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31.街に向かって出発!!

「さぁ、出発だ!」

 ローレンスさんの掛け声と共に、列が進み始めました。先頭は騎士さん達、その次がスチュアートさん達でしょう。それからローレンスさん達が進んで。僕達はその後ろね。それから別の馬車とに荷馬車が続いて、最後にまた騎士さん達が。

 僕とルリはスノーラに乗って移動です。でも途中で疲れたらいつでも馬車に乗って良いってローレンスさんが。本当は最初から僕達は馬車で移動って考えていたみたいなんだけど、僕がスノーラに乗って移動したいってお願いしました。

 いつでも遊びにこれるって言っていたけど、でもやっぱりこの森を見ていたくて。ここへ来て初めて生活した場所だからね。それに僕達の見送りに、友達になった魔獣さん達が来てくれたんだよ。スノーラが他の場所でも待っていてくれてるって。だから森から出るまでは馬車に乗らないで、みんなにバイバイしながら移動したいんだ。

 でも街へ行く道へ出たらすぐに馬車に乗ります。魔獣姿のスノーラを見たら周りにいる人達がビックリして、大騒ぎになっちゃうからって。まぁ、人の姿のスノーラを知っている人達もいるから、人の姿だから騒がれないってわけでもないらしいけど。

 それからそんなスノーラの背中に乗っている僕達を見たら、さらに騒ぎが大きくなっちゃうって。色々準備が整うまで、他の人に会わない方が良いみたいです。
 街へ行ったらすぐにお友達ができるかなって思っていたんだけど、そんなに簡単じゃないみたい。でも確かにスノーラもルリもとっても珍しい魔獣だもんね。ちゃんと準備してからじゃないと。

 僕がそんな事をルリをお話ししていたら、ローレンスさんが、確かにそうなんだけど、そうじゃないって。

「あの方と似ている所が多い。感づく奴も出てくる筈だ。それにこんなに可愛い子供が、そうそういてたまるか。だからといって、自覚してほしいと言っても無理だろうしな」

 ボソボソ何か言いながら、僕とルリの事を心配そうに、でもちょっと笑いながら見てきました。

 歩き出して少しして、大きな木が生えている場所に到着。僕とルリが来た、洞窟から1番遠い場所です。ここから先はまだ行ったことがありません。この先森はどうなってるかな? ルリが大好きなあの花畑みたいに、綺麗な場所があるかな? それともここは危ない森って言っていたから、なんか沼みたいな、ドロドロした場所があったりして。

『あっ! レン、お見送り!』

 ルリに言われて、大きな木の上の方を見ます。そこには最初にお友達になったリスみたいな魔獣さんが。僕もルリもブンブン手を振ります。リス魔獣さんもブンブンしっぽを振ってくれて。

『またね!! 遊びに来る!』

「バイバイ!!」

 リス魔獣が枝の上で1回転して、森の奥へ消えて行きました。

「ここまでそんなに進んでいないが、ずいぶん魔獣達が見送りに来るな」

『ああ。まだまだ見送りに来ているぞ。かなりの数の友人を作ったからな』

「あら、友達が多い事は良い事だわ」

 あのねスノーラがローレンスさん達に、敬語を止めるように言いました。これから一緒に居るかもしれないのに、ずっと敬語だとスノーラが堅苦しくて嫌だって。だからローレンスさん達は敬語をやめました。時々敬語になっちゃうけどね。

 順調に森を進んでいく僕達。その間に何回も友達にバイバイして。何も問題が起きないまま、夕方、ちょっと広い場所に出たから、今日はここで泊まる事になりました。予定よりもかなり進んだみたいだよ。スノーラが言っていた通り、スノーラがいるから面倒な魔獣が出てこないおかげで、すいすい進めたんだ。

 ご飯を待つ間、僕はケビンさんがテントを張っていたから、それのお手伝いです。僕はケビンさんが紐を結んでいる時に、その紐が動かないように抑えるお手伝いね。ルリは紐を持ってあっちにこっちに飛んで、向こう側の人に紐を届けるお手伝いです。

 でも紐を抑えるだけのお手伝いだったんだけど、これが結構大変で。抑えるのにかなり力が必要だったの。僕はしゃがんで踏ん張りながら紐を押さえていたんだけど。最初の紐を届け終わったルリが、僕の隣に来て僕を応援。僕の隣で、僕と同じような格好をして、顔をフンッ!

 やっと1つ目の紐が結び終わって、次の紐の所に移動。またルリが紐を運んで、僕は紐を抑えてフンッ! 戻ってきたルリも応援でフンッ! そうしたらちょうどこの場所に見送りに来てくれたうさぎに似てる魔獣達が、一緒に僕達を応援してくれて、みんなでフンッ!

 その途端、近くに居た人達が笑い始めました。どうしたのみんな? 何か面白い物でもあるの? 紐が結び終わってたった僕達。周りをキョロキョロします。ちょっと遠くにいたローレンスさん達も笑ってたよ。でも僕が見た限りだと面白いものなんかないし。

「嫌だわ。こんなに野生の魔獣が、人と同じ事をするなんて。しかもあんな可愛い姿」

『他の魔獣もレン達の真似をするぞ。我にはこれが普通なのだがな』

 どうして笑っているのか分からないまま、次の紐の場所に。4つ紐を結んだら、別のテントを張るお手伝い。僕達は3つのテントを張るお手伝いをしたよ。それでお手伝いが終わった時、ルリが言ったんだ。

『レン、僕小さいテント欲しい』

「ちいしゃい?」

『うん。このテントは大きい。レンと一緒の小さなテント欲しい』

 あっ、子供用のテントの事かな? うん、それ良いかも。でも…、僕お金持ってない。それにローレンスさんのお家には行くけど。そういうお願い、あんまりしちゃダメな気がするし。スノーラに後で聞いてみようかな? スノーラなら何かいい方法知ってるかも。もしかしたらスノーラがテントみたいな物作ってくれたりして。だってスノーラ、細かい作業上手だもん、木の実で色々作ってくれるし。良し、後で聞いてみよう!

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