144章 焼きそば店にやってきた
空は雲一つない快晴。それにもかかわらず、気分は大量の雲がかかったかのように、もやもやとしていた。
もやもやの理由は、断食を依頼されたから。まともな思考回路なら、断食をさせようとはしない。ミサキの体を弄んで、日頃のストレスを解消しようとしている。
ぶらぶらと歩いていると、焼きそば店の前を通った。せっかくなので、店に入ろうかなと思った。
店は休憩中らしく、客用の入口は閉まっていた。店に入るためには、営業再開まで待つ必要がありそうだ。長時間は待てないので、家に帰宅しようと思った。
店内を眺めていると、従業員に声をかけられる。
「お客様、今は営業していませんよ」
ミサキは声のする方向に、体をゆっくりと向けた。
「ユタカちゃん・・・・・・」
ユタカは誰なのかを確認すると、瞳をきょとんとさせた。
「ミサキちゃん、どうしたの?」
「店を訪ねたくなったから、こちらにやってきたの」
仕事をスタートさせてからは、休日に店を訪ねることはなかった。無意識のうちに仕事、プライベートを分けようとしていた。
「こっちからは入れないから、従業員用の入口から入ってほしい」
「わかった」
ユタカの案内に従って、ミサキは店内に入っていく。仕事をしないからか、緊張はいつもより小さかった。