187. 念のために
187. 念のために
もうそろそろ時間だな。あまり肉を食べてないけど楽しめたからいいか。
「ねぇ先輩!デザート頼んでもいいですか?」
「ああ。もちろんいいぞ」
「すいませーん!」
夏帆は店員さんを呼ぶ。さっきの大学生くらいの若い女性の店員さんだ。
「ご注文をどうぞ」
「えっと、アイスケーキとオレンジジュースでお願いします」
「お連れ様は?」
「あっオレは大丈夫です」
「かしこまりました」
女性はそう言うと、奥へと消えていった。というかまだオレンジジュース飲むのかよこいつ。そんなことを考えていると夏帆がオレに言ってくる
「なんですか?今の。先輩浮気ですか!」
「はぁ!?何がだよ!」
「あの店員さんにデレデレしてたじゃないですか!私にはあんな顔見せてくれなかったくせに!そんなに年上のお姉さんがいいんですか!」
「してねぇだろ!っていうかなんだよデレデレって!あれくらい普通にするだろ!」
うぜぇ。ワケわからんぞこいつ。勝手に嫉妬すんじゃねえよ。まあ確かにちょっと可愛いとは思ったけど……いやでもそれは関係ないだろ!
「ほらやっぱり!私なんて子供っぽいとか思ってるんですよね!」
「そんなこと思ってないだろ。お前はオレの彼女なんだし、他の女性には興味はない。」
「……へっ?」
夏帆の顔はみるみる赤くなっていく。自分で言っておいて恥ずかしくなるなよ……。
「先輩……それ反則です!」
いやお前のその態度のほうが可愛くて反則なんだが……言わなくていっか。なんか面倒くさくなりそうだし。
「あっ。……先輩。念のために、オレンジジュース飲みますか?」
「飲まねぇよ!」
やっぱり夏帆は夏帆だった。
そのあと来たデザートを食べて、オレと夏帆の焼き肉食べ放題は無事終わるのだった。