186. オレンジジュース
186. オレンジジュース
そんなこんなで焼き肉を楽しんでいるのだが、夏帆はほとんど肉を食べずに野菜を食べて、オレンジジュースをバカみたいに飲んでいた。焼き肉食べ放題はどうしたんだよ。
「お前。肉食べろよ!ほとんどオレが食べてるんだが?」
「えぇ~。私、お腹いっぱいになってきました。あっオレンジジュース頼んでもいいですか?」
「……そうかよ」
そのせいでお腹いっぱいなんだと思うんだが?これで何杯目だよ……。
「あぁ~おいしいです!」
おいしそうに飲むな……こいつは。まぁでも幸せそうな顔をしてるからいいけどさ。
「……あのさ、前から気になっていたんだけどさ、どうしてそんなにオレンジジュースが好きなんだ?」
「それはですね……」
そこで言葉を止めて、一呼吸おいてから話し始めた。
「オレンジの中にはたくさんのビタミンCが含まれていて、美容と健康には欠かせないんです。あとはクエン酸や食物繊維も豊富に含まれています。それに、疲れた時にオレンジを食べると元気が出るんですよ。あとは個人差はありますけど、性欲も感度も増して、すごく満足感が得られます。だから私はいつもオレンジジュースを飲むんです!」
……んっ?なんか最後変なこと言ってなかったか? いや待てよ、聞き間違いかもしれない。うん。きっとそうだ。
「……」
とりあえず何も聞かなかったことにしよう。
「あっ!……先輩の分もオレンジジュース注文しますね!」
「オレは絶対飲まないからな!絶対にだぞ!」
「そう言えばそうですよね。うん。先輩はいらないか。」
やめろ。その意味深な感じで言うのをやめてくれ。オレはいつもの夏帆のよく分からない冗談だと知りながらも、夏帆の前では絶対にオレンジジュースを飲まないと心に誓うのだった。