59章 破格な値段
回転寿司屋ということもあって、ネタが店内を回っていた。
ネタによって値段が異なるのか、皿の色は異なっていた。ミサキはどれくらいの値段なのかを、食べる前に確認しようと思った。
ミサキの目に飛び込んできた価格は、予想のはるか斜め上をいっていた。
「シノブさん、マイさん、値段を確認してください」
シノブ、マイは値段を見ると、顔が真っ青になった。
「こんなにするの・・・・・・?」
一番高い皿は、一皿で40ペソだった。日本円に換算すると、4000円くらいとなる。一皿の値段にしては、高すぎるような気がした。
二番目に高い皿は、35ペソと書かれていた。トップほどではないものの、高額商品となっている。
三番目に高い皿は、30ペソとなっていた。こちらについても、かなりの高額商品といえる。
一番安い皿は、3ペソと書かれていた。これくらいの値段であったなら、問題なく食べられるように感じられた。
アオイ、ツカサはすでに、一番高い皿を取っていた。回転寿司屋において、40ペソ以上を払うのが確定した。
「シノブちゃん、マグロはとってもおいしいよ」
「うん。口の温度だけで、すべてが溶けていく」
アオイ、ツカサがマグロを食べ終えると、シノブは4人に声をかける。
「高級回転寿司店なので、ネタの値段に注意してくださいね」
アオイ、ツカサは皿の値段を確認すると、顔が真っ青になった。
「一皿でこんなに値段がするの?」
「回転寿司屋ではなく、超高級回転寿司屋じゃない」
看板だけを見ていると、高そうには見えなかった。アオイ、ツカサが騙されたと思うのは、やむを得ないことなのかもしれない。
「アオイさん、ツカサさんはお金を払えますか?」
アオイ、ツカサは自分の財布の中身を確認する。
「私の所持金は55ペソだよ」
アオイは一皿で、所持金の70パーセント以上を失った。高級寿司のすごさを、見せつけられることとなった。
「私は50ペソ。もう何も食べられないよ」
ツカサは所持金の、80パーセントを失った。温泉のことなどを考えると、お金を残しておいたほうがいい。
ミサキがタッチパネルを操作すると、10ペソでうどんが販売されていた。うどんにしては、値段が高すぎるように感じた。
てんぷらも10ペソ。うどんにのせて食べれば、てんぷらうどんの完成だ。
「うどん、てんぷらで20ペソだよ。これならいけるんじゃないかな」
ミサキの提案に対して、シノブ、マイ、ホノカ、ナナは首を縦に振った。
「うどん、てんぷらを食べましょう」
寿司屋でてんぷらうどんを食べる。寿司を食べるという常識からは、完全に逸脱しているように感じられた。こうするくらいなら、うどん店を訪ねておけばよかった。
「かっぱ巻き、コーン、かんぴょう巻き、卵は3ペソだよ。これくらいの値段なら、問題なく食べられるんじゃないかな」
どこの寿司屋においても、かっぱ巻き、かんぴょう巻き、コーン、卵は安く設定されている。庶民の味方については、現実世界と全く同じである。
カツオ、サーモンは8ペソだった。高めではあるものの、手に届かない金額というわけではなかった。