30.大切な友達を守るペンダント
スノーラの説明だと、これは小さい魔獣用のペンダントで、ルリが街で暮らすために、必要な物らしいです。街で暮らす、誰かと契約している魔獣さん達のほとんどが、何かしら体に付けていて。誰が誰と契約しているって証明するための物なんだって。
例えばもし、悪い人がいたとします。その悪い人が、他の人が契約している魔獣を奪おうとして、自分の魔獣だって言ったとするでしょう。それでそう言われた人は、その魔獣が自分のだって証明しなくちゃいけなくて。そうなった時にすぐに分かるように、契約している人は、自分が契約している魔獣に特別な印を持たせます。
ペンダントや腕輪、足輪にしっぽにつける用のブレスレット。あとはその魔獣に合わせて特注で作ったり。帽子や洋服を着てる魔獣もいるみたい。それでその付ける物には必ず自分のだってマークが付いていて。何かあった時はそのマークのことも詳しく聞かれるみたい。
問題が起きないように、殆どの人が何かを付けて一緒に行動しています。付けていない人もいるけど、その場合は契約した魔獣がとっても強くて、そう簡単に手を出せない場合ね。
付けていても問題が起こる事はあるけど、それでも何もないよりは、事件が早く解決するし。契約はとっても大切。せっかく契約した者同士が離れ離れにならないように、とっても大切な物なんだ。
そっか。そういう事もあるんだね。契約しているのに、自分のだって奪おうとするなんて、最低な人達だね。ローレンスさん達はそういう人たちを何人も捕まえてきました。でもなかなか減らなくて。これからもっと対策を強化しないとって、ローレンスさん言ってたよ。
今、ケビンさんが持っている物は、スノーラが伝言でルリの事を伝えていたから、街へ来るならって、急いで用意してくれたみたいです。急だったからサイズが合わないかもしれないけど、それでもたくさん用意してくれたんだよ。ありがとう!! それからこのタカ?みたいなマークは、ローレンスさんのお家のマークみたいです。
ローレンスさんは街を治めているとっても偉い人。だからこのマークを付けたペンダントを付けていれば、よっぽど面倒な人達が絡んでこない限り、ルリには手を出してこないって言ってました。
ちなみに、街へ行ったらサイズとかデザインとか、ルリの気にいる物を作ってくれるって。作ってくれる専門のお店があるんだ。それから今は一応ローレンスさんのお家のマークを描いた物をつけるけど、他にも僕と契約していますってマークを描いた物を、一緒に付けても良いって。
マークが描いてある石は、とっても軽い特別な石だから、2個付いていても、殆ど重さが変わらないの。だからローレンスさんのお家のと、僕達が考えた物を付ければ良いって教えてもらいました。
『もしルリがペンダントを付けたくなければ、他の方法を考えるが。どうだ? ペンダントを付けても良いか?』
『付けないと、レンとスノーラとバイバイ』
『まぁ、我が居るからな、そんな事にはならんが。だがもしもという事もある』
『ルリ、レンとスノーラとバイバイやだ! ペンダント付けてみる。それで後でレンとマーク考えてそれ付ける!』
ルリがペンダント付けて良いって。僕だと上手に付けられないから、フィオーナさんが代わりに付けてくれます。持ってきた物を順番に付けて、サイズが1番合っている物にしました。
「サイズはこれでピッタリかしら? ルリちゃん苦しくない?」
『大丈夫! ピッタリ!!』
「そう。じゃあ街へ戻ったら、このサイズでルリちゃん達が気にいる物を作りましょう」
『レン! 後でマーク考える!』
「うん!!」
どんなマークが良いか、一緒に考えようね! ペンダントを付けた後も、僕達は騎士さん達の様子を見たり、またスルースの所へ行って乗せてもらったり。楽しかったです。
それから夕日が沈んだくらいに夜のご飯を食べて。ローレンスさんとフィオーナさんだけ洞窟に残って、一緒に寝る事になりました。ローレンスさん達は外で泊まるの慣れてるみたいで、魔法カバンから薄いマットが潰れたような物を出して、薄い掛ける物も出して、すぐに寝る準備完了。僕達もいつもみたいに木の葉ベッドでスノーラに寄りかかりながら寝ます。そして朝起きた時。
「まったく、思わず大きな声を出して笑いそうになってしまった。いや、危なかった」
「本当にレンとルリちゃんは仲良しなのね。私もビックリしたわ」
僕達が起きて、ローレンスさん達に朝のご挨拶をして、ローレンスさん達もおはようをしてくれたんだけど。そのあと2人がすぐに笑い出して。ローレンスさんなんて笑いすぎなんじゃってほどだったよ。夜、それが起きた時に笑わなかった分、今笑ってるみたい。
僕達が寝てからスノーラとローレンスさん達は、話の続きをしていて、その時の僕達のあの動きが一緒の寝相が面白かったみたいです。僕が横を右を向くとルリも右を向いて。僕がお腹を掻いたり顔を掻いたりすると、ルリも同じタイミングで掻いて。
それでね、途中でスノーラが水を飲もうと思って立った時、僕は右に転がり始めて。そうしたらルリは左に転がり始めて。円を書くように転がり始めた僕達。そのまま洞窟の壁に転がって行って、同時に壁にぶつかりそうに。スノーラが慌てて僕達を止めました。そんなスノーラを僕達は邪魔するなって感じで、ツッコミみたいにスノーラの事を叩いて。そのまま反対にまた転がり始めた僕達。元の場所に戻って寝始めたって。
前に寝相が一緒だってスノーラに聞いたけど、そんなに? 僕もルリも首を傾げます。
「くくくっ」
ローレンスさん笑いすぎじゃない? あっ、ほらルリが狙ってるよ。