22.スノーラと契約!!
『どうした、急に大きな声を出して』
「けいやくむじゅかちい! かーしゅがいってちゃ!!」
『ああ、その事か。あいつも余計な事を。心配させるような事言うから、契約する前にレンが慌てるんだ』
余計な事って、大切な事だよ! 大体そういうのは、スノーラがしっかりお話をしないといけないんじゃない? それなのに、僕は何も知らないままルリと契約して。もし失敗してそのあと契約ができなくなっちゃっていたら…。僕はスノーラのお腹を叩きます。それをみたルリが一緒にお腹を突いてくれて。
『ま、待て。良いか、我の話を良く聞くんだぞ。ルリの時に、あの方法で契約できたのだから問題はない。それだけレンの契約がしっかりしているという事だ』
カースがこの前言ったことは素人の契約者達の事で、僕はそういう人達とちょっと違うみたい。他の人よりもしっかり魔法が使えるから関係ないって。それから契約の魔法陣を覚えると、今の僕だと絶対に完璧に覚えられないでしょう。しかもそのせいで、変な魔法陣を描いたり想像したりして、逆に契約を失敗しちゃうかもしれないって。だからこの前の契約の仕方の方が良い。それがスノーラの考えでした。
『分かったか?』
じぃ~。ルリと一緒にスノーラを見ます。
『何だその目は。我は本当の事を言っているだけだぞ。そんな本当?というような目で見てくるな。さぁ、契約するぞ』
本当に、本当に大丈夫? 失敗しない? 僕とっても心配だよ。でもスノーラは僕に契約の魔法陣を教えるつもりないみたいだし、でも契約はするって。スノーラのこと信じてるけど。僕失敗してスノーラと契約できなくなるなんて嫌だよ。スノーラが立っている場所に、よちよちゆっくり歩いていく僕。
『そんなに心配していると逆に失敗するぞ。自信を持て』
もう、分かったよ。僕スノーラのこと信じてるからね! 僕は気を取り直して、しっかりとスノーラの前に立ちました。それからすぐに、僕の頭に自分の手を乗せるスノーラ。いつもみたいに体の中が温かくなってきました。スノーラがルリに離れているように言って、ルリが木の葉ベッドの方へ移動したのを確認。スノーラが僕の頭から手をどかして、これで準備は完璧です。
『さぁレン、我と契約を。ああ、今だけはスノーではなく、スノーラと言ってくれ』
「しゅのーりゃ、けいやく、おねがいちましゅ!」
『我はレンと契約する』
そう答えた瞬間、ルリの時みたいに僕達を光の風が包み込んで。ルリの時よりも長く光っている気がします。大丈夫? 大丈夫だよね? ドキドキしながら光が消えるのを待つ僕。かなり長い間僕達は光に包まれていました。あっ、ルリの時みたいに、体の中に光の風が入ってくる感覚もしてるよ。
やっと光の風が消えた時、そこにはいつもと違う洋服を着ているスノーラが立っていたよ。何で? スノーラが腕をぐるぐる、足を伸ばしたり曲げたり。
『ふむ、契約は成功だ。何も問題はない。だから言ったであろう? 何も心配する事はないと』
ちゃんと契約できたみたい。なんか時間がかかってたから、もう心配で心配で。契約できて良かったぁ。ルリがスノーラの肩に乗っかって、これで家族って、とっても喜んでいます。僕もやろう! 僕もスノーラに抱きついて顔をぐりぐり。それからいつ洋服を着替えたのか聞いてみました。そうしたら着替えてないって。契約したから変わったって言いました。
『ルリはまだ小さく、魔力が安定していないからな。そのせいで変化は見られなかったが。我のように強い者と、お前のように強い者が契約すると、人間の姿の時の洋服が変わったり、魔獣の時の姿が変わったりするのだ』
スノーラが魔獣の姿に戻りました。そうしたら本当に魔獣の姿も少し変わっていて、色艶が良くなったっていうかキラキラになったっていうか。それからツノが大きくなっていて。毛を触ってみたらさらにもふもふになっていました。
『どうだ? 色々変わっているだろう?』
『ふわふわ、寝る時にもっと気持ちよくなった! ね、レン!』
「うん!」
『そっちか…、もっとこう格好良くなったとか、綺麗になったとか。はぁ』
さっそくお腹に擦りつく僕達。う~ん、気持ちいい! ルリ、契約できて良かったね。その日は新しいもふもふ毛でゆっくり眠りました。スノーラは何回か僕達を足でどかしたんだけど、寝ていても無意識にスノーラにくっ付いてくる僕達に、最後は諦めたって。朝ブツブツ言っていたよ。
それからカースに報告に行きました。カースは契約したって聞いた時、今までで1番優しい顔をして良かったねって。その後は契約の仕方を聞いて大笑いしてました。
『僕が説明してあげたのに、結局その方法で契約したんだ。良かったね契約できて、アハハハハッ!!』
ほら、やっぱりあの契約の仕方おかしいんじゃない? でもまぁ2回できたんだから大丈夫なのかな? う~ん。
『さぁ、昼食まで遊んでこい』
集まってきた魔獣達と湖に走っていく僕達。ふぅ、契約できて良かった!
『契約できて良かったね。それでどんな感じ?』
『あいつの時よりもしっかり繋がっている感じだ』
『だろうね。絶対相性が良いと思ったんだよ。あの子達をしっかり守ってあげてね』
『当たり前だろう。我の新しい家族だからな』
『君がそんな顔して笑うのを久し振りに見たよ』