82章 決勝戦
ラーメンを食べたことで、満福中枢を保つことができた。あれを食べていなければ、空腹で倒れていたと思われる。
「これから決勝戦を開始します」
決勝戦に登場したのは、見覚えのある食べ物だった。
「最終決戦の食べ物は、焼きそばです。1時間でたくさん食べた人が、チャンピョンです。焼きそばについては、シノブさんより提供していただきました。本当にありがとうございます」
なじみのある味であるため、非常に食べやすい。ミサキにとって、大きな追い風になりうる。
ゴンゾウ、ゴリゴリラは食べる前から、息切れを起こしていた。焼きそばを食べることすら、難しい状態である。
ミサキは割り箸をわったあと、焼きそばを軽快に食べ進めていく。ラーメン18杯を食べたとは思えない、ペース配分だった。
「ミサキさん、まだまだいけるようですね。細い体のどこに、食べ物が入っていくのでしょうか」
ゴリゴリラ、ゴンゾウも焼きそばに手をつける。50万ペソが欲しい、アヤメと生活したいという執念を感じられた。
ゴンゾウ、ゴリゴリラの箸がストップする。進行役は危険を感じたのか、
「ゴンゾウさん、ゴリゴリラさんを病院に運んでください」
といった。二人はすぐさま、救急車で運ばれていった。
「ゴンゾウさん、ゴリゴリラさんのリタイアによって、ミサキさんの優勝が決定しました。新チャンピョンに、大きな拍手をお願いします」
思わぬ形の決着だったからか、腑に落ちない部分もあった。
焼きそばが片付けられていく。片付けないでという、心の声を届けることはできなかった。