93章 家の設備
アヤメはシャワーを終えると、新しい服に着替える。汗をかくことを想定して、服を複数枚持っていた。
「シャワーは最高によかった。ミサキちゃん、ありがとう」
「どういたしまして」
「私の家にも、同じシャワーを設置したい」
「そんなにすごかったの?」
アヤメは首を縦に振った。
「私の使用した中では、一番のシャワーだったよ。お湯を浴びることに対して、体が喜びを感じたのは初めてだもの」
普段から使っているからか、ピンとこなかった。当たり前になったことで、感動を得られなくなった。
「ミサキちゃんの家は、いろいろと豪華だね。1日だけとはいわず、永住的にここに住みたい」
「アヤメちゃん、家は譲らないからね」
アヤメは小さい瞬きをする。
「ミサキちゃんと同居できるなら、1カ月にしておけばよかった。1日だけにしたのは、大失敗だった」
大食いの優勝者は誰なのかわからない。最初から1カ月にするのは、非常にリスキーである。
「ミサキちゃん、洗濯機を借りてもいい?」
一人暮らしなのに、洗濯機は3台。どう考えても、過剰な台数である。
「真ん中の洗濯機を使っていいよ」
「ミサキちゃん、ありがとう」
アヤメは汗のついた服を、洗濯機に投入する。その後、手持ちの洗濯粉を入れていた。
「アヤメちゃん、洗濯の粉を持ち歩いているの」
「うん。肌に優しいタイプにしているの」
食事、ストレッチ、運動以外にもこだわりを持つ。アヤメという女性は、すべてのものにこだ
わっている。
スタートボタンを押すと、洗濯機は回転を始めた。アヤメは様子を確認したのち、大きな背伸びをしていた。