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189章 仕事の依頼

 遊園地は空前絶後の大ヒット。連日のように、満員の客が駆け付けている。

 遊園地の一番人気はバンジージャンプ、ジェットコースター。スリルを楽しめるとあって、多くの人に支持されている。

 コーヒーカップ、メリーゴーランド、観覧車なども大きな人気を得ている。こちらについては、子供、女性などに多く利用されている。

 ミサキは報酬として、60万ペソを受け取った。当初は分割といっていたけど、一括報酬に変更された。

 100ペソの40パーセントは、シノブ、マイに均等配分された。当初は10パーセントを予定していたけど、20パーセントに変更する。お金を増やすことによって、恩を返したい思いが強かった。

 ミサキの家に、アヤメのマネージャーがやってきた。

「ミサキさん、こんにちは」

「シズカさん、こんにちは」

「仕事の依頼ですか?」

「はい。水着姿でお風呂に入っていただきたいです。パートナーについては、ココロさんとなります」 

「アヤメさんではないんですね」

「アヤメさんは自宅謹慎中です。遊園地内における危険行為および契約不履行によって、上司のおかんむりを食らってしまいました。謹慎を解かれるまでは、出演することはないでしょう」

 契約不履行は会社の信用を失いかねない。仕事をするうえで、絶対にあってはならないことといえる。

 ミサキは現状の体調を伝えた。

「遊園地で体力の大部分を消耗しました。当面は焼きそば店以外の仕事はできません」

 体重を戻そうとているものの、40キロには届いていない。1日で太ることのできる体重に、制約を設けられているのかもしれない。

「どれくらいで回復しそうですか?」

「1カ月くらいはかかるでしょう。疲れやすい体質をしているので、すぐに回復することはありません」

 腹ペコ少女は究極のスタミナ不足。こちらを改善しなければ、たくさんの仕事をこなすのは難しい。

「ミサキさんの体調が回復したら、こちらをうかがわせていただきます」

 シズカは唾を飲み込む。

「アヤメさんは仕事になると、優しさを失ってしまいます。他人への思いやり、温かさを覚えてほしいです」

 自分はできる人というのは、他人もできると思っている。できすぎることによる、落とし穴にはまりがちである。

「今回の不祥事を受けて、事業縮小を余儀なくされました。3000人超えのアイドルは、100人前後まで削減しました」

 97パーセントの人員を、一気に削減するのは尋常ではない。アイドル業界の懐の厳しさを感じさせる。

「アイドルの入社についても、選考を厳しくせざるを得ません。一次面接、二次面接、三時面接、最終面接を突破したアイドルのみを、新人として採用します。4回の選考があるので、競争倍率は500~1000倍以上になると思われます」

 シノブ、マイ、ホノカ、ナナのようにアイドルを簡単にできなくなる。女性の職業選択の自由は損なわれようとしている。

「入社できた場合についても、半年間のノルマ達成期間を設けます。目標を達成できない場合は、契約を切ります」

 半年で超一流にのし上がるのはハードルが高い。90パーセント以上は、半年で消えていくと思われる。

 シズカは息を吸い込む。

「どんな人が売れるのかは、こちらとしてもわかりません。数うちゃあたるの論理で、たくさんの人を入社させていました。結果はこちらにもわからないです」

 売れそうな人であったとしても、全くダメということはよくある。デビューをさせなければ、人気はまったくわからない。

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