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85章 守りたい領域

 アヤメは普段着になった。

「振袖もいいけど、こっちのほうがいいね」

「アヤメちゃん、振袖を着たのはどうしてなの?」

「私の気まぐれかな」

 普段は着用しない服を、気分で着てみたくなる。ミサキも小学生のときに、同じような気持ちになった経験がある。

 アヤメは大きな欠伸をする。

「ミサキちゃん、膝枕をしてください」

「うん」

 ミサキが膝を差し出すと、アヤメはゆっくりと横になった。

「ありがとう・・・・・・」

 アヤメは前回と同じく、太腿を優しくさする。

「ミサキちゃんの太腿は、前回から変わっていないね」

「太ももが太くならないように、食べる量を調節しているんだ」

 体重を増やさないよう、食事の量を調節している。身長は伸びないため、体重をキープしていく必要がある。

 アヤメはおなかを触ってきた。

「おなかについても、前回と全く同じだね」

「うん。こちらも維持している」

 アヤメの掌は、腰回りに伸びた。

「ウエストもとっても細いね。アイドルにとって、理想のくびれ方をしている」

 ミサキのウエストは48センチ。アイドルと比べても、細めのウエストとなっている。

 アヤメの掌は、膨らんでいるところに向かおうとしていた。同性であったとしても、胸を触られるのは絶対に嫌だった。

「アヤメさん、胸は絶対に触らないように。故意に触った場合は、絶縁するからね」

 アヤメはすぐに手を離す。

「ミサキちゃん、ごめんなさい」

 ミサキは笑みを浮かべながら、冷たい声を発する。

「アヤメさん、調子に乗りすぎだよ」

「これからは、自重するようにします」 

 アヤメはゆっくりと体を起こした。

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