、そう尋ねられて。
「……」
そっぽを向いてしまうのじゃった……。
「……」
「……」
「その様子、さてはまだ会って相談しとらんな……」
「……」
「全部自己責任で済ませられると思うなよ……、アンドロメダの姫君よ」
「うっ……心得ておるわ……!」
内心わらわは苦慮してしまう。
これには周りも、対応に困ってしまうのだった。汗々だ。
「デネボラよ、取り急ぎ父とコンタクトを取ってくれ!」
「覚悟してくださいよ王女……。もんっっっごい怒ってますからねッ!!!」
「……うっ……善処する……」


★彡
【――そうして、やはりというべきか……】
【わらわは父王から今更かとものすっっっごい勢いでまくしたてられて、激怒されたのじゃった】
【その長過ぎるお説教は、2時間にも達したのだった……】
【あぁ、これには付き合いきれないとばかりに、見えはしない、聞こえもしない、アユミ、クコン、クリスティの3名は逃げ出していたのじゃ】
「あ、アホ――ッ!!」
「君達どこに行くんだい!?」
「だって見えないもん。ねえ!?」
「うん……」
「見えないし、聞こえないし、付き合いきれないわ」
アンドロメダ王女、ヒースさんの呼び止める声も空しく、
クコンちゃん、アユミちゃん、クリスティさんの地球人組3人は、この指令室を後にしたのじゃった。
――シュイーン
と星座を模した機械質的なドアロック機構が解除されて、ドアが左右に開いて、上下にも開き、ド阿呆3人組はこの部屋を後にして、その自動ドアが堅く閉ざされるのじゃった……。
「………………」
沈黙の時間が流れて。
これには、ジロリと睨みつける父王様。それは不機嫌極まりないそのものだった。
アユミちゃん達のド阿呆――ッ。
これにはわらわも、エナジーアの冷や汗を粒子が激しく立ち昇るほど、タジタジじゃった……ッ。
「お前は、周りの人間も、躾が……できていないのか……んんっ!?」
「うぐっ……」
「そこに直れ――ッ!!」
「あひ~~ッ!!」
「クドクド、クドクド」
「この説教、いつまで続くんだ……?」
「さあ? それより……難民達の大移動、移住先計画は……?」
「聞くな……」
「よね……」
星王アンドロメダ様、その娘アンドロメダ王女様の長い説教話を聞きながら、
僕とシャルロットの2人は、今後、どうしてよいのか方針を立てられずにいた……。
それというのも。
【地球のド阿呆3人組が、粗相を犯したため、それが返って、父王の逆鱗に触れてしまい……】
【1時間の追加の説教に及んだのじゃった……】
(ううっ……なぜわらわが……)←元凶
わらわは心の中で嘆いた……ッ。

【――後で、スバルが起きた時、このド阿呆三バカトリオが外にいたのは、そーゆう理屈じゃったのじゃ】
【あの後、見える兵士達とヒースとシャルロットさん達に、3人は、こっぴどく叱られたのじゃった……】

「だいだいお前はだな!!! いつもいつも身勝手な行動を慎めと!!! いったい幾度言わせる気じゃァ!!!」
「はい、おっしゃる通りです。はい、済みませんでした……」
「ガミガミ!!」
「ううっ、誠におっしゃる通りです……」
嵐が過ぎ去るまで、謝るしかないアンドロメダ王女様。
この王女様の珍しい姿を、拝見した兵士さん達は。
「すげぇ……さすがの王女様も、父王には上がらないんだな……」
「俺、初めて見た」
「あたしも……」
「あの人も、勝てない人がいるんだな……」
「うんうん」
等々。感心の声を上げる兵士さん達が続出するほどじゃった……。
(ううっ……これはいい見世物じゃ……! ……なぜわらわだけ……!?)
「で……レグルスの輩はどうした……!?」
星王アンドロメダ様は、娘からデネボラに視線を切った。
そのデネボラさんは。
「そ、それは今……あやつには……」
「お前に聞いておらんわ!!!」
ドンッ、バキバキ
と向こうで何かが壊れた。
これにはわらわも。
「……ッ」
何も言えない……ッ。
「……」
「……」
「……デネボラ」
「はっはい! レグルス隊長には、特別に長期の有給休暇を与えました!!」
「んっ? もう一度ゆうてみよ」
「……ッ。じ、実はですね。レグルス隊長には、今回の問題行動を通じて、特別に長期の有給休暇を与えました!!」
「………………」
「………………」
長い沈黙、星王アンドロメダ様から睨み合い。それはデネボラさんに注がられていて、信じられないほどエナジーアの粒子を滝のように噴き出していた。
「ほぉう。問題行動……ととるか」
「は……はい……」
私はビクビクしていた。
「これを問題行動と取るか……? なるほど、そして特別に、長期の有給休暇を与え、これからの問題行動に、目を当てないように隠すか……なるほど」
「――ッ!!?」
(しまった……ッ!!?)
かえって星王アンドロメダ様には、悪い印象を持たれてしまった……。
デネボラさんの立ち場、危うし……ッ。
「……で?」
「……で……、……とは?」
ドドドドドドドドドドッ
「……」
「……ッ」
星王アンドロメダ様は、あちら側でプレッシャーを放った。
天上が、床が悲鳴を上げて、石片が次々と浮き上がっていく。
「心して聞けよ」
「……ッ」
「我は隠し事がされるのが好かん性分だ。事実を、ありのままに話せ」
「で、ですから……」
私は、何とか弁明しようとして。
王女様が注意を投げかける。
「デネボラ!! 全部言え!!」
「!」
「あの人怒ったら!! 秘書さんも危ないんだよ!! 今まで何人それで、呼吸不全で倒れた事か!!」
「!」
王女が、Lが、私に注意喚起してきた。
「もう一度言う! アイに掃除に行かせるぞ」
「――ッ」
(アイちゃんを――!!!)
――衝撃を受ける。
「……はっ……ハハッ……ハ……」
「………………。今どこにいる?」
「今は、地球人のシシド君を連れて、一緒に、静止軌道ステーションに……ッ」
「地球か?」
「はい……」
「まさか……そのまま、放置するのでは、ないのであろうな!?」
「エッ……」
「……」
「ヒュッ……ヒュッ……ッッ」
モニター画面の向こうで、星王アンドロメダ様の威圧感に屈し、デネボラさんは、呼吸が止まりそうになった……ッ。
「………………」
ハッ、ハッ、ハッ、ハッハッハッ、ハハハハハ……ッ
次第に段々と呼吸が速まっていくデネボラ。
それは呼吸困難による、精神的外圧による、過呼吸であった。
「ハ……」
グラリ……とデネボラさんが倒れかかり、そのまま地に伏した。
「で、デネボラ!!!」
「ヒュッ………………ヒュッ………………」
体が寒かった。まるで身動きができないほど。
「アイ……」
「!」
「いつでもできる準備をして置け」
「……」
画面の向こうで少女が頷いた。
手に持っているのは、箒だった。
「待ってください!!!」
「!」
そこで声を上げたのは、何人かの兵士たちだった。
「今すぐに隊長を呼び戻してきます!! ですから矛をお下げてください」
「……10分だ」
「10分……」
「……」
「いえ、10分あればおつりが出ますね!! おいっ、すぐに行くぞ!!」
「ああっ!!」
「わかったわ!!」
「クッ……」
わらわに見ている前で、信頼の厚いデネボラが使い物にならなくなっていた……。
(よもやここまで及ぶとは……!!)
わらわは父王の力を侮っておったわッ。
L(僕)はその小さな手を伸ばし、途中で悔いて――その手を止める。
「で、デネボラ……」
ガチガチ
「クッ……!」
心配したL(僕)はデネボラに声をかけようとしたけど、とてもそんな状態じゃなかった。
駆け出していく兵士さんの気配を、背中で感じ取った僕は。
「僕もいく!!」
「!」
立ち止まる兵士達。
「L!」
「……」
「……」
アンドロメダ王女様、星王アンドロメダ様、地に伏したデネボラさん。
「僕も行くよ!! だから待ってくれる!?」
「よかろう、後9分だ」
「急げ――ッ!!」
「「「「「ハイ――ッ!!」」」」」
Lを加えた兵士さん達は、大急ぎで宇宙船を飛び出して、光の速度で駆けていくのだった――


☆彡
で。
「わ、私が悪かったです……アンドロメダ王……」
もう、力づくでこの場で連れてこられたレグルス隊長は、その場で浮遊しながらドケザしていた。もう頭が上がらない……ッ。
その後ろには、Lを加えた兵士さん達の姿があった。
「ホントに悪いと思ってるんだろうな――ッッ!!! あ~ん!!!?」
「……ッッ」
「だいたいお前達は、いったいぜんたいこの場をどう納める気だ!!!? もう、宇宙中に広がってるんだぞ!!! このワシに何の相談もなく勝手にやる気か――ッッッ!!!」
「いっいえ!!! 決してそのようなッ!!! そんな振る舞いは致しません!!! はい――ッッ!!!」
レグルス隊長は、この場をどうにか丸く収めようとメチャ謝る。
余にも珍しい、レグルスのドケザだった。
「一度、その面を見せにこいッッッ!!!」
――ドンッ、ガラガラ
あちらで、床を踏み砕き、数多の亀裂が入っていき、そのフロアすべての床が底抜け落ちるのだったッッッ。
これにはビクッとするアンドロメダ王女様たち。
粉塵が舞い上がる。
その画面の向こうで、数多の悲鳴が聞こえ、犠牲者たちは数知れない。
そして、先ほどの箒を持った少女は、底抜けた床から大ジャンプしており、天井に箒を突き刺して、ブラ~ンとしていた。
「そのガキと一緒にな!!! それまで新着を認めんっ!!!」
とあちら側から、その回線を叩き割ったのだった――バチィン。
モニター画面には、ノイズが走り抜けるのだった……――
「こ……こっこわ……」
「あんな親じゃなくて良かった……うちは……」
「ああ……」
「だな……」
等々。兵士さん達から呟きが零れたのだった……。
とレグルス隊長たちは――
「――ど、どうする?」
「どうするって……スバル君が起きてこない事には……」
「……」
「……」
そこへ、フラッと顔を見せたのはデネボラさんだった。
声をかけたのは、珍しくレグルス隊長であった。
「! 大丈夫かデネボラ……?」
「ええ、何とか回復したわ」
まだ、めまいと気分のだるさが残るデネボラさん。それはホントに疲れているようであった。
「「………………」」
レグルス隊長とデネボラさんの間で、沈黙の時間が流れる……。
そして――
「――星王様も大変ご立腹だし……」
「僕も、しこたま怒られた……何でだ……!?」
シャルロットさん、ヒースさんと述べあう。
【――実はあの後】
【星王アンドロメダ様の逆鱗が、アンドロメダ王女を庇った、ヒースさん達に飛び火したのだった】
【彼等もさすがにこれには、疑問を覚えるほどで】
【自分達は思いのほか、良くやっている方なのに、なぜかもんっスゴイ怒られたのだ】
【……なぜ……ッ!?】
「……」
「……」
これには落ち込む、ヒースさんにシャルロットさん
そこへ、アンドロメダ王女様のお声がして、振り返る。
「だからあの人とは住みたくないのじゃ……!!」
その人は、顔を振っていた。
だから僕達は。
(元々はあなたのせいなんだよ(なのよ)……!)
と心の中だけで、僕達は、あたし達は、愚痴るのだった……。
で。
「どうするの姫姉……?」
「………………」
「他の宇宙船、ず――っと待機してるけど……」
心配の声をかけるL。
何事かを考えるアンドロメダ王女様。
Lの心配通り、あれからず――っと派遣された宇宙船団が、どこにもいけずに待機させられていたのじゃった。
それは待機命令に等しい。


☆彡
――とその時じゃった。
モニター画面に二分割で、アクアリウス星のガニュメデス王と、ソーテリア星のブリリアントダイヤ女王様の映像が流れたのは。
「!」
な、何事じゃ。
これにはほぼ全員「えっ……」と。
「お前等、何アンドロメダ王を怒らせてるんだ!!!」
「今こっちに物凄い形相の王がスゴイ勢いでまくしたててきて恐かったわよ!!!」
「まっ……まさか……ッッ」
それは実の父を持つわらわだからこそ、わかった事だった。
その瞬間、ピッピッピッと派遣された各宇宙船団から、連絡が鳴りやまない事態に発展するのじゃった……。
「も……もしや……ッッ」


――その頃、星王アンドロメダ様は。
「各ファミリアに取り次げ!!! 各宇宙船にもだ!!!」
「はっはい――ッ!!」
部下を脅して命じていたのだった。
「回線をすべてこっちに回せ――ッッ!!!」
もう現場は、収拾がつかないほど支離滅裂だったという。


【――その瞬間、アンドロメダ王女の宇宙船には、苦情という苦情の回線が殺到したのだった……ッッ】
【鳴りやまないコールアナウンス】
【激しく移り変わる、メインモニター画面】
【アンドロメダの宇宙船、ソーテリア星の宇宙船、アクアリウス星の宇宙船】
【そして、あろうことかプレアデス星から派遣された宇宙船まで飛び火し、信じられない事態に発展していくのだった】
【そのどれもが、すべて星王アンドロメダ様の仕業じゃった……】
「おい、資産凍結ってどうなってんだ!?」
「信じられない事態になってるんだけど!?」
「物凄い恐いぞあの人ッッ!!」
「なんで俺の端末の番号まで知ってるんだ!?」
「今、物凄い勢いで、親とか子とか親戚とか知り合いとかから、回線が相次いでいるんだけど、どうにかして――!!!」
――アァ……。
と泣きわめきたくなるアンドロメダ王女様達。
悲劇はさらに加速する。
「ファミリアから席を外されて、こっちは大変だ!!!」
「明日からの暮らし、どうしたらいいの!!!? ねえっ答えて!!!」
「何で今回の作戦についた事でクビなんだよ!! あんた何か訳を言ってくれ――っ!!!」
「あたし、アクアリウスなのになんで――!!!?」
「各ファミリアから回線が引っ張りだこで、こっちは大変だ!! いったいどうすればこうなる!!!?」

【――等々。それは全て父王の仕業じゃった……】

「お、王女……」
「わ、わらわの資産も凍結しただろうな……あの親父殿ならやりかねねぇ……」
「……」
「……」
デネボラ、アンドロメダ王女、L、レグルスと戦々恐々していたのだった……。
「……」
「……」
これにはヒース、シャルロットも、顔面が真っ青になっていた……。
その理由が。
「資産がパァ……」
「あたしの番号も使用できない……なぜ……ッ?」
『お客様の回線番号はすべて使用できません。お客様は、この世から『消失』ディサピア(エクスファニシィ)した人物扱いです……』
シャルロットさんの口から、魂が抜けだすほどのショックを受けていた。

【やることが徹底していた】
【陰湿な嫌がらせ、上の立場を活かした権力であり、圧力行為による虐めであった……】
【これは断じて問題行動ではなく、標的を対象とした場全体を滅茶苦茶にしたメーワク行為であり】
【極秘任務(ミッション)の妨害工作でしかない。これは決して許される行為ではなく、この時、人命とそれに関わる人達の人生に大きく関わっていた】
【これは仕事に対する問題ではなく、事件であり、不慮の事故に繋がる、まさしく悪質悪辣な犯罪であった――……】

「ヒース、それにシャルロットよ」
「……はい」
「……」←魂が抜けていく最中
「何でしょうか?」
「お前等の開拓者人生、詰んだじゃった……。当然、レベルアップとランクアップの件、白紙になったから……テヘッ」
これには可愛く笑うしかないアンドロメダ王女様。貴重なお姿であった。
これには、さしものヒースさんも石像と化して、ビキッとヒビが入るのだった……。
さらに、シャルロットさんの魂に、ビキッ、とヒビが入るのだった……。
とここでデネボラさんが。
「私も善処してみますが……あの人の事だからもう、プレアデスファミリア以下有力なファミリアに取り次いでるだろうし……。ここはおとなしくすべて、アンドロメダ王に従うしか……」
「信じられねえ……。他所のファミリアまで干渉するって、あの人の権力ぜってーおかしだろーッッ!!」
「……」
もはや、普段の口調を失っているヒースさんに、
魂の抜け殻と化したシャルロットさん。
――とその時、ヒースさんの腕時計型携帯端末が反応し、勝手にホログラム映像を投影された。
「――!?」
そこに映っていたのは、ヒースさんの知り合いの女性だった。
「ちょっとヒースどうなってるの!!?」
「こっこれは、以前の依頼者様!」
「あんた期限が切れてるわよ依頼のね! もうあんたには頼まないから! ああそれと……!!」
と別の女性方が、割って入ってくる。
「げっ!」
「ヒースさ~んこれはどーゆう事かしら!? あたし達を二股掛け、いいえ、四股掛けしてたのかしら!?」
「「「「「四股――ッ!?」」」」」
アンドロメダ王女、デネボラ、L、レグルス、兵士さん達と驚く。
「ヒースさん、あの夜の事を忘れたの!?」
「抱いたくせに!」
「脱がしたくせに!」
「貢がせたくせに!」
「「「「最低――ッ、女の敵!!!」」」」
4人の女性方から軽蔑されるヒースさんは、顔面が面白顔になっていた。
「うぁ……ああ……」
――とここでようやく、シャルロットさんの魂が口の中に入り、意識を取り戻したのだった。
この最悪なタイミングで。
「ヒース! これはどーゆう事ですかッ!?」
これには普段、穏やかな口調のシャルロットさんも、ヒースさんに怒る。
「今、あなたの経歴を探っている最中だから……」
「!?」
「あっそうそう、ガニュメデス様、フォーマルハウト様にもよろしくね~!」
「あと、以前付き合っていた本命さんにも、告げておくから~!」
「じゃあね~!」
「ほほほほ!」
「アアアアアッ」
もう頭を抱え込むしかないヒースさん……ッ。
「もう知らない!!」
「あっかんべー!!」
「恥知らず!!」
「辺境の星で、野垂れ死ね!!」
ブツン……と回線があちら側から切れたのだった……。
あちらから一方的に繋いできて、あちら側から一方的に切るという、まさに悪夢だ。
「……な、『悪夢』ナイトメア(エフィアリティ)だ……ガフッ」
血反吐を吐くヒースさん。
そのまま後ろによろけて、足を踏み外し、そのまま床にドサッ、と背中を打つのだった。
「……」
その目はもう虚ろで。
「ひ、ヒース~~」
慌てて駆けよるシャルロットさん。
「フッ……マジでとんでもない人だぜ……」
「あ、ああ……ああっ!!」
その倒れたヒースさんの胸の上で、シャルロットさんは大泣きするのだった。
【――俺は、いや僕は、この日、誓ったんだ……】
【決してあの人には逆らわないことを……】
【それはどうしようもない問題ではなく、事件だった】
【僕達が、あたし達が、わらわ達が知らないところで、この派遣された宇宙船の中で】
【それが起きていた】
【誹謗中傷にあい、怪我を負った、難民達が少なからずいた】
【それは暴力行為であり、精神的外傷であり、多くの開拓者や兵士さん達にとっても、まるで訳がわからなくなっていた】
【それは弱い者に当たる、怒りの吐け口と化していた……】
【その後も回線は鳴りやまず、一同は心身共に気が滅入る思いだった……】
【まさしく、難民初日目から、まさかの悪夢であった……】


☆彡
【――そして現在、スバルはその出来事をみんなから聞いたのだった】
【事情を聞いた少年は、その胸の中で、何を思う――!?】

「………………」
少年は難しい顔をして、腕を組んで考え込んでいた。

【これをどうしようもない問題で済ませるかどうか!?】
【人の命を、人の人生を、こうまで滅茶苦茶にした挙句、それは――】

「――人の人生を滅茶苦茶にして、もうこれは犯罪じゃないか……!」

【僕はそう認めた――】

「大丈夫かな? う~ん……」
考え込む少年スバル。
(宇宙船の中で、もしも人が死んだらどうなる? 妊娠していた人がいて、流産でもしたらそれは……取り返しのつかない犯罪行為じゃないのか……!?)
「う~ん……」
僕は、他所を向いて考え込んでいた。
で、みんなの前で、二言目を零す。
「うちの父さんよりおっかない人もいたんだなぁ……」
ズ~ン……
とこれを聞いたみんなは、この世の終わりみたいな顔をしていた……。
「……とシャルロットさんは、どんな仕打ちを……?」
「あの後、謎のメールが届いて、一方的に開いたの……。
それは、当時付き合っていた彼氏で、その報復をした事があったんでちが……。
逆に報復されたんでち……。
それこそ、TVやマスコミ、雑誌、ニュースぺーバー、各方面からいろいろなメディアの力を使って……。
その後は、周りから散々な叱責を受けて……。
もうあんたなんて一生帰ってくるな!! 勘当ものだって…………ふぇ……ふぇえええええ!!!」
これにはシャルロットさんも、大人の女性なのに大泣きしたのだった。
「ああごめんなさいごめんなさい!! 聞いてはいけませんでした――ッ!!」
「ビエ――ン!!!」
僕はシャルロットさんに謝る。
あたしは少年の前で、大泣きしたのだった。
「――という事は、アンドロメダ王女様やL、デネボラさんや以下兵士さん達の皆さんも…………もしかして……」
「……」
「……」
「……」
「「「「「……」」」」」
何も言えなくなる。事実そうだからだ。
で僕は。
「……」
「あぁ……俺もだよ」
とレグルス隊長も、話に聞いてたとおり、この場にいたのだった……。
「お早いお帰りで……」
「……」
「えーと聞かない方が……」
「俺が昔暗殺した一家全員にバラされた。俺の学歴やら経歴やらすべてな! 後はもう察しろ……ッ! ……ッッ」
「……もしかして泣いてますー?」
「泣くか! 大の大人がよ! クソックソーッ!」
あのレグルスが泣いていた。
(珍しいもの……見た……)
僕は、強くそう思った。
そして、ある相棒に振り向くと。
「……」
「……なに?」
「さすがにLはないよねー?」
「……あるよ、恥ずかしい事の1つや2つ! ……あの人、容赦ないから」
「あの……ホントにごめん」
「……」
「ホントに、ごめん……!」
L(僕)は、さすがに冷え冷えした目で、
相棒(スバル)を見ていたのだった。
「さすがに今回ばかりは、あのクソおやじ殿に頭を下げるべきじゃろう……。これ以上荒らされたら、たまったものじゃない……ッ」
「今回の極秘ミッションは、『星王アンドロメダ様との謁見』です! ……覚悟は……、……よろしいですか?」
「……うん……覚悟は、できてる……!」
「それでは向かいましょう! 私達の赤き星、アンドロメダ星へ……!」
アンドロメダ王女、デネボラさん、スバル(僕)、デネボラさんと述べて。
急遽、僕達の船だけ、アンドロメダ星へ向かうのだった――……


☆彡
【アンドロメダ星】
アンドロメダ王女の宇宙船は、吸い込まれるように赤き星アンドロメダ星にその身を投じていった――
大気圏との摩擦熱によって、機体の前面部に燃えるような大気の層が、音を立てて現れていた。
機体が大きく振動している。
「………………」
スバル達は、そのモニター画面を見つめ続けていた。
「地表に近づく度に全身に強い重力がかかります。注意してください」
その瞬間、ズ――ンと重い重力が全身にかかる。
「――ッ!」
「重い……ッ」
「……ッ」
「……ウウッ」
その重力を全身に受け、その場に強く足を踏みつけるスバルは、いかにもわかりやすく奥歯を噛み締めていた。
一番辛いのは他でもないクリスティさんだった。
彼女はこの中で、この星にくるのは初めての人だ。
しかも、その超乳がかえってデメリットになって、下に重くのしかかる。慌ててあたしは、千切れまいとする重量物とかしたおっぱいを抱きかかえる。
アユミちゃん、クコンちゃんも同様だ。
スバル君と同じように、その場に強く足を踏みつけ、奥歯を噛み締めていた。
(お願い、千切れちゃう……)
「……ッ。あっ……」
ドサッ
とその場に前のめりに倒れ込んでしまうクリスティさん。
「っ」
「あ」
彼女達も耐え切れず、その場に次々と倒れ込んでしまう。
その床に両手をつき、顔から落ちるのをなんとか避けていた。
「んっ……グッ……」
スバルも苦しそうだ。
だが、この地球人の中で唯一魔法を使えるため、その身に魔力光を帯びて、どうにか耐える。
「~~ッ」
耐え凌ぐスバル。
「熱圏を抜けます!!」
そうしてようやく、燃えるような熱圏の抜けて、白い大気の層に移るのだった。
ここぐらいになってくれば、激しく揺れていた機体も安定し出していた。
「――現在、機体にかかっている気圧の変化や重力の変動を、地球の地表と同じ、1気圧の1Gに変更します」
「ああ、頼む!」
機械操作を行う兵士さんがそう唱え。
アンドロメダ王女様が、その意を組み、実行に移すのだった。
それは僕達地球人に対する思いやりで気遣いだ。
もう間もなく、船内の気圧の変化とかかっていた重力の変調が、地球の地表と同じくらいにまでに可変したのだった。
「……!」
これには僕達も、体が楽になっていくのを覚える。
僕は姿勢を楽にして。
「……え?」
「……あれ?」
アユミちゃん、クコンちゃんと、その手で床についていた姿勢から、体が楽になっていくのを覚える。
「う~ん……おっぱいが……千切れ……はれ?」
千切れまいとするおっぱいを抱き込んでいたクリスティさんも、体が楽になっていくのを覚え、辛い表情からキョトンとした表情に移るのだった。
「……」
「……」
「……っ」
続々と立ち上がっていく一同。クコンちゃん、アユミちゃん、最後にクリスティさんとよろめきながら、その身を起こして立ち上がっていくのだった。
「……」
僕はその気配を、後ろで感じ取るのだった。
「……やっぱりすごいな……宇宙の魔導化学水準レベルは……」
その一言を、その後ろで聞いていたアンドロメダ王女様とデネボラさんは。
「フッ……」
「フフッ……」
我が星の事なので、とても気分がいいものだった。


☆彡
――アンドロメダ王女様の宇宙船は、雲海上空を進み続ける。
「そうだ! アンドロメダ王女様!」
「んっ?」
僕は王女様の元に歩み寄る。それは後ろからだった。
「今、どこに向かっているんですか? そもそも父王のお住まいはどこに?」
「ああ、以前にも話したじゃろ?」
「? ……」
「父王は、浮遊島に王宮を構えておる。それも雲でできた浮遊島じゃよ」
「雲……っ!?」
これには僕も驚く。
とここでLが。
「変わった人でね。時々雷雲になるんだけど……あの人ときたら、まるでお風呂に入るみたいに電気風呂を堪能してるんだよ」
「えええ……」
僕は顔が真っ青になる、それはとても信じ難いからだ。
「だいだい平均して、3億ボルトぐらいかな? その雷の電圧は……。時々、駆け巡る電流が集まって、10億ボルト越えなんだけど……本人はいたって、気持ちいいらしいよ」
「それ、どんな人だよ……」
僕には、とても想像がつかない雲の上の人物像だった。


☆彡
――アンドロメダ王女様の宇宙船は、雲でできた霧の間を進み続ける。
その中で僕達は。
「――そうだL!」
「?」
「前に静止軌道ステーションに行ったよね?」
「うん」
「その時、エルスなっていたから持ち物を出してくれる?」
「……は?」
「地球産の土産を持っていくんだよ。全部ね!」

――宇宙船は、雲の霧を抜けて、雲海上空を進み続ける。

スバル達の前に広がっていたのは、静止軌道ステーションから勝手に拝借した、地球産の飲み物ばかりだった。
これにはアユミちゃん達も。
「よくこれだけ盗んだものね……」
「盗難なんじゃ……」
「あたしも前に飲んだことがある銘柄もあるわ……」
クコンさん、アユミちゃん、クリスティさんとそう述べたのだった。
「君達には出さないよ」
「「「ええ~~!!!?」」」
「当たり前でしょ? ぜーんぶお父さんにプレゼントするんだから」
「ああ、なるほど!」
「そーゆうことね!」
スバル、女子3人、スバル、ヒースさん、シャルロットさんと述べあい。
スバル君の作戦は、なんてことはないご機嫌取りだった。
「……前に、お盆の時期やお正月の時、父ちゃんと母ちゃんが親戚の家にいって、『贈答品』の品としてプレゼントしているのを、毎回見てるからね。……僕も、今回やってみようと思って」
「なるほど……ね……! いーんじゃない?」
僕の発言に、一番親しいアユミちゃんが頷き得て、そう言ったんだ。
「まっ子供にしてはね……。……でも少しくらいは……ね?」
「う~ん……まぁ数もあるし……」
クリスティさん、クコンさんと、もの欲しそうに、チラッと視線を落として。
「少しくらいは……」
チラッとアユミちゃんも見るのだった。
で。
「「「………………」」」
「……」
地球人組、しかも女子の視線が僕に殺到した。
「「「「「……」」」」」
しかも、それは周りからもだった。
だから僕も、遠からず脅す行為に出た。
「そんなに飲みたいなら勝手に飲めば?」
「!」
「じゃあお言葉に甘えて」
その手が伸びる。だが……。
「でも、これだけしかないし、この人数に振舞ったら……100%中残るのは、20%を下回ると思うよ」
「うっ」
とその手が止まる。
後ろにいた人達も、「あ……」と零すのだった。

【意外とスバル君はしっかりとしていた】

「それでもいいんならだけど……逆鱗に触れると思うよ……、それでも……飲みたい?」
「「「「「ッ」」」」」
苦虫を嚙み潰したような面持ちの皆さん。
スバルが言っていることは、全体を丸く納めるために、まっとうに正しかった。
とここでデネボラさんが。
「では、ラッピングを持ってきますね。……そのままでは何かと無格好でしょう?」
「……はい、お願いします」
とデネボラさんが気を利かせて、この場を空中浮遊しながら去っていく。
僕は、その後姿に、謝意を述べるのだった。


進み続けるアンドロメダ王女様の宇宙船。
雲海上空を抜けて、赤い大地が広がり――再び、雲海上空を飛んでいくと――
「――見えてきました!」
「!」
メインモニター画面に映るのは、雲の浮遊島に建国された立派な王宮だった。
段々近づいてくると、その全貌があらわになる。
中心部には立派な王宮があり、その周りにはいくつかの街が広がっていた。
これを見た僕は。
「すっスゴイ……こんなところに人が住んでるなんて……」
「雲の上に住むって……まるで天界のようね。神様にでもなったつもりかしら……?」
「うはぁ……すごぉいなぁ……」
「ここではどんな暮らしぶりを送ってるのかしら……? 地上と同じようにはいかないと思うけど……」
スバル(僕)、クコンさん、アユミちゃん、クリスティさんと感想を述べあうのだった。


☆彡
【アンドロメダ コスモポート】
そこはアンドロメダ星の宇宙の港、コスモポートであった。
そこは、地球のアスファルトのような滑走路はなく、すべて硬質な雲でできていた。いったいどんな原理で固めているんだろう。
そこに着陸してくるのは、反重力システムで機体を上下に浮遊しながら、ゆっくりと降りてくる宇宙船の姿。
そう、僕たちが乗っている宇宙船だ。
不時着に成功する。
「――着いたな」
「ここから行く人を選別しましょう!」
アンドロメダ王女様、デネボラさんと言いあう。
「粗相を犯したアユミちゃん、クコンちゃん、クリスティさんは連れていきません!!」
「僕も、それが正しいと思います」
「「「?」」」
スバル君の言葉だけでは、地球の女子組は言っている意味が分からない。
デネボラさんの言葉は、見えないし聞こえないからだ。
「えーと、アユミちゃん、クコンさん、クリスティさん達は、ここでお留守番をしてて」
「え~~!? 何でよ~!?」
「あと、外出禁止ね!!」
「「「えっ!?」」」
「この機内で反省する事!! まぁ速い話、軟禁状態だね!」
「え~!? 何でよ~~連れて行ってよ~!! ねっねっ! ねーっ!?」
頼み込んでくるアユミちゃん。
そこで僕は。
「ダ~メ!! ……メチャ足手まといだから」
――グサッ
言葉のナイフを突き立った。
「……」
僕はアユミちゃん達から視線を切り、星座を模した宇宙船の壁を見る。
「ここはアンドロメダ星の雲の上の世界だ。何が起こるかわからない……」
僕は歩み進んでいく。
「地表と比べて、上空は全身にかかる重力は軽いけど……それでも地球の3倍以上だ。
いいや、もっと言えば、この魔導化学レベル水準で考えれば、重力の変更もできるかもしれない」
「……あ……」
「聞いてただろ? ここに住む雲の上の人物は、雷でできた電気風呂に浸かっているような人なんだ。……僕達の常識が通じない」
「……」
「……」
「……」
「何が起こるかわからないから、君達はこの場に残るんだ。……留守番を頼んだよ」
「「「……」」」
僕の言葉に、黙る地球からの女子達3人。
「わーったわよ! 気をつけなさいよ」
「まだ小さいのに……君、しっかりしてるわね」
「フッ……」
軽口をたたくクコンさんにクリスティさん、僕はその姿に笑みを浮かべるのだった。
「……」
「……」
見つめ合うスバル君とアユミちゃん。
そして。
「うん……お留守番してる。……待ってるからあたし」
「なるべく早く帰るよ」
僕はそう言い含め。
「……」
「……」
アンドロメダ王女達に視線を戻すのだった。
「そのメンバーには、僕も同席していいですか?」
「……フッ、もちろんじゃよ」
「では、そのメンバーは、
私、アンドロメダ王女様、Lちゃん、レグルス隊長、そして、アクアリウス星からの仲介にいらしたヒースさんとシャルロットさん、最後に、地球人のスバル君と決定しましょう」
メンバーが決まった。
メンバは以下の通り、
アンドロメダ組からは、デネボラ(私)、王女様、L、レグルス。
アクアリウス組からは、ヒース、シャルロット。
地球人組からは、スバルただ1人。


☆彡
――モニター画面に映るのは、宇宙船から離れていく7人の姿。
それを見送るのはアユミちゃん達と多くの兵士の皆さんだ。
そして、そのグループの中から少し離れていくのが、
クリスティさんだった。
「!」
その様子に気づいたのは、クコンちゃんだ。
気になったあたしは、クリスティさんの元へ向かう。
「……何してるんですか?」
声を投げかけたあたし。
その目線の先には。
クリスティさんは、お医者様カバンを広げて、『包帯』を取り出していた。
「ええ、ここに降りてきたとき、物凄く重たかったでしょ?」
「ええ? 重力ですよね?」
「地表と雲の浮遊島とでは、かかっている重力が違うのはもちろんだけど。
あたしも知らなかったわ。
大気圏突入の際、熱圏突入の時点であれだけスゴイGがかかるだなんて……!」
「ああ、確かに……! ……!?」
クコン(あたし)が目にしたものは、
『包帯』と『手術用のハサミ』を持ったクリスティさんの姿だった。
「――!?」
これには兵士さんも驚き。
「えっ……」
アユミちゃんも思わず、顔を赤らめて驚いてしまう。
なんとクリスティさん、みんなの見ている前で、ヌギヌギと着ている着衣をまくり上げて、脱ぐ一歩手前だったからだ。
「ちょっ!?」
(恥ずかしさとかないのー!?)
顔を赤らめて、驚くアユミちゃん。
顔を赤らめる、恥ずかしがるクコンちゃん。
そして。
「フゥ……」

まくり上げたその時、乗りかかっていたそれが、ブルルンと零れ落ちるのだった。
これには周りから、「おおおおお」と感嘆の声が上がる。
クリスティさんのそれは、なんとも柔らかそうで、零れ落ちた際、よく弾んだものだ。これはホントに柔らかそうで、巨大過ぎるスライム乳だ。
揉みたくなってくるのは、男の子だけではなく、それは女の子にも言える事で。
ここまで大きくなれば、女子のあたしからしても揉みたい。揉みまくりたい。揉みくちゃにしたい。
いっその事、少し分けてもらいたい。
でも、今はホントに恥ずかしくて。
「あわわわ……」
アユミ(あたし)は、その目から入ってくる情報をシャットアウトするために、手で覆い隠していた。
その隙間から覗き見えるのは、しなやかな女体の美を持つお姉様の姿だ。
あたしも女の子とは言え、心、ここにあらず、その頬を紅潮させていた。
「……」
クコンちゃんなんか、何が起きているのかわからないようで、ほとんどガン見に近い。
もう興味だもの、
あたしは持っていないもので、本気で羨ましくなってくる。
クリスティさんのそれは、そのあられもない御姿は、万人を魅了する。とても扇情的で、理性の壁を取り払い、男の本能を刺激するものだった。
それは女子であるあたしにも有効で。
気がおかしくなりそうだったの。
「……」
ブラジャーの代わりに『包帯』で、グルグル巻きにしていたサラシ。
それはとても抑えきれるものでもなくて、肉厚たっぷりの特盛だ。
クリスティさんが動く度に、腰を動かす度に、まるで生き物のように、そのおっぱいも弾みながら、乳波が起きる、起きる、起きる、起きて跳ねる――プリリン
「「「「「……ッッ」」」」」」
(生きてて良かった……ッ!!)
「やっぱりサラシのグルグル巻きじゃダメね……! 肩にかけるような、そう持ち上げるような、保護してくれる巻き方に変えないと……」
あたしは、サラシの上からおっぱいに触れると、ふにゅうと指圧で圧されただけで、その部位の乳肉が沈む。
その指を離すと、弾力性のあるおっぱいは復元力で、プリリンと弾むのだ。
「ここまで育ったこの子達と、お別れなんて嫌よ……!」
「僕達も」
「俺達も」
「「「「「イヤです――」」」」」
「こ、こいつ等は……ッ!!」
そう言うとクリスティさんは、あたし達の見ている前で、『包帯』を使ったサラシのグルグル巻きを改良していくのだった。
肩にかけたところで。
「う~ん……なんか違うなぁ……そうだ! 首にも上手くかけて、脇の下にも通して、圧し掛かってくる負担を、少しでも減らしてみましょう」
改良に改良を重ねていくクリスティさん。
「もう、成功するまで失敗の連続……! トライ・アンド・エラーの繰り返しね……!」
「……ッッ」
「すげぇ……すげぇ……揺れてる揺れてるぞぉ~」
「あぁ……」
「あっ、今、弾んだ……すげぇな……」
「デケェ……」
だが、この場には少なからず男性の宇宙人さん達もいたのだった。
その人達は見えないし聞こえもしないので、まるで透明人間のような立ち位置だった。
「……ッ」
「えらいもん見ちまったよ俺……」
「見えないって、意外と役得なんだな……」
「ああ……」
「いえ、多分あの人……」
「んっ?」
「見られていても、気にしないタイプだと思うわ。そもそもあたし達と違って、地球人と割り切った感性の持ち主だろうから……」
「ああ……。そも見た目が違うからか……」
「なんか役得」
ジロリ
と女性の兵士さん達が見てきて。
「いや、納得……!」
「ああ」
クリスティさんは、宇宙人さん達に見られながらも、包帯をサラシ代わりとして改良を繰り返しながら、巻いていくのだった。


TO BE CONTINUD……

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