140章 ありえない依頼
のんびりと過ごしていると、玄関のチャイムが鳴らされた。
「こんにちは・・・・・・」
家を訪ねてきたのは、20くらいの女性だった。
「私はこういうものです」
女性の名刺には、「フジモトミミ」と書かれていた。フジモトの苗字はよく聞くけど、ミミという名前はあまり聞かない。
「ミミさんはどんな用ですか?」
「大食い少女に、24時間断食をお願いしたいです。断食中については、水を摂取することはできます」
24時間食べ続けるのも無理だけど、24時間断食はそれ以上に無理だ。そんなことをしたら、命
はついえることになる。
「絶対に無理です。おひきとりください」
「1000万ペソの報酬をお支払いするので、断食をしていただけませんか?」
1000万ペソよりも、命、健康のほうが重要である。ミサキは仕事を引き受けようとは思わなかった。
「絶対に無理です。1日も食べなければ、あの世に旅立ってしまいます」
「ミサキさん、お願いします」
「私以外の人をあたってください」
「ミサキさん以外の人だと、宣伝効果はありません。お願いします」
「絶対に無理です。私を殺すつもりですか?」
ミミは一歩後ろに下がった。
「いえ、そんなことは・・・・・・」
「殺すつもりでなければ、そんな企画は絶対に思いつきません。人間としてどうかしていると思います」
ミサキはスマートフォンを手に取ると、「1」、「1」、「0」の順番でボタンを押す。故意に殺害しようとしている女性を、刑務所に送り込むつもりだ。
警察関係者は、2~3秒で電話を取った。
「もしもし、警察ですけど・・・・・・」
「20くらいの女性が、私を飢え死にさせようとしています。すぐに来てください」
「わかりました。ミサキさんの家にすぐに伺います」
ミサキは電源を切ると、ミミに冷たい言葉を発する。
「私を殺そうとした、あなたを絶対に許せません。警察署で裁きを受けてください」
ミミは警察を呼ばれると思っていなかったのか、錯乱状態に陥っていた。とんでもないことをしでかすかもしれないので、彼女から距離を取ることにした。