97章 夕食
夕食の時間がやってきた。
「アヤメちゃん、夕食は何を食べるの?」
「夕食は玄米パン2個、豆腐ハンバーグだよ」
夕食はヘルシーであること、栄養バランスがいいことだけで決められている。アイドルの満足感については、蚊帳の外に追いやられている。
「アヤメちゃん、それだけでいけるの?」
「私はこれで十分だよ」
貧相な食事に我慢できることは、アイドルの成功における一歩となる。アヤメの食事を見ていると、そのように感じた。
「豆腐のハンバーグは、最高においしいよ。これを食べることで、とっても元気になれる」
「ハンバーグに肉は入っているの?」
「ううん。肉は入っていないよ。豆腐、あげ、ニンジン、玉ねぎ、ピーマンなどで作られている」
ハンバーグ=ミンチ肉のイメージを持っている。野菜だけで作っているのは、大いに違和感があった。
アヤメは玄米パンを口にする。
「パンはとってもおいしい」
アヤメは一口のパンを20~30回くらいかむ。わずかな食料を、一秒でも長く食べようとしてい
るように感じた。食事を詰め込むだけの女性とは、明らかに違っていた。
「ミサキちゃん、とってもおいしいよ」
アヤメの食事を見ていると、おなかがギュルルとなった。3時間程度で、パン、グラタン、シチューのエネルギーを使い果たしてしまった。
「ミサキちゃんは何を食べるの?」
「焼き肉を食べるつもり」
白米6、肉2、野菜2の割合で食べる。白米を多めにとることによって、エネルギーを摂取できるようにしたい。