196章 6時間勤務終了
6時間勤務が終了する。
「ミサキちゃん、おつかれさまです」
燃料の亡くなったロボットみたいに、体の力は抜けてしまった。
「シノブちゃん、おひゅかれ~」
「ミサキさん、しっかりと休んでくださいね」
ミサキは財布の中から、200ペソを取り出す。
「しゅひゃん、ひゃんをきゃってくだひゃい」
意味不明な言葉であったものの、意図は正確に伝わっていた。
「わかった。ご飯を買ってくる」
シノブはご飯を購入する前に、深々と頭を下げる。
「ミサキちゃん、無理をさせてごめんなさい」
「ひゃ、・・・ひゃく」
「体調回復するまでは、仕事をお休みしてくださいね」
「へ・・・・・・」
「焼きそばを売ることだけを考えて、社員の体調を考えられなかった。管理者として、許されることではない」
「ご、ごひゃん・・・・・・」
6時間勤務をしたことで、おなかはペコペコ。すぐに何かを食べなければ、非常に危険な状態である。
「わかった。すぐに買ってくるね」
シノブはご飯を購入するために、近くのスーパーに向かった。
二人きりになったあと、ホノカに声をかけられた。
「ミサキちゃん、無理はNGだよ」
「ヒョノちゃん・・・・・・」
「ミサキちゃん、1時間くらいはしっかりと休もうね」
「ひゃって、しょうしゃ」
ホノカは体を抱きしめる。ミサキの体内には、彼女の人を大切にする心が伝わってきた。
「ひょのかちゃん、ありゅがと」
ホノカの額からは、大粒の涙が流れていた。
「ミサキちゃんの姿を見ているだけで、とっても悲しくなる」
「ひょめん・・・・・・」
「ミサキちゃんは負担の小さい会社がおすすめだよ」
ミサキは明確な意思を持って、首を横に振った。
「やきゅそばだうすき・・・・・・・」
「そっか。無理のないようにやってね」
ホノカは体を離したあと、大好物のパンを袋から取り出す。
「ミサキちゃん、クリームパンだよ」
ミサキはパンを勢いよく食べ進める。言葉を離せないほど苦しくても、ご飯を食べる食欲に異常は見られなかった。しっかりと食べられたことに対して、安心感をおぼえることとなった。