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第2章の第23話 2つに1つ、沈黙……! 二者択一の被せ

その時、2人の少女のうちアユミちゃんが先に目を覚ました。
この最悪のタイミングで。
災禍の獣士は、今の地球と昔あったアローペクスの悲劇を重ねたのだ。
それを僕達に話してくれた。
「お前に問う!!」
「!」
「原住民とアローペクス! どちらの言い分が正しい!?」
「……ッッ」
「ファミリアを立ち上げると言ったな!」
「……ああ」
「では、時期、地球の王よ! お前ならばこの未曽有の事態をどうする!?」
「……ッッ」
「いずれ必ず、この事態に直面するのだ!! さあ今、選べ!! 2人の少女のうち、助かるのは片方だけだッ!!」
「……」
僕は返答に困り、何も言えない。
「……」
目を覚ましたあたしは、状況がまったくつかめないけど、磔になっている事だけはわかった。
それは横にいるクコンちゃんも。……気絶してるのか。
スバル君は何かに困り、あたし達を助けられずにいた。いったい何なんなの?
「先王たちは英断を下したぞ。それは原住民を取ることだった!
お前も王を目指すものなら、どちらか1つ選べるはずだ。
10数える間に決めろ。
10(デカ)……、
9(エンネア)……、
8(オクト)……、
7(ヘプタ)……、
6(へクス)……、
5(ペンテ)……、
4(テッタラ)……、
3(トリア……、
2(デュオ)……、
1(ヘン)」……」
僕は何も答えられず、ただただどうしようもなく、俯いていた。
ダメだ、答えなんて見つけられない。
だってあいつは、過去の現実を持ち出してきたのだから。
僕のはあくまで、空想だったから。
空想では、現実には抗えないのか。
「0(ミデン)……」
スバルは、何も答えられなかった。
(……やはり、お前も同じか……)
俺は迷いなく、その爆弾の起爆スイッチを押した。
その時、爆発が起こった。
爆発が起こったのはアユミとクコンの相中の磔台だった。
これには僕は思わず声を上げた「アユミちゃん!!」と叫んでいた。
「……ッッ」
あたしアユミは、その爆発から目をそらしていた。だって怖かったんだもの。
で。
「キャッ!! 何々!?」
これにはクコンちゃんも目を覚ましたようで。
爆煙が晴れていくと、2人とも無事な姿を確認できた。
「2人とも……ほっ……」
と僕は一安心した。
「「スバル君!! 助けて!!」」
女子2人の声がハモった。
「……ッッ」
「動くな!!」
スバル(僕)はその場から動こうとした、だが災禍の獣士がそれを制止させた。
その手に持っているのは起爆スイッチだ。
「「「!」」」
「これは起爆スイッチだ! 変なマネをすれば即座に押す。俺は躊躇わない」
「……」
僕は動けなかった。
「……あの2人の首元を見ろ!」
「あれは……」
それが今2人が置かれている現状だ。
磔にされ、首には爆弾付きの首輪が取り付けられいた。
「あれは……ブラックマーケットの爆弾付き首輪!」
とシンギンさんが言った。
「何だって!」
「そうだ! そして……あるファミリアが言うことを聞かないアローペクス達を黙らせるために開発されたのが発祥だ!」
これには僕も「なに……」と驚き。
シンギンさんは「何だって!?」と驚きの声を上げた。
だが、実際には形を変えて、もっと以前からあったりする。
あくまで、ブラックマーケットで造られたのが発祥で、起源ではない――


★彡
【当時、言うことを聞かないアローペクスがいた。そいつは自分が特別なんだと思い込んでいた。大間抜けだった】
「何だこの首輪は? クッこの」
アローペクスの囚人はその首輪を取り外しにかかる。
「やめておけ。それは爆弾付きの奴隷の首輪だ。外さない方が……」
看守の忠告も聞かず、その囚人はその首輪を無理矢理外そうとして、スイッチが入ってしまった。
そして、瞬く間に閃光が走り、爆発が起きた。
その爆発に巻き込まれた囚人達と看守は吹き飛ばされた。
この爆発には、周りの檻の中に入れられていた、アローペクス達も驚いた。
その爆発に巻き込まれた看守は「チッ、馬鹿がッ!! 勝手に自滅しやがった……ッ!!」と馬鹿にした。


☆彡
「あの爆弾首輪にそんな逸話が……!」
「そうだシンギン……。だがいきなり爆弾だったわけじゃないぞ!
初めのうちは、それこそ麻酔針から始まり、電流、剣山ときて、爆弾となったんだ。余りにもそいつが言うことを聞かなかったんだ」
「……」
シンギン(俺)は(そんな人がいるのか……?)と心の中で疑問を抱いた。
だが、実際にいるかもしれないから、何も言えなかった。
「アユミちゃん! クコンさん! その爆弾首輪を取っちゃダメだ!! 爆発するぞ!!」
「えええええ!!! 爆弾首輪ァ!?」
「嘘っ!! 外して~ぇ!!」
これには災禍の獣士の声が聞こえない2人は、スバルからの注意を受けて初めて知ったのだった。
「ちょっと! どうりでなんか首がおかしいと思ったら!」
「いや~!! 誰か、この爆弾外して~!! 何でも言うこと聞くから~!! お願いっ」
「外すわけがないだろうが! 何のための二者択一だ!」
と俺が声を荒げても、どうせ聞こえないのだろうな。なんか、空しいぞこれ……ホント空しくなってきた……っ。
「2人とも必ず助けるから、待ってて」
「「!」」
「……わかった」
「信じてるわよ、スバル君……」
アユミちゃん、クコンさんという順に僕を信じてくれた。
「どう助けるというのだ?」
「……代わりに僕の命をやるよ」
「「「!!」」」
「こっちも二者択一だ!」
僕は懐からケイちゃんの護り刀を取り出し、喉に突き立てた。
「1つは、自害だ! 僕が今死ねばアンドロメダ王女を保護していた声がなくなり、アンドロメダ星が危機に晒されるぞ! また裁判沙汰で、どう転ぶのかわからないぞ!」
「ヌグッ……!」
これには災禍の獣士もグゥの音もでない。今、アンドロメダ星が平穏を保っていられるのは、スバルが仲介人を買って出たからだ。そのスバルを失えば、もう大惨事だ。
「もう1つは、僕にも奴隷の証、爆弾首輪をつけろ! お前の奴隷になってやる! 対等交換だ! どうだ!?」
「……ッッ」
もちろんこれも、アンドロメダ王女の恩人にそんな事を晒せば、タダでは済まない。
どちらにしろ、圧倒的アドバンテージ有利はスバルにあるのだ。
これには一転して、災禍の獣士は劣勢に立たされた。


――他所、天を仰いでいたチアキは水晶玉を取り出し、ボゥと水晶玉が光り、現在の光景が映し出された。
あたしはその状況を眺めて愕然とした。
「相手が出した二者択一に、さらに自分から二者択一を被せてくるやなんて……ッ! 君はなんて面白いんや!」


――そして、場面戻り、災禍の獣士は。
「……」
これには俺も押し黙った。
「え~と……どーゆうこと?」
「スバル君はいずれファミリアを立ち上げる人よ。とても大事な人。
そのスバル君を奴隷のように扱えるのだから、闇の支配者も同然!
つまり、実質スバル君のファミリアは、あいつのものになる!
それがスバル君が提示した、対等交換の意味よ」
真理はちょっと違う。
アユミちゃん(彼女)が言葉に出したのは理想で合って、行きつく先は破滅だ。
他所のファミリアから即刻叩かれて、大変な事態になる危険が孕んでいた。
「……ちょっと待って! それってホントに対等交換なの!?」
(あたし達のために……ッッ)
あたしは感動した。
「……多分、スバル君、そこまで考えてないと思う。頭悪いから……」
(頭悪いんだ)
そこはかとなくクコン(あたし)は残念に思った。
「……」
災禍の獣士(俺)は考えた。どうすれば納得できるのかを。
どちらにしろ、この交渉はうやむやになった。手を変える必要が生じた。
その為には、あいつの怒りを引き出す必要があった。
あいつの怒りを引き出すためには、やはりこの手しかなかった。
災禍の獣士(俺)はその場から飛び降りて、少女達の前に着地した。
そして、ニヒル顔を浮かべ、一度あいつらに向いてから、こうしたんだ。

「炎上爪――ッ!」
と燃える爪を振るい、アユミを焼いた。
さらに続けて、クコンも焼いた。
どうだ、怒れ。
「アユミちゃん! クコンさん!」
僕は走った。2人の元へ。
僕の後を追いかけるようにシンギンさん以下の兵士達も走る。
そこへ。
「まだだ!!」
まだ怒りが足りない。
災禍の獣士(俺)は炎上爪を振るい、地球人類の希望と燃えているアユミ達との間に炎の轍を作った。それは境界線だった。
「クッ……アユミちゃん!」
「あああああ!!!」
「いやあああああ!!!」
炎の中悲鳴を上げる少女2人。
「よっよくも~~!!」
そうだ、その怒りを見せろ。
泣き叫ぶ、少女達の悲鳴が心地よい。
炎の轍を超えて、殴りかかってくる少年。いいぞ、来いっ。
「この野郎っ!!」
俺はその攻撃をかわした。
「クッ、このっこのっ!!」
少年は避けられた事で、頭に血が上り、立て続けに殴りかかってきた。
俺はそれを避ける避ける。
「でやあ!!」
とすかさず少年は蹴りを繰り出したが、
それも俺はしゃがんだことでそれを躱した。
すかさず、俺は攻撃に移る。
少年の顔面、特に鼻先にスピード感良く小刻みに繰り出されるパンチを加えていく。ジャブ、ジャブ。
次に少年の顔面、特に下顎に強烈な下から突き上げるパンチを加えて、叩き上げた。アッパカット炸裂だ。
宙に舞った少年の体はそのまま、受け身もとれずダウンした。
「ううっ……」
「……まるで話にならん」
俺は少年に背を向けた。
とシンギンさん以下の兵士達が炎の轍を超えて入ってきた。
シンギンさん達はスバルの元へ駆け寄り、その身を起こして「大丈夫かスバル君!」と声をかけた。
スバルの反応は……。
「ううっ……」
その意識を繋いでいた。
意外にタフな子だった。あの災禍の獣士の攻撃をまともに受けて、ケガで済むなんて。
それは災禍の獣士がその命を奪わないよう、かなり手加減していたからだ。
本気でやれば、スバルの顔面がトマト的なことになり、辺りには凄惨な血の海が広がっていることだろう。
「アユミ……」
とその手を焼けるアユミちゃんの元へ伸ばした。
「アユミィ……ッッ」
その手を伸ばし続けた。
燃え上がる炎。
吹き荒び吹雪。
俺はさすがに可哀そうに思い。
「獅子隷属!」
両隣に火の玉を放ち、それが炎の獣を形作る。我が分身達だ。
「少女達の喉笛を噛みきれ」
「うわぁあああああ!!」
させない。それだけはさせない。
炎獣2匹は少女達を定め跳躍する。
駆けるスバル。
少女達2人に迫る炎獣。
駆けるスバルは災禍に獣士の横を通り過ぎる。
(ダメだ! 遅い! なんて人間の体はこんなに遅いんだッッ!!)
僕は走りながらその手をアユミに伸ばした。
(ダメだ、アユミ!)
その足は笑えるくらい遅く、1歩、2歩と踏みしめる。
「アユミ!!」
焼けるアユミに迫る爪牙。
その時、2つの光が光来した。
それはLとアンドロメダ王女だった。
Lは念力(プシキキニシス)で炎獣を吹き飛ばし。
アンドロメダ王女は青い光で炎獣を消し去った。
Lによって、吹き飛ばされた炎獣はスバルの近くに落ちた。

(ついに出てきたか……!)

「レグルス!! これはどーゆうつもりじゃ!!」
「フッ、夢見がちな少年に現実を思い知らせるためですよ、王女」
アンドロメダ王女はご機嫌斜めだった。
さすがにこのまま怒らせるのは、非常にまずいな。
俺はヒヤリ汗(エナジーアの粒子)を流した。
俺は、パチンと指を鳴らし、2人の肢体を炙る炎を消した。
ジュウゥ……と2人の体から白い煙が上がる。
「あぅ……」
「熱い……体が燃えるみたいに痛い……」
白い煙が上がり、その煙が晴れていくと、あらわになったのは下着姿だった。
2人とも汗だくだくで、体力を酷く消耗していた。
その瑞々しい肢体に大量の汗が流れ、さらに吹雪の雪が付着して、輝いてみえた。
普段の僕なら感動ものだが、場が場だ、そんなゆとりなんかなかった。
怒りが勝る。
握り拳を震わせる僕。その僕の近くで炎獣がムクリと起き上がった。
その時、災禍の獣士は弁明に入っていた。
「『体力を奪う炎』です! この炎に焙られている間、彼女達には激痛を味わってもらいました!」
「……」
睨みつけるアンドロメダ王女。
そして、アンドロメダ、L、シンギンさん以下の兵士達が災禍の獣士の周りを取り囲んだ。
「自分が何をやったのかわかっているのか!?」
「少女達をさらい、体力を奪う炎で焙り、辱めた。
少年に関しては、上下関係の現実を知ってもらうため、心身ともに痛めつけた……まぁそんなところでしょうか」
「僕はあんたを許せない」
「フッ……」
その時、災禍の獣士はニヒル顔を浮かべた。
「L、お前はやはり甘い。戦場ではもっと殺意を持つべきだ」
「なに……」

「うわぁあああああ」

スバルは炎獣に襲われていた。
火炎放射を放ち続ける炎獣、スバルはその炎を浴び、その身が炎上していた。
これにはL(僕)も驚き、「スバル!」と声を上げて振り向いた。
「あれは『体力を奪う炎』ではない。普通の火炎放射です。いいのですか? 私に構っていて。何か大事なものをなくしますよ」
「このゲスめ!」
Lは「スバル!」と叫び、少年の元に駆ける。
その瞬間、包囲網がゆるんだ。
そこが抜け出すチャンスだった。
「『炎戒昇天』!!!」
とLの背後で激しい炎が巻き上がり、上空の彼方へ炎が伸びていった。
炎を消えるとそこには災禍の獣士の姿はなかった。
「しまった! 逃げられた!」
そして、空に響くは災禍の獣士の声だ「彩雲の騎士エルスになって追いかけてこい」というメッセージを残して。
ただ、逃げられただけではない。
アンドロメダ王女を除いた、シンギンさん以下の兵士達はその身を焼かれ、ダウンしていた。
そして、スバルは……。
「クッ……」
その炎の中、歌った。
「『氷原を荒べ、100条の氷柱(つらら)』」
Lがその歌を聞く。
「『我が腕に宿りて』」
アンドロメダ王女が、倒れ伏したシンギンさん以下の兵士達が。
「【『彼の者を撃て』!!」
磔にされたアユミが、クコンが、その歌を聞いた。
「『氷柱』アイシクル(パゴクリスタロス)!!!」
それは天へと立ち昇る氷柱だった。
それは僕の体を炙る炎を消し去っていく。
同時にそれは攻撃だ。
炎獣の真下から突き上げるように幾重もの氷柱が生えてきて、炎獣を串刺しにする「キャン」とそのまま真上へ突き上げた。
炎獣を形作っていた火の粉は跡形もなく、焼失した。
後に残るは、冷えた氷の静寂――
それは誰かが言った一言の呟き。
「『氷原の魔導士』……」
と。
スバル(僕)は冷気を帯びていた。
その腕を見た、冷気を帯びたその腕が太陽光に照らされ、美しく。
僕の周りの冷気がキラキラしていた。
あたしは今のスバル君を見て「綺麗」とこぼした。
そして僕は、両手両足を地についた
「ゼェッ……ゼェッ……死ぬかと思った……ッッ」
僕は玉のような脂汗をかいていた。チリチリとその身から煙が上がっていた。
「大丈夫スバル!?」
「これが大丈夫に見えたら、大概おかしいだろッッ!!」
「だ、だよね……」
これにはスバルも激怒だ。
か、考えてみれば当然だよね。これにはLも嘆息して。
スバルはその場で起き上がり、周りを見渡した。
「クソッ、どこへ行った……!」
僕は玉のような汗を拭う。
その時だった。ずっと上の方から奴の気配がしたのは――
「――上か……! いる……ずっとこの先にッ……」
「スバル!」
と話しかけてきたのはアンドロメダ王女だった。
「王女様……」
「あやつからの伝言じゃ! 『エルスになって追いかけてこい』と」
「エルスになって……」
「……」
スバル(僕)はLを見て、Lはコクンと頷いた。
「――決着をつけに行こうよ」
とLがいい。
「わかった……」
とスバルが言い。ここでスバルは一度目を瞑り。
「君の力を貸してくれ!」
といった。
「「……」」
見つめ合う両者。そして――

「「――エナジーア変換」」

場に光が走る。
光の球体から一条の光が天高く伸びていった。
それは彩雲の騎士エルスであった。
そして、僕達は大空の向こう、宇宙エレベーター沿いに光の中を駆け上がって行った。
磔にされた2人は、吹雪が荒ぶ中、顔を見上げていた。その胸中の言葉を吐露する。
「スバル君……頑張って! 負けちゃやだからね」
「……アユミちゃん! ……ッッスバル君、負けたら承知しないだかんね!」
「……スバル、L、いやエルス、今度こそ勝つのじゃぞ……!」


TO BE CONTIUND……

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