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175章 ユタカの秘密

 ホノカの髪の毛を洗っていると、女性のシルエットが映った。

「ミサキちゃん、ホノカちゃん、一緒に入りたい」

「私はとっても大歓迎だよ」

「ユタカちゃん、一緒に入ろう」

 ユタカはスレンダー体質で、胸はぺったんこ。普段は膨らんでいるように見えたので、パット
を入れていたのだとわかった。

 ミサキは男なのかを確かめるために、ある部分に視線を送った。あるものはなかったので、女性であることを察する。

 ユタカの胸を正面から見る。男と並んだとしても、区別をつけるのは難しいレベルである。

「ミサキちゃん、小さい胸を見ないでください」

 誰も小さいといっていないにもかかわらず、自分で小さいことを認めた。胸に対して、強烈なコンプレックスを持っている。

「男の人と交際していたとき、胸の小ささを何度も指摘された。女性=胸の大きさで評価されるのかと落胆したよ」

 胸を評価基準にするのは、まともな男のすることではない。最終的に破局できたのは、大きなメリットになる予感がした。

 ホノカは胸で悩む女性の背中を、ゆっくりとさすっていた。

「ユタカちゃん、いろいろと苦労したんだね」

 ユタカは実体験を語った。

「バストを大きくするために、いろいろな方法を取り入れた。どれもうまくいかなくて、胸は成長することはなかった」

 胸を大きくするために、牛乳を飲む、誰かにもんでもらう、マッサージする、生活習慣の改善、食生活の改善、姿勢の改善などがある。一部には絶対にありえないような、都市伝説も含まれており、真偽は定かではない。

「ミサキちゃんのミラクルパワーで、私の胸に奇跡を起こしてほしい」

 ユタカは体を前に差し向けてきた。藁にすがろうとする心境は、こちらにも痛いほど伝わってきた。

「ユタカちゃんの願いは、かなえることはできない。体をひっこめよう」

 ユタカは一息ついたあと、体をひっこめた。

「ミサキちゃんは胸の小さい女性をどう思う?」

「何も思わないよ。胸は一つのステータスでしかない」

 胸だけで人間を評価されるわけではない。他の部分についても、評価基準となっている。

「胸の大きい女性を好きな人もいれば、胸の小さい女性を好む人もいる。ユタカちゃんのステータスを認めてくれる男性を探せばいい」

「そうだね。私を好きになる男性を探してみる」

 ユタカは前触れもなく、ミサキの胸に手を伸ばそうとする。普段は触れられたくないけど、今回だけは許そうと思った。

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