バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

94章 おなかすいた

 ミサキのおなかがギュルルとなった。

「おなかすいた・・・・・・」

 わずかな寒天で生きられる人もいれば、ラーメン5杯、餃子10人前、から揚げ10人前を食べても空腹になる人もいる。顔だけでなく、おなかも不平等である。

「ミサキちゃん、何を食べるの?」

「まだ決めてないけど・・・・・・」

 アヤメはいつにもなく、瞳を輝かせていた。

「ワクワク、ワクワク、ワクワク、ワクワク、ワクワク、ワクワク、ワクワク」

「アヤメちゃん、食べるところに興味があるの?」

「うん。ミサキちゃんの食べているところを見ると、元気をたっぷりもらえるの」

 アヤメと話をしている間にも、空腹は進行していくことになる。ミサキは席を立つと、自販機に向かった。

 昼は中華だったので、それ以外のものを食べたい。しばらく考えたあと、洋食を食べることに決めた。

 パン10枚、シチュー10人前、グラタン10人前のボタンを押す。しばらく待つことによって、豪華なメニューを食べられる。

「ミサキちゃん、何を食べるつもりなの?」

「パン10枚、シチュー10人前、グラタン10人前だよ」

「ミサキちゃんの胃袋は、とてつもなく大きいね」 

 痩せているにもかかわらず、大量のエネルギーを必要とする。見た目=生きるために必要なカロリーは不一致だ。

 アヤメはマイバッグから、スマートフォンを取り出す。

「ミサキちゃん、食べているところを映像に収めてもいい?」

「ダメだよ。そんなことをされたら、とっても恥ずかしいよ」

 アヤメは食いつくと思ったけど、スマートフォンをカバンの中にしまった。

「わかった。ミサキちゃんの食べるところを、心の中に永久保存する」

 アヤメは羨望の眼差しを向けていた。ミサキは恥ずかしさのあまり、顔をそらしてしまった。

しおり