78章 おなかがすいた
3回戦進出者は、15名だった。1回戦、2回戦を終えた時点で、90パーセント以上が脱落することとなった。ミサキには楽勝であっても、一般参加者には厳しい大会だ。
3回戦に進んだ内訳は、男性12人、女性3人。元々の人数からすれば、女性は健闘しているように感じられた。
3時間で口にしたのは、おにぎり、巨大のたこ焼きのみ。20000キロカロリーを必要とする女性には、明らかに物足りなかった。このままのペースでは、空腹で倒れることになりかねない。空腹リタイアは、大食い大会では前代未聞の珍事といえる。
シノブ、マイ、ナナは様子が気になったのか、ミサキのところに近づいてきた。
「ミサキさん、おなかはすいてないですか?」
長期間の付き合いをしているだけあって、ミサキのことをよくわかっていた。
「とってもすいているよ」
シノブはカバンから、エネルギーチャージを取り出す。
「サポートになるかわからないけど・・・・・・」
エネルギーチャージを飲むと、少しだけ元気を取り戻す。
「シノブさん、ありがとう・・・・・・」
「ミサキさんにとっては、空腹との戦いになりそうだね」
「そうかもしれないね・・・・・・」
大食い大会でおなかを壊す人はいるけど、空腹で悩む人はいない。自分の体の特殊性を、改めて感じることとなった。
「3回戦が始まりそうなので・・・・・・」
マイは小さく頷いた。
「ミサキちゃん、たくさん食べられるといいね」
「マイさん、ありがとう」
ナナは拳を握った。
「ミサキさん、ファイト」
「ナナさんの応援を力に変えるね」
ミサキは3回戦に向けて、気合を入れなおした。