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17.ふたつ目の連携攻撃

 う~ん。僕は伸びをしながら起き上がります。結局朝までぐっすり眠った僕とルリ。周りを確認したら、いつもみたいに自分の木の葉ベッドで寝ながら、頭はスノーラのふさふさ、もふもふの毛を枕がわりにして寝ていたよ。それから向こうの方を見たら、スノーラの木の葉座布団の所でバディーが寝ていました。昨日泊まったんだね。

『起きたのか? おはよう』

「おはよ、ごじゃいましゅ」

『おはよう!!』

 スノーラとバディーは僕達が寝ちゃった後も、色々お話をしたみたい。それで遅くなったから今日の朝、ご飯を食べてから帰るんだって。かなり遅くまで話をしていたみたい。じゃあもう少し寝かせてあげないとね。
 僕はルリに『し~』ってやります。静かにそっとそっと歩いて、まずは顔を洗って。その後おトイレに行って、朝のご飯まで洞窟の奥で遊んでました。
 
 どのくらいたったのかスノーラが呼びにきて、いつもより遅い朝のご飯の時間です。ご飯を食べる場所に戻ったら、バディーはまだ寝ていました。僕とルリは顔を見合わせて、それからニッコリ。
 いつものやろう。あのね、ここに来て少ししかたっていないけど、僕達はある技を習得しました。習得っていうか2人で考えたっていうか、2つ目の連携攻撃だよ。
 
 スノーラは僕が来た次の日から、毎晩ある物を持って帰ってきます。それはこの森のある場所、1箇所にしかないみたいなんだけど。それを木の実に入れて持って帰って来たんだ。中には液体が入っていて、それからお酒の匂いが。お酒が沸いている場所があったんだよ。

 スノーラはそのお酒をガブガブ、凄い勢いで飲むんだ。それもかなり大量に。そう、あんまり飲みすぎた日の次の日はなかなか起きないの。なかなか起きなくて朝のご飯が遅れそうになったり、僕達が起こしても手で払ってきたり。
 
 5日前、スノーラがやっぱり酔っ払って寝ている時に、横で遊んでいた僕達。それはたまたまでした。僕と僕の横をよちよち、ちょっと跳ねながら歩いていたルリは、同時に石に躓いて。僕は思いっきりスノーラのお腹にダイブ。ルリはスノーラの鼻に突き刺さるようにダイブしちゃったんだ。

『な、何だ!?』

 スノーラは寝ていても、色々な気配を感じる事ができるから、何かあれば対処出来るって前に教えてもらいました。でも危険じゃない僕達は? スノーラは安心しきって、そのまま寝ていて。まさか僕達が転んでダイブしてくる何て思わなかったの。

 それからそれが僕達の2つ目の連携攻撃になりました。危険じゃない僕達の、いつくるかわからないダイブ攻撃。酔って起きない時はこの連携攻撃を出すんだ。もしかしたらスノーラは何でもできちゃう魔獣だから、もう対処出来るのかもしれなくて、付き合ってくれてるだけかもしれないけどね。

 僕はそっとそっと、気がつかれないようにバディーに近づいて。ルリもそっとそっと、僕の横をちょっとずつ、よちよちジャンプで近づきます。飛んで移動すれば良いけど、それだと僕とタイミングが合わないからね。そして僕達のダイブが届く所まで行くと…。

「ちょおっ!!」

『とうっ!!』

 僕はバディーのお腹に、ルリはバディーの鼻に思い切りダイブしました。

『な、何だ!?』

 バディーが跳び上がります。ふへへへ、成功!! バディーもスノーラみたいにビックリ。目覚めた? もう朝のご飯の時間だよ。

『お、おいスノーラ、今のは何だ!? 近づいてきたと思ったら…』

 あっ、バディーも僕達が近づいてきたのは分かったみたい。

『レンとルリの合わせ技だ。我もよくやられる。さぁ、2人とも、先にご飯を食べていろ』

「うん!」

『うん!』

 僕とルリはそれぞれ木の葉座布団に座って、ご飯を食べ始めました。

『おい、良くやられるって、お前ならかわせるだろう? 付き合ってやっているのか? けっこうな衝撃だぞ』

『いや、なぁ。お前も何回か受ければ分かるかもしれんが。時々というか、毎回か? ダイブしてくる時、うまい具合に気配を消すんだ。今までこっちに歩いてきていたと思ったら、次の瞬間にはダイブがくる』

『は? 気配を消す? それはどのくらいの…?』

『まぁ色々あるのだ。さぁ、ご飯を食べてしまえ。そして早く帰って、我の話を伝えろ』

『? 分かった』

 何を話してるの? 早く一緒にご飯食べようよ。何かブツブツ言いながらバディーが僕達の反対側に座ります。
 それから一緒にご飯を食べた僕達。ご飯を食べた後、少しゆっくりしたらバディーの帰る時間です。

『それじゃあ頼んだぞ』

『分かった』

「バイバイ!!」

『バイバイ!!』

 バディーが物凄い速さで走り始めて、すぐに見えなくなっちゃいました。またいつか会おうね! 

 バディーが帰ると、すぐに背中に乗れってスノーラが。僕はよじよじスノーラの背中に乗ります。ルリはスノーラの頭の上ね。この頃急いで移動する時は、スノーラの背中に乗るか、スノーラが僕の洋服を咥えて運んでくれます。背中に乗って移動の時は、僕だけだと落ちちゃうから、しっかりしっぽで支えてくれるよ。

『これからカースの所へ行く。近くに小さな湖があるから、我らが話している間、レン達はその湖の近くで遊んでいろ。他にも小さな魔獣達が集まっているから、友達になれるかもしれんぞ』

 おお! 新しい友達。この前初めてリスみたいな魔獣とお友達になったんだ。契約はなしのお友達ね。そっかぁ、他にもお友達ができるかもしれない。楽しみだなぁ。早く行こう!! スノーラが木の上を走り始めました。

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