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188. だから優しくする

 188. だから優しくする



「ねぇ先輩……週末私実家に帰ります。」

「ああそうなのか?わかった。」

「あの……その時に……先輩と付き合ってること言おうかなと思って」

「は?言ってなかったのお前!?」

「だって恥ずかしいし……」

 態度と行動が伴ってないんだが???まぁいいか。夏帆もなんだかんだ女の子なんだな。

 ……待てよ?もしかしてオレって親に話すことができないくらい恥ずかしいやつなのか?確かに友達はいないし、バイトも部活も何もしてない。休みは家でダラダラしたりゲームしてるだけの男だし……。

 夏帆は性格はどうあれ、可愛い。もしかしてオレって夏帆と付き合えてるだけで奇跡なんじゃないか?……すごく不安になってきた。いつも「うぜぇ」とか「面倒だな」とか思っていたけど、夏帆って本当は良い子だったりしないだろうか。

「先輩?」

「夏帆!オレを捨てないでくれ!オレにはお前しかいない!」

 オレは夏帆に抱きつく。そして思いっきり抱きしめた。

「ちょっ……いきなりなんですか先輩!まだ夕方ですよ!?」

「大丈夫だ!夜までずっとハグしよう!

「何が大丈夫なんですか!!なんかいつもと違いますよ先輩!?」

 そんなことを言いつつも、夏帆は少し嬉しそうな顔をしている気がする。やっぱり夏帆は天使だったようだ。こんなにも愛らしいなんて……もう結婚しよう。











 って言う夢を昨日見たから、今日はちょっと優しくしてあげようと思う。

「先輩!私の話聞いてます!?」

「あ。悪い聞いてなかった。」

「もう!だから週末デートしましょうよ!」

「ああ。デートしよう!どこに行きたいんだ?どこでも行くぞ?」

「え?なんか先輩……いつもと違いませんか?優しいのはいいんですけど……。」

「どこがだ?オレたちは付き合ってるんだから普通だろ?」

 夏帆はポカーンとした顔になっている。何を驚いているのかわからないが、別に驚くようなことではないはずだ。夏帆とは恋人同士なのだから、普通のことだ。オレは夏帆に内緒で感謝をし、しばらく優しくするのだった。

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