バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

224章 高級寿司をおごる

 ミサキ、シノブ、マイ、ユタカ、シラセ、フユコは高級寿司店に入った。

 店内に入ると、20くらいの振袖姿の女性が出迎える。

「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」

 シノブは指で、6を作った。

「6名です」

「6名様を、テーブル席にご案内します」

 フユコのアホ毛センサーが反応。寿司に対する強い興味を持っている。

 マイはハイテンションモードではないけど、寿司を楽しみにしているのは伝わってくる。頭の中で、大トロ、マグロなどを思い浮かべているのかもしれない。

 シラセはいつにもなく緊張しているのか、呼吸が乱れていた。高級店を訪ねることに、慣れていないのを感じた。

「席はこちらになります」

 6人は席に腰かける。全員女性ということもあって、問題なく座れた。

 メニューリストを確認する。前回には存在していたはずの、うどん、てんぷらはなくなっていた。てんぷらうどんだけを食べて、寿司を食べないというのを防ぐ狙いがあると思われる。てんぷら、うどんだけを食べられると、利益につなげるのは難しい。寿司を食べるという、本来の目的から、逸れることにもつながる。

 何を注文しようかなと思っていると、女性店員に声をかけられた。

「ミサキ様、超高級セットはいかがでしょうか?」

「超高級セット?」

「10000ペソで、大トロ、トロ、マグロ、中トロ、いくら、はまち、エビ、カニ、うなぎなどを食べられる、お得セットとなっております。量は少なめですけど、高級志向、本物志向の方に大
人気の商品ですよ」

 普段なら質より量だけど、寿司店では量より質を重視したい。ミサキは小さく頷いたあと、

「最高級セットを、1つください」

 と伝える。

「ありがとうございます。最高級セットを注文される場合は、前払いをお願いしております。ご協力のほどをよろしくお願いします」

 食い逃げ被害に遭うと、店は深いダメージを追う。先払いシステムを導入することで、被害を防ごうとしている。

 ミサキは10000ペソを、女性店員に渡す。

「ありがとうございます。お寿司が完成したら、こちらにお持ちいたします」

 最高級セットを一人だけ食べると、他の従業員に亀裂を生みかねない。ミサキは大盤振る舞いをすることにした。

「他の5人にも、超高級セットをお願いします」

 シノブは思いもよらなかったのか、口をポカーンと開けていた。

「ありがとうございます。5万ペソをいただきます」

 女性店員に、5万ペソを渡す。

「ありがとうございます。最高級セットを人数分お持ちいたします。ミサキ様には、てんぷらうどん30人前をサービスします」

 友達駅までの移動などによって、エネルギーをかなり消耗した。体重を減らさないために、てんぷらうどんを大量に食べておきたい。

しおり