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21.緊張のスノーラ、僕達もう家族でしょ

「まだかにゃあ?」

『まだかなぁ?』

『お前達、毎日そんなにじっと見ていても卵は孵らんぞ。それに言ったであろう。いつ生まれるか分からないと』

 だから毎日確認してるんだよ。ルリと2人で『ねぇ』ってします。いつ生まれるか分からない。それなら今生まれるかもしれないでしょう?

『まったく。ほら今日は花畑の方へ遊びに行くぞ』

 そう言われて僕達は卵にいってきますをしてから、スノーラの背中に乗りました。卵を見つけて持って帰ってきてから3日。その辺にぽんって置いていけないから、スノーラが大きな木の実を見つけてくれて。その中身をスノーラが食べて入れ物を作ってくれました。それでその木の実の入れ物に、花から採れるワタとか木の葉とかを入れて。卵のベッドの出来上がり。

 それから毎日、外で遊ぶ時以外はルリと2人で卵の側に。もし洞窟の中で遊んでいても、なるべく卵の側に。もちろん探検とかする時は、スノーラに見てもらっています。スノーラは生まれる時は分かるから、教えるからそんなに見てなくても良いって昨日言っていたけど。でも、なるべく側にいた方が良いと思うんだ。

 今日遊びに来たのは、ルリが大好きな場所。えと、ルリが倒れていた場所じゃなくて、他にもルリが好きな花畑があって、今日はそこに遊びに行く約束をしていました。花畑に着くと、すぐに花の中に潜って行くルリ。出てきたら頭の上に可愛いピンクの花が乗っていたよ。

『レン、このお花美味しい。食べて』

 美味しい? 確かにスノーラは時々ご飯って言って、お花を持ってくる時はあったけど。でもこの花はまだ見た事がない花で。

『レン、その花は食べるんじゃなくて吸うんだ。蜜がとても美味しくてな。我はそんな小さな花吸えなくて食べてしまった方が早いが』

 僕はルリから花を受け取って、花の付け根の方からチュウチュウ蜜を吸ってみます。そうしたら今までにこんなに美味しい甘い物食べた事ないってほど、とってもとっても美味しい蜜が口の中に広がって。ああ、これホットケーキとかにつけて食べたら美味しいんだろうなって。

「おいちい! ありがちょりゅり!」

 まだ上手くルリって言えなくてりゅりになっちゃうけど、頑張って話す練習するから待っていてね。

『ボク、もっと持ってくる。洞窟に持って帰る』

 ルリがにニコニコしながらまた花の中へ。そのあとたくさん集めて来てくれたルリ。スノーラに魔法で持ってもらって他の花で遊んだら、今日の外遊びはおしまい。洞窟に戻りました。でも、戻る時ちょっと変な事が。いつもはスノーラがいっぱい話をしてくれるんだけど、今日はあんまり話さなくて。夜のご飯の時も静かでした。何か考えている感じ。どうしたのかな?

 ご飯を食べ終わった僕達は、いつもみたいに顔を洗って、浄化をしてもらって。そのまま木の葉ベッドでゴロゴロしようとしました。でもスノーラが僕に木の葉座布団に座ってくれって。なんか真剣な表情。僕はすぐに木の葉座布団に座ります。

『レン。大切な話をする。もしレンが良ければなのだが。ルリと同じ、我とも契約してくれないだろうか』

 おお! 契約!! うん、別に僕は良いよ。だってスノーラだもん、契約するのに問題なんかないよ。僕が返事をしようとしました。でもそれをスノーラが止めて。何? 契約して欲しいんでしょう? ん?

『これからおそらくここへ、人間達が訪ねてくる』

 何々、急に。契約の話は? スノーラの話によると、この前会ったバディーに色々お願い、じゃなかった。伝言を頼んだんだって。バディーと契約している人への。僕はスノーラに面倒を見てもらっていて、今はとっても元気です。でも僕は人間。人間の生活が大切だって。そういつかは人間達が暮らしている場所に行くって言っていたやつね。その事で伝言を頼んだんだって。

 僕をバディーの家に連れて行って欲しいって。他にも色々伝言は頼んだらしいんだけど、1番大切な伝言はこれね。僕そんな伝言を頼んでいたなんて知りませんでした。それでね、もしバディーの契約している人がその伝言を受け入れてくれるなら、もうすぐここに迎えにくる頃なんだって。もうなんでそんな大事な事、早く教えてくれなかったの。

『もちろん完全に決まりと言うわけではない。我が向こうで色々と確認し、お前にとって良くないと思えば、ここへ戻ってくるか、他の者達の元へ行くか。ただ、今回街へ行くのに、レンとルリを守るためにも、我は契約した方が良いと考えている』

 う~ん。別にいつも守ってもらっているし、それに僕達家族でしょう? 考えたら今まで契約してなかったのがおかしいんじゃない? 僕はそう、言葉があれだけど一生懸命スノーラに伝えました。そんなに緊張してお願いしてこなくても、僕はスノーラと契約するよ。今のスノーラは魔獣の姿なんだけど、何か表情は固いし、体はこわばっているような。

『そうか…、お前はそうだな。ありがとうレン』

 僕の話しを聞いたスノーラの緊張が解けて、スノーラがニコッて笑いました。だから僕も、それから側でお話を聞いていたルリも一緒に笑って。

『まぁ守るとは言っても、我がレンと契約したいだけの話なんだが』

 小さな声で何か言ったスノーラ。何て言ったのって聞いたけど、何でもないって。ふ~ん? ま、良いけど。

『良し、そうと決まればすぐに契約してしまおう!』

 スノーラが立ち上がりました。と、僕思わず『あっ』って言います。僕大切な事を忘れていました。

「しゅのー、ちゃいへん! けいやくできりゅ?」

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