197章 妖精登場
テレビをつけていると、室内は急に暗くなった。
「ミサキさん、こんにちは」
「妖精さん、こんにちは」
妖精はいつにもなく、険しい表情をしていた。
「ミサキさん、どうして無理をするんですか。平穏な日々を過ごしてもらうために、100万ペソを支給しています。これだけのお金を持っていれば、満足な生活を送れるはずです」
お金だけを持っていれば、真の満足を得られるわけではない。人間という生き物は、複雑な要素が絡み合っている。
「家でじっとしているだけでは、満足できません。いろいろな人と接して、いろいろなことに挑戦したいです」
家に閉じ込められた状態で、餓死してしまった。家の中でじっとしすぎると、ふとしたときに悪夢はよみがえることになる。
妖精は細い声で助言する。
「体重管理はきっちりとしてくださいね。あまり痩せすぎると、立つこともできなくなります」
「体重が増えにくいのはどうしてですか?」
「他の人間と同じように体重が増えると、あっという間に肥えてしまいます。それゆえ、体重を増えにくくしています」
「体重を減らすスピードも変更できないですか?」
「体の状態を変えることはできません。体重の減少スピードは、これまでどおりです」
「そうですか・・・・・・」
「ミサキさん、しっかりと休んでくださいね」
「ありがとうございます」
妖精は室内から消えた。数秒後、室内に光がともされることとなった。