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9.おかしなおかしなステータスボード

『さぁ、今度こそ話しをするぞ』

 僕達の前にトラお兄さんが座っています。今僕達は朝のご飯を食べ終わったところ。昨日僕達お腹いっぱいご飯を食べて、そのまま寝ちゃったからね。ぜんぜんお話し出来なかったよね。ごめんねトラお兄さん。
 僕達が朝のご飯を食べている最中、ずっとトラお兄さんは今度こそ話しを進めるぞって、ブツブツ言っていました。

『先ず我の名だが、我はスノーラという。我の大切な名だ』

 トラお兄さんの名前はスノーラでした。やっと名前が分かりました。スノーラ。なんかカッコいい!

『それでお前の名だが。お前は名がないのか。であれば我が名付けても良いのだが』

 わわ!? 待って待って。僕にもトラさお兄さん、じゃなかった。スノーラみたいに、大切な名前があるよ!

「ぼく、りぇん!!」

『りぇん? 変わった名だな』

「ちがう、りぇん!!」

『だからりぇんだろう?』

 うう~。きちんと蓮って言えない。どうしよう、このままじゃりぇんで覚えられちゃうよ。あわあわしてる僕を見つめるスノーラ。違うのかってぼそっと言ったあと、あれを見てみるかって。あれ? あれって何?

 スノーラが教えてくれたのは、あの透明な板みたいな物の事でした。あれ、やっぱり本とかに出てくるステータスボードと同じ物だったみたい。簡単に僕の事が分かる便利な物。それを見れば僕の名前が分かるだろうって。
 僕ちょっとドキッとしちゃったよ。だってこの前見た時は、僕の名前の所、何も表示されてなかったんだもん。今度も何も表示されてなかったら?

 スノーラがステータスボードの見方を教えてくれます。心の中で、ステータスボードの事を思い浮かべるだけだって。え? それだけで良いの? だって昨日ちょっとやってみたけど、何も出なかったよ?
 そう思ったんだけど、スノーラはやってみろって。言われた通りにステータスボードの事を思い浮かべます。…何も出ませんでした。ほら、やっぱり出ないよ。

『何だ? どうして出ないんだ?』

 スノーラが首を傾げます。その時小鳥がスノーラに何か言いました。羽を動かして、しっぽを動かして。それから一生懸命鳴いて。それでスノーラがああって。何?

『お前、魔力はどうした? 魔力を使わなければ思い浮かべてもステータスは見られんぞ』

 魔力? 僕がぽけっとしていたら、昨日小鳥を治しただろうって、その時魔力を使ったろうって言われたんだ。確かに昨日はヒールっていうのをやったけど。あの時は何も考えてなくて、ただヒールって言っただけ。魔力とか考えなかったよ。僕がまたぽけっとしていたら、スノーラが変な顔をしました。

『お前、無意識に魔法を使ったとは思っていたが、魔力の方も無意識だったのか? それであの力か? はぁ、そうか無意識か。そうだな、お前のような子供が、魔力を自由に使えるわけがなかった。小鳥を治したから、勝手に使えると思ってしまった』

 そう言いながら、僕の頭に手を置いたスノーラ。と、スノーラの髪の毛が揺れ始めて、それから少し体が光ったんだ。そうしたら急に体の中があたたかくなりました。何これ!? 僕が慌てそうになったら、大丈夫だから動くなってスノーラが。そんな事言われても。

『今、体の中が温かいだろう。それがお前の魔力だ。今は我が力を貸して、お前の魔力を引き出している。今の間にもう1度、ステータスのことを考えてみろ』

 この温かいのが魔力? 僕は言われるままステータスボードの事を思い浮かべてみました。そうしたら今度はすぐに、僕の前にあのステータスボードが現れたんだ。

『きちんとできたな。良し、見てみるぞ。と、何だこれはほとんど見られないではないか。全く何を考えているんだ。まぁ、今必要な部分は分かるから良いが。奴め。よっぽど規格外のものにしたのではないだろうな』

 スノーラが色々言っているけど、僕はそれどころじゃありません。急いで名前の所を見ます。…良かった!! 名前の所、ちゃんと僕の名前が表示されてるよ、僕の名前レンって。漢字じゃないけどちゃんとレンだよ。僕は大きなため息を吐きます。

『ん? ああ、りぇんではなくレンか。呼びやすい、良い響きの名だな』

 スノーラがニコッて笑いながら僕の顔を見ました。思わず僕も笑っちゃいます。

 名前がレンになってて落ち着いた僕。改めてステータスボードを見てみました。この前と少し変わっている気がします。名前の所はもちろんだけど、年齢も2か3じゃなくて2歳になってるし。ヒールができたからレベルとか上がったかな? と思ったけどそこは変わっていませんでした。

 そして能力のところ。…また変な文が増えてるよ。何か僕にっていうよりも、スノーラに伝えてるって感じ? うん、本当に1度、僕がここに居る事について知ってる人、ちゃんと説明しに来てくれない?

 はぁ、とりあえずこの事は後でまた考えるとして。あとは能力が増えてるね。契約者だって。契約者って何?

[名前]レン
[種族]人間
[性別]男
[年齢]2
[称号]***
[レベル]1
[体力]1
[魔力]***
[能力]回復魔法初級ヒール(使える魔法が多くなると面倒なので呪いも消せるようにしておいた) 契約者 その他色々 まぁ大体使えるようになる予定、みたいな?
[スキル]***
[加護]***

 スノーラがステータスを確認していきます。そして能力の所で僕と同じ事を感じたみたい。スノーラもブツブツ言っていました。

『ふむ。とりあえず、今使えるものはヒールと契約だな。…ヒールの表示もおかしいだろう。これは伝言板ではないのだぞ。はぁ、まぁとりあえず次だ。良かったなお前。レンが承諾すれば、契約を結ぶ事ができるぞ』

 今度は小鳥の方を見て笑うスノーラ。小鳥が歌いながら、僕達の周りを飛び回ります。ねぇ、契約者って何? もしかしてこれも本と同じ? 生き物と契約するやつ。あれって確かテイムって言ったはず? まぁ同じようなものかな?

『こっちは最後にしようと思っていたが、ダメそうだな。レン、この世界の事やこの森の事を教える前に、この鳥の話しをする。とても大切な話しだ。小さいお前にどこまで理解できるか分からないが』

 小鳥が今度は僕の隣じゃなくてスノーラの前に、僕の方を見て座りました。

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