60章 寿司屋でうどん
振袖を着た女性がこちらにやってきた。
「うどん、てんぷらのお客様はどちらでしょうか?」
シノブ、マイ、ホノカ、ナナが手を挙げた。
振袖を着た女性は、シノブの座っているところにうどん、てんぷらを置いた。
「うどん、てんぷらになります」
振袖を着た女性は、うどんを丁寧に置く。つゆを一滴もこぼさないという、強い意志を感じる。
うどんはとっても細く、そうめんさながらだった。この細さの麺を、うどんと呼んでもいいのだろうか。
てんぷらはエビ1本のみ。卵、玉ねぎ、魚などはついておらず、完全にエビのてんぷらだった。
振袖を着た女性は、マイの座っているところにうどん、てんぷらを置いた。
「うどん、てんぷらになります」
マイは寿司を食べられないからか、どんよりとした顔をしていた。前向き、ポジティブに意気羊頭する姿はなかった。
「ゆっくりとお楽しみください」
振袖姿の女性は、深々と頭を下げる。