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19.湖の底にあった物は?

「ばいばい!!」

『キュイィィィ!』

『ピュピィ!』

『ガウガウッ!』

『また遊ぼ!』

 みんなに手を振って、スノーラがピョンッと飛び跳ねると、1回で木のてっぺんに。そして洞窟の方へ向かって走り始めました。
 あ~、楽しかった。スノーラ達の話がなかなか終わらなかったおかげで、僕達いっぱい遊べちゃったよ。もうね、数えきれなくらいの魔獣さん達と友達になれて僕もルリもニコニコです。
 それにね僕はある物を見つけて、その事でもニコニコ。今は落とさないようにスノーラが魔法で持ってくれています。

 あのね僕、綺麗な卵を見つけたんだ。水遊びをしてその後は花を見て、虫を探したり。色々な事をして遊んでいた僕達。と、途中でふと僕は湖の中央の方を見ました。
 何かそっちが気になったっていうか、何かを感じたっていうか。そうしたら湖の中が少しだけキラキラ光っていました。もちろんここへ着いた時に、湖の中央も見ていて、その時はキラキラ光っていませんでした。でも後から見たらキラキラ光っていて。僕はすぐに湖の方へ。そんな僕にルリはもちろん、他の魔獣さん達も着いて来ます。

 見間違いかもしれない、もう1回良く湖を確認した僕。うん、僕にはキラキラして見える。僕はすぐにルリにも確認。ルリもキラキラに見えるって言いながら、湖の中央に見に行きました。

 そんな僕達に気づいたスノーラも湖の所に。先にカースが僕達の所へ来たんだけど、スノーラも遅れて僕達の所に。それでね、スノーラもカースも他の魔獣さん達も、キラキラなんか見えないって言ったんだよ。そんなはずないよ、だってあんなにキラキラハッキリ見えるのに。ルリが戻ってきてキラキラしてるけど何もないって。

『本当にキラキラ光っているのか?』

「じぇったい!」

『とってもキラキラ!』

 仕方ないってスノーラが、僕とルリを背中に乗せて湖の中を泳ぎ始めました。泳ぐ? 何か丸い透明なものに包まれた僕達は、すい~って湖の表面を進んでいきます。スノーラの魔法かな? そしてすぐに湖の中央に到着。カースも飛んで来ました。

『この辺りか?』

「うん! キラキラ!」

『でも何もない』

『疑うわけじゃないけど、本当にキラキラしてるの? ボクぜんぜん見えないんだけど』

 本当だよ! 僕達の下、さっきよりもキラキラに見えて。そのキラキラが水が揺れると、もっと綺麗に見えるの。
 と、一瞬波の動きでキラキラが途切れて底が見えたんだけど、丸い?ような物が見えました。僕がそうスノーラに伝えると、スノーラはどんどん水の中に入って行きます。スノーラの僕達を包んでいる魔法のおかげで、水が僕達を避けてくれてるよ。

『これくらいの深さなら、我の魔法でも大丈夫だからな。もっと深くなるとちょっと難しいが』

 すぐに湖の底に着きました。キラキラは相変わらずだったけど、水が避けてくれてるおかげで、僕が見た丸い?ような物もすぐに確認ができたよ。みんなで綺麗な砂利を掘っていきます。丸いものはスノーラ達にも見えたみたいで。

『おい、これは…。お前、気付かなかったのか?』

『何でここに? ていうかそう言うけど、君だってここに時々来てたんだから、そっちこそ気づかなかったの?』

『綺麗!!』

「うん! きりゃきりゃ!」

 僕の手の中には、水色でちょっと模様がついてる綺麗な、僕の顔よりちょっと小さい丸い物が。

『レン、ルリ、それは卵だ』

 そう、湖の中から出てきた物は卵だったんだ。卵を持ったまま岸辺に戻る僕達。魔獣さん達が周りに集まって来て、匂いを嗅いだり、ちょっとだけ触ってみたり。何の卵なのかな? こんなに綺麗な卵見た事ないよ。

『はぁ、いつの間に』

『ずっとここにあったのかな? ボク達に気づかれずに?』

『どちらにしろ放っては置けない、誰かが守らなければ。お前の所で見つかったのだから、お前が面倒を見ろ』

『えぇ~、ボクこういうの苦手なんだよ。スノーラだって知ってるだろう? …そうだ!! レンとルリが見つけたのも、もしかしたらこの卵がレン達に育ててもらいたくて、光って知らせたのかもよ。レン、ルリ、この卵君達が育てなよ』

『おい、勝手な事を言うんじゃない』

 スノーラとカースが言い争いをしている中、じっと卵を見つめる僕とルリ。何か初めてルリと会った時みたいな感じがしました。こう、会った瞬間に一緒にいたいって感じ? もちろんスノーラもそうなんだけど。
 僕はルリを見ます。そうしたらルリも僕を見ていて、そして2人で頷きました。何も言わなくてもお互いが考えている事は同じです。

「ぼく、ちゃまごおしぇわしゅる!!」

『ルリも!!』

『お、おい、この卵は育てるのが大変なんだぞ。そこらの卵を育てるのとは分けが違うんだ』

 でもこの卵、僕達と一緒にいたいって言ってる感じがするの。それにキラキラは僕とルリにしかわからないし、この卵は僕とルリと相性が良いのかもしれないよ。僕達は一生懸命スノーラを説得。そして…。

『はぁ、分かった。我も一緒に育てよう。まぁ面倒な奴らに見つかるよりも、我が守り成長を見守る方が良い。だが2人とも、しっかり面倒を見るのだぞ。約束だ』

「あい!!」

『はい!!』

 こうして一緒に帰ることになったんだ。帰りながらスノーラに聞いてみます。いつ頃生まれるのって。そうしたらスノーラでもいつ生まれるか分からないみたい。もしかしたらすぐかもしれないし、数年後かも。この世界の1年がどのくらいかかは知らないけどね。僕もルリも早く会いたいねって。

 それからどんな子が生まれてくるかは内緒だって。その方が楽しみだろうって。そうだね。まぁどんな子が生まれて来ても、僕達は仲良しになれるはず。あぁ、今から楽しみだなぁ。生まれて来たらたくさん遊ぼうね!

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